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詩作集・天網恢恢

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この世界はみんなで見ている夢にすぎない。そこを出発点として。
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#小さなお話

思うままに土を耕し種を蒔け

思うままに土を耕し種を蒔け

土遊びが好きです。

汚れるのはいやで、泥んこも苦手だけど、ほかほかすっくりした土と戯れていたい。

小さな移植ごてや、大きな鍬(くわ)で、さっくりざっくり、土を掘るのもいい。

よく研いだ鎌で、しゅぱっと草を刈るのも最高。

そんなわけでぼくは今日も、心の園を耕し、魂の種を蒔き続けるのです。
#茫洋亭日乗
#bug_bug_here

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[随想詩] 自己充足と相互承認としての世界

[随想詩] 自己充足と相互承認としての世界

数学の世界の初めに空集合があるように、宇宙の初めには無限小の一点があり、空集合がゼロから初めてイチ、ニ、サンと無限への階段を歩み続けるときに、宇宙は一挙に爆発して素粒子の踊りを始める。

渾沌の玄妙空無なる道(タオ)から生まれいでたぼくたちは、不可思議な個別性を背負って旅に出ることになった。

個体という容れ物の中に臓器と魂を収めて、やがて訪れる死という次の旅立ちのときまでを、浮き世でヤドカリのご

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[随想詩] リトミックどデカダンス

心の波打ちを止める意識の特異点を身につけよ。

心の蔵の脈打ちを止める秘法を身につけよ。

存在の生滅のちらつきが消え去る彼方からの視点で世界を見よ。

ええつまり、そういうことなんです。
いつもそういうことだったんです。
なのに気づいたときには巻き込まれてしまってるんですよね。
だからこれからもやっぱりそれしかないのかな。
それはそれでいいと覚悟を決めればいいのかな。

ポカホンタスにぽかりと本

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3.11+3.11i

3.11+3.11i

今日しか書けないことがある
だから今日書く

今ここで感じていることを
今ここで書く

生きる苦しみも喜びも
すぺて書く

あの日の絶望を忘れずに
あすへの希望を書く

今日は書けないことがある
だから今日は書かない

今ここで感じていることなど
言葉にできるわけがない

生きる苦しみも喜びも
味わうしかない

あの日の絶望を手放して
あすへの希望を忘れて

実在に虚在を足し合わせたとき
真実が現

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[投げ銭夢想詩]闇と光の語り歌

[投げ銭夢想詩]闇と光の語り歌

空はどこまでも蒼く澄みわたり
乾いた風が心地よく肌を
撫でていたのに今は

優しい霧が目の前にどこからか
気づく間もなく立ちこめて
頬にひんやりと口づけする

闇に包まれてもはや
左も右も分からぬどころか
上下の感覚すら失い果てて

途方に暮れる異邦にたたずむ
四方を見渡す絶望が溢れる
いつものゴールで目に水溜めて

流れた水は砂漠の片隅に
ささやかな溜まりを作り
旅人をもてなした

そしてきみは

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[全文無料・小さな詩]天人午睡

[全文無料・小さな詩]天人午睡

とことん
眠りにうつつを抜かすのだ
午後の白い光の中

安宿の
くたびれた寝台の上で
寝返りを打つきみは

悪夢未満の
寝心地の悪さが身に沁みて
脳の芯まで浸して

切りのない
寄せては返す自己否定の
波また波の珊瑚の浜を

いつか見た
砂漠の駱駝に重ね見て
奈落の底を仰ぎ見て

そうだ
まばゆい地獄へと昇ろう今こそ
微熱に包まれた背中には

かげろうの羽
光きらめかせ軽く風に乗って
重力のくびき

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