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2020年7月の記事一覧

詩 351

詩 351

  エトワール

正方形は ひそやかに
回廊 めぐる 迷いこむ
よろこび かなしみ 歌いあげ
あこがればかり 追いもとめ

炎に照らされ 巨像たち
たったひとつの黒い目に
背をむけ おびえ 朽ちはてて
羽根も うろこも 化けの皮

まるい顔して 旅に出て
ふと 立ちどまる 細い道
隣人たちは いつのまにか もう

黄昏 しずむ 灯台へ
敷石 数え 百歩目で
暗い輪郭 定着する 線

詩 350

詩 350

 わたしだけの部屋

海は さざなみ くだり坂
祈れ 銀花に 帰り道
踊れ 描線 白日下
麦わら帽子は 越えていく

片足 残せば 分析し
円と三角 つみかさね
空はアルビノ 無表情
レモンのかたちの鈴は 落ち

月面 なぞれば ネオン 呼ぶ
振動するたび 樫は 燃え
石の塔へと はしごは つづく

季節はずれの レプリカに
真夜中 加速 呼吸する
歓喜の歌声 屋上に 降る

詩 349

詩 349

  はじめての朝食

花瓶 ささげる 夢うつつ
こがねの粒子 呼吸して
帽子 ふりそそぐ パレットに
荷馬車 はかない 寝かしつけ

そこから わたしは どう見えて
なにを 痛がる 深くなる
真夜中 溶かして からみつく
あずけた あこがれ とりもどす

柱時計に 鍵 かくし
とざした まぶた なにもかも
とざしたままで 深くなるまで

ケーキは 焦げた もう 消えた
身をつつむなら あかね色

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