2020年7月15日

昨日の続き。2020年代は、インスタントアプリの幕開け、そしてアプリケーションの再定義の時代。

Appleが今年発表した『App Clips』『Appライブラリ』『ウィジェット』が描く未来のスマホアプリのシナリオとはなんでしょうか。

Appライブラリ

永遠とただページだけが増えていき、どこに何のアプリがあるかわからなくなってしまったiPhoneたち。
それを救済するように登場した『Appライブラリ』は、ホーム画面の最後のページに、アプリをカテゴライズして整理してくれる機能です。
これにより、多くのユーザーはホーム画面を１〜２ページだけカスタマイズし、残りはAppライブラリに任せることでしょう。
そうすると、アプリが探しやすくなる反面、不必要なアプリは日の目を浴びなくなります。
そして、『非使用のAppを取り除く』によって、知らぬ間に消えていきます。

ウィジェット

ウィジェットがホーム画面に進出してきました。
Appライブラリが実現したiPhoneにおいて、便利なウィジェット以外に、アプリアイコンを置いておく必要はあるのでしょうか。
ウィジェットマスターのAndroidユーザーの人は知っているはずです。ホーム画面に置いているアプリアイコンは、極わずかです。
これからの時代、ホーム画面にアイコンを置いてもらうより、ウィジェットを置いてもらう方が重要になってくるはずです。
ウィジェットが良いアプリは、iPhoneに残るでしょう。
ウィジェットなくても良く使われるアプリなら、iPhoneに残るでしょう。
それ以外は、残念ながら消えてしまう運命かもしれません。

App Clips

しかしまだチャンスはあります。それがApp Clipsです。
iPhoneにインストールされていなくても、App Clipsがあれば、使っていただけるチャンスがあります。
そもそも、アプリがインストールされていることで収益が出るのは、有料アプリか、デジタルサービスのアプリだけです。
その場合、ユーザーは、アプリがなければサービスを利用できないので、当然インストールしているものです。
しかし、サービスが実世界で発生するオウンドアプリの場合、常にiPhoneの中にある必要がありません。使われるときにだけ、使って貰えればいいんです。
そのため、オウンドアプリはApp Clipsの充実に舵を切り始め、iPhoneには本来あるべきアプリでないといけないアプリだけが残り始めるかもしれません。

そうなると、スマホアプリは、より多機能で、高品質で、利用価値のあるものである必要が出てきます。

ポイントカードを表示するだけにアプリを入れておかなきゃいけない、そんな時代は終焉を迎え、本来あるべきアプリだけが残る。

これは、AppleがApp Storeを始めた頃に近いような気がします。あの頃は、切磋琢磨工夫をこらしたアプリが、溢れていました。有料でも使っていました。
それが今では、無料で、ただWebページを表示しただけのようなアプリがゴロゴロと転がっています。
このままでは、審査に時間ばかりかかり、素晴らしいiPhone体験を届けられないうえ、アプリの価値は下がる一方です。
無料で提供するアプリは、当然、広告など使って、プライバシーを侵害することで収入を得ますが、これももう良いことではありませんね。

ということで、このスマホアプリ救済トリオと言ってもよい、これら３つの機能が同時に搭載されたのかもしれません。

2020年代は、スマホアプリが更に進化していくことでしょう。
まずはこのiOS 14のリリースによって、人々のアプリへの向き合い方がどのように変化するのか、そして各企業はどのようなアプローチを取っていくのか、非常に気になります。