SONIC VISIONS 19 / フェスはキッズのために。ルクセンブルクの小さなフェスで感じた基本的なこと。
アイスランドエアウェイブスに参加したその足で、翌週ルクセンブルクのソニックヴィジョンズというフェスに参加してきました。
参加した理由にこれといった理由はなく、ウェブサイトの雰囲気や過去のラインナップなどを見てなんとなくこのフェス自分に合いそうだなぁと感じたのと、そもそもルクセンブルクという国、こんな機会もなければ行かないだろうなぁと思ったので行ってみることにしました。
このフェスについて
ソニックヴィジョンズ / SONIC VISIONS
ルクセンブルク公国で開かれる、国際ミュージックフェスティバル。まずルクセンブルクという国についてですが、ベネルクスと一括りに言われることからもベルギーのお隣に位置し、南にフランス、東にドイツと隣接している神奈川県ほどの大きさしかない小国です。他の同じ趣旨のフェスと比べると規模は小さいですが、毎年国際的なアーティストがしっかりブッキングされているこの国1番の(おそらく)ポップ&ロックフェスです。
開催時期
2019年11月15日-11月16日(例年11月中盤の週末、2〜3日間)
フェスの歴史
2008年に第1回目が開催されてから、今回で12回目を数えます。ソニックヴィジョンズはルクセンブルクと海外のミュージックシーンを繋ぐフェスティバルとして開催されてきました。特に国内外からフレッシュな若手アーティストが多くブッキングされることが特徴です。同時に音楽カンファレンスも開かれるため、専門家も訪れます。
カンファレンスを同時開催するフェスは他にもありましたが、こういう小規模なフェスでは運営を続けて行く上でカンファレンスを開くことは重要な要素の一つなんだと思います。専門家が集まる場を設けることで単純な観客動員を目的にやっていくのとは別の存在意義ができますし、専門家の発信力や影響力が加わり、ブランドの厚みが増しますよね。
音楽ジャンル
ポップ、ロック、エレクトロなど様々なジャンルから、今が旬の生きのいいルーキーが出てきます。特に今年はYUNGBLUDやALEC BENJAMIN、DERMOT KENNEDYなどのキッズが好きそうなポップシンガーが結構出てきてましたね。久しぶりに黄色い声援の多いライブを見ました。笑
また、過去にはDEATH CAB FOR CUTIE、ALABAMA SHAKES、COURTNEY BARNETT、THE LUMINEERS、SUPERORGANISMといったメジャーアーティストも出演しています。
チケット購入
1日券、2日券があります。僕は2日券を開催1週間前に€38,50で購入しました。小さいフェスなので他のフェスと比べてお手軽です。また、カンファレンスに参加する場合は専用(Music LAB)チケットがあります。
19年はビョークが同じ敷地内のRockHalでコンサートを同日(土曜)開催するということで、コンビネーションチケットが販売されていました。
開催場所
開催場所のBelval(ベルヴァル)と呼ばれるエリアは元々製鉄所だったようですが、現在は再開発が進み、跡地にルクセンブルク大学の理工学部が建ち、その隣にはルクセンブルクで最大の音楽ホールRockhal(ロックハル)が出来ています。ソニックヴィジョンズはこの大学の文化センター内を使用し、年によってはロックハルも含めたエリアで開催されます。
ビョークがコンサートをしたためでしょうか、19年はロックハルでのステージはありませんでした。
再開発されたと言っても、製鉄所時代の高い煙突や工場跡をしっかりと残しており、フェスティバル期間中はこれらの建物にライトアップが施されてフェス感が増しいい雰囲気です。
現地到着から会場周辺まで
ルクセンブルクへはフランスから列車で入国し、ルクセンブルク中央駅に到着しました。公用語はルクセンブルク語ですが、フランス語もドイツ語も話されているので違う国に来た感覚が薄いです。ちなみにルクセンブルクの首都はそのまま同じくルクセンブルクです。
中央駅にはパリやベルギーブリュッセルからの列車が到着します。他にドイツやスイスなどからの列車も来ているようです。詳しくはレイルヨーロッパなどで検索して見てください。
飛行機で来た場合は街から車で30分程の位置にあるフィンデル空港に着きます。ここからバスが中央駅まで走っています。運賃は片道2ユーロでした。
2020年にルクセンブルクの公共交通機関が無料になるという方向で話が進んでいるようです。すごいですね、さすがヨーロッパ随一のお金持ち国家!
次に会場までの交通ですが、ルクセンブルク市内と会場のあるBelvalはかなり距離が離れており、ここまでの交通手段は列車になります。中央駅からRodange行きの列車でBelval-Université が最寄駅になります。所要時間は40分弱です。
行き方や時刻表などはGooglemapで確認できますが、深夜の列車などは出てこないので、後述するmobiliteit.lu APPをダウンロードしてください。これはルクセンブルク交通の乗換案内で終電の検索などはバスルートまで出してくれます。バスを乗り継いで市内へ帰るほんとの最終ルートを出してくれるのですごく助かりました。
またソニックヴィジョンズのチケットは持っているだけでバス、列車など公共交通機関が無料となるなんとも太っ腹なチケットだったので、切符を購入することなく乗車しました。
ルクセンブルクは改札がなく、検察の人もまわってこなかったのでチケットを見せる機会がありませんでしたが、変なトラブルを避けるためにも一応サイトなどの説明を見せれる準備をしておいたほうがいいかもしれないです。
Belval Université 駅。降りて橋をわたると会場は目の前です。
会場への行き方オフィシャルページ
フェス情報の必需品
mobiliteit.lu APP
ルクセンブルク交通のアプリです。深夜の乗換案内がバスの乗り継ぎなど合わせて細かく出してくれます。期間中の運休情報などもわかったので、かなり助かりました。これぜひ入れておいてください。
リストバンド交換
チケットボックスはゲート横にあるので迷うことはないです。E-TicketはプリントせずスマホからQRコードを読み取ってもらいました。
会場(ステージ)の様子
狭いエリアですが混雑することもなく、雰囲気もいい感じです。
ライトアップも綺麗にされてます。
屋外ですが、ミニドームのAGORAステージ。
完全屋内の暖ったかIRONステージ。
メインステージのTANGOステージ。ここが唯一の屋外ステージでしたが、本当に本当に寒かった。。しかもメインだから外せない。。
会場では出演者グッズは売っていましたが、フェスのオフィシャルTなどはありませんでした。その代わり無料トートバッグが配られており、自分でオリジナルプリントを付け加えることができました。
全部で4ステージの必要最小限です。タイムテーブルは常時2ステージずつ演奏をしていました。
ちょっと見にくいですが、製鉄所跡地がしっかり残っています。
個人的ベストパフォーマー
BALTHAZAR
ベルギー出身のオルタナロックバンド。聞いた感じはベルギーのFOALSかFoster the Peopleと言った感じのダンス色の強いロック。いろんな国にしっかりいいバンドっていますね、今回一番聞きたかったし、聞けてよかった。
KLEIN
ベルギー出身のピアニストである、Jerome Kleinが活動する、ミニマルなエレクトロユニット。ライブ非常に盛り上がってました。
THE CHOPPY BUMPY PEACHES
地元ルクセンブルクのバンド。ROOKIE A GO-GOの最後に出てきそうなサイケデリック感強めのインディーバンド。ボーカルの子はアジア系でした。
DERMOT KENNEDY
10月のイギリスチャートで、デビューアルバムが初登場1位となり、次世代のメインストリームに乗っかった感じのアイリッシュシンガー。見た目通り、声もライブもパワフルでした。
ALEC BENJAMIN
ダーモットとは対局の甘いルックスのアメリカンシンガー。声が高く天使の歌声って言われてるとか。タイムテーブル的には今回一番のメインだったのかな?
YUNGBLUD
キッズからの黄色い声援が一番だったUKシンガー、ヤングブラッド。いかにもやんちゃな感じでメインステージを走り回ってましたけど、屋外ステージのめっちゃ寒い中、短パン一丁で歌う姿にはプロ根性を見たな。
BLANCO WHITE
エアウェイブスにもいたけど見れなかったのでここで補完。スパニッシュ音楽的なラテンの風と現代ポップ・ミュージックを掛け合わせた感じで心地よかった。
VIDEOCLUB
ティーンエイジ・フレンチポップ。こういうのは地元じゃなきゃ中々聞けない。
KOMFORTRAUSCHEN
ベルリン出身バンド。いかにもらしいテクノサウンドをベースにしたミニマルな音でよかったですが、途中までしか聞けなかったのが残念。
LAST TRAIN
サマソニにも来たことのある、フランスのザ・王道ロックバンド。名前の通り、全タイムテーブルのラストに登場したもんで、この後の終電が気になってしょうがなかった。
周辺環境
気候
普通に寒かったです。前の週にアイスランドにいましたが気温はまったく同じでしたね。加えてメインステージが屋外のため、しっかり防寒をしていかないとかなりきついと思います。
お金
お金はユーロです。GDPの高い国ですが、物価が高いという印象は特になかったですね。お隣のフランスやベルギーなんかと変わらないと思います。クレジットカードはファストフード、スーパーなど普通に使えます。VISA、MASTERなら心配いりませんがAMEXはほぼダメでした。
食事
会場には場外にケータリングスペースがあります。フードは持って入れないので、外で食べて再入場する感じです。
ちなみにペットボトルなどドリンク類の持込みは禁止とチケットには書いてありました。
ルクセンブルク市内では "OBERWEIS" というパンやスイーツを売っているお菓子屋さんが有名らしく、ここで売っているチョコレートなどは王室御用達でルクセンブルク土産に買っていく人が沢山いるみたいです。中央駅にも小さな店舗があります。サンドイッチなども売っているので電車に乗る前にでも寄ってみては。
インターネット
会場にはcitiwifi Freeというパブリックwifiが飛んでいました。多分たまたまそのエリアにあるのを拾っただけだと思います。遅かったですが一応接続はできました。
泊まるところ
ルクセンブルク中央駅の真正面に泊まりましたが、終電で帰ってきてすぐ宿に戻れたので、ここを選んで正解でした。
駅周辺にはホテルが多いようです。ここだと会場までは電車で行かなければなりませんが、観光などするのであれば、やはりルクセンブルク市内がいいと思います。ちなみに会場のあるベルヴァル付近にもホテルはあります。
困ったこと
まだ言いますけど、寒い、すっごく寒い。メインステージが屋外なんで、もろ肌に応えます。エアウェイブスでは屋外ステージがないので移動中だけ我慢していればよかったですが、同じ気温だと屋外ありのこっちの方が断然きつい、演者でさえダウンにマフラーでしたよ。笑
もう一つは終電です。フェスの終演時間は大体1:00amでしたが、グーグルマップの乗換案内ではその時点でルクセンブルク市内に帰る列車はないと出ていました。しかし、前述のmobiliteit.lu APPではそれ以降も列車とバスを乗り継げば中央駅まで帰れると出てきていました。実際やってみてその通りに帰れたので、最後までいて市内の宿に帰ることは可能です。ただ必ずアプリで確認してくださいね。
列車で途中のBettembourg駅まで行き、そこでL60のルクセンブルク行きのバスが待っていました。もちろんフェスチケットで無料です。
最後に
タイトルに書いた通り、このフェスの年齢層すごく若かったんです。メジャーなフェスにばかり行ってると、参加者が大人ばかりの環境に慣れちゃってましたが、ここではちゃんと地元の子たちが大勢いる、ローカルな雰囲気を感じて逆に新鮮でした。それでいてラインナップは国際色豊かなんできっと地元に住んでるとしたら理想的なフェスだろうなと思います。
メジャーなフェスは年々チケットが高騰し、それこそフジロックなんかにキッズが行くには金額的にはかなりハードルが高いですよね。自分も学生の時に行きたい行きたいと思ってもお金がなくてしばらく行けませんでした。まぁ大規模フェスは高くてもしょうがない部分もありますが、今回のフェスみたく、規模は小さくても、地元だけじゃない、国際色豊かな音楽が聞けるキッズに向けてのフェスもたくさん出てきてほしいものです。
日本に住んでいてこのフェスのためだけにヨーロッパに行くかと言われれば、まぁ行かないでしょうから、正直需要はないかなぁとも思いましたが、近くを通る際、またはルクセンブルクという国に来る言い訳の一つには、お手軽ないいフェスかなと思います。この時期は他のフェスとも被らないですしね。ただしすごくすごく寒いのでそこだけはご注意を。