【グラストンベリーへの道】 開催間近のグラストの歴史と19年の予習!!
さぁいよいよです。
今回は来週に迫った、グラストンベリーフェスティバル19の予習として、グラストの歴史と19年のステージをさらっておこうと思います。
グラストンベリーフェスティバルの歴史
イングランド西部に位置するグラストンベリーはアーサー王伝説にゆかりのある地で、考古学の分野で貴重なスポットとして世界的に有名です。またグラストンベリー・トーという丘には毎年多くの観光客が訪れるようです。
そんなグラストンベリーから東に6マイル、ピレとピルトンという小さな街に挟まれた農場、"Worthy Farm”(地元発音で"ウォーズィファーム”)が、グラストンベリーフェスティバルの開催地です。
主催者マイケル・イービス
Worty Farm のオーナーである、マイケル・イービスは1969年にバースブルースフェスティバルを訪れ、そこで見たLed Zeppelinに感銘を受けたことで、野外フェスティバルを開催しようと決意します。
マイケルは今や超有名人で、2007年には長きに渡るフェスティバルの功績を讃えられて、エリザベス女王から大英帝国コマンダーの称号を授与されています。
戻って翌1970年、マイケルは自身の農場でフェスティバルを開催しました。このフェスは"ピルトン・ポップ、ブルース&フォークフェスティバル"という名で開催され、約1,500人が集まりました。そしてこれが長く続いていくグラストの記念すべき第1回目として記録されています。
記念すべき第1回目のポスター。ヘッドライナーはThe KINKSの予定でしたが、直前でT.Rexに変わっています。この時入場料は£1でした。
グラストの拡大
ピルトンフェスティバルの翌年、名前を"グラストンベリーフリーフェスティバル"に変え、出演者にはデビット・ボウイらが名を連ねました。この年にすでにピラミッド・ステージが誕生しています。
その後、フェスティバルはどんどんと拡大していき、80年代には隣接する牧場を購入し敷地を拡張します。しかし入場者は予想をはるかに超えて増えていき、この時期には来場者が毎年10万人を超える規模にまでなっていました。当時3万人規模の入場を予想していたにもかかわらずこれほど多くの群衆が集まったのは、ほとんどが敷地内のフェンスを飛び越えて勝手に入ってくる人たちばかりだったからです。この問題はその後もグラストの悩みのタネになります。
90年代に入るとニューエイジ(Wiki)と警備員の間で暴動が起こり、翌年には頑丈なフェンスが設営され、それまで無料で入れていたニューエイジ達もここからは無料で入れなくなりました。94年にはチャンネル4でTV中継が始まり、その年の金曜日のヘッドライナー"The Levellers"には史上最高の30万人のオーディエンスが集まったと言われています。(もちろんオフィシャル発表ではないですが。。)またこの年に"the Orbital"が伝説的なパフォーマンスを行い、マイケルはこの時がまさにダンスミュージックがフェスティバルの中でメインストリームになっていく瞬間だったと語っています。97年にはブロードキャスティングがチャンネル4からBBCとThe Guardianに引き継がれました。99年にはそれまで二人三脚でやってきたマイケルの奥さんが亡くなり、そこからは娘のエミリーが運営の手助けを始めます。その後は彼女がアーティストのブッキングやステージ改変などを行い、運営のメインパーソンになっていきます。
2000年代に入ると、入場者問題がさらに深刻化し、00年には推定入場者数25万人(チケット10万枚のところ)まで膨れ上がりました。安全上の問題に直面したことで、02年にはスーパーフェンスと呼ばれる大規模フェンスが設置されます。そしてこのおかげもありフェンスを飛び越えて入ってくる、いわゆるフェンスジャンパーが激減しました。しかしこれと同時に、ここからは正規チケットを求めた争奪戦がはじまります。わかりやすいことに翌年03年は15万枚のチケットがわずか1日で売り切れてしまいました。(前年は14万枚のチケットが完売するまで2ヶ月かかったところ)その後はダフ屋や偽造チケット対策などのたびに、チケット販売システムが改良されていき、現在のような事前登録制、そしてデポジット支払いシステムへと変わっていきました。
と、ウィキペディアからざっと歴史を拾ってきましたが、これだけでも世界最大規模の運営が大変なことはよくわかります。
ちなみに£1ではじまったグラストのチケット価格は、90年には£38、2000年£87、2010年は£185、そして今年19年は£253と上がり続けています。世界一高いフェスとも言われるフジロックフェスティバルですが、グラストがそのうち追い越しそうな勢いです。
さて今年(19年)で36回目を迎える、グラストンベリーフェスティバルですが、新しい大きな運動としてはイベントでのペットボトル販売が禁止されるようです。その代わり入場者は飲み物ボトル持参またはステンレスのオリジナルボトルを購入の上、無料のウォーターキオスクなどを利用できるとのことです。
ステージとラインナップ
2019年のオフィシャルサイトに載っているステージ数を数えてみたところきっかり90ステージありました。サイトにはちゃんと90ステージ分のタイムテーブルが載っているので、見はじめたらスクロールが終わりません。。メインステージだけに絞っても、把握できないんじゃないかと思うぐらいです。
PYRAMID STAGE
THE OTHER STAGE
WEST HOLTS STAGE
JOHN PEEL STAGE
THE PARK STAGE
ACOUSTIC STAGE
AVALON STAGE
GLADE
LEFT FIELD
SONIC
GULLY BLUES
WOW
IICON
GENOSYS
NYC DOWNLOW
THE TEMPLE
PILTON PALAIS CINEMA
ARCADIA'S PANGEA.....
ざっとあげてもコレくらいはあり、この他に小さなステージがまだまだあります。この中でもメインのメインあたりのステージだけですが、取り上げて見ました。
・PYRAMID STAGE
言わずと知れたグラストの顔、ピラミッドステージ。ピラミッドにした理由の一つに太陽から強力なエネルギーを頂点から浴びるという意味があるからとのこと。雨天の多いグラストでは実際に雷がピラミッドの頂点に当たったこともあるそうです。
71年に最初のステージが建てられてからというもの、ローリングストーンズ、デビット・ボウイ、ザ・フー、ブルース・スプリングスティーン、オアシス、レディオヘッド、ジェイZといった錚々たるアーティスト達が立ったステージ。ここで多くのフラッグがはためいてる映像はこれぞグラストって感じがします。
ちなみに先代のステージは94年に設営中に全焼してしまったため、現在のは3代目。エジプトのギザの大ピラミッドを基にしているそうです。
ラインナップ
金曜日:STORMZY, GEORGE EZRA, MS. LAURYN HILL, BASTILLE...
土曜日:THE KILLERS, LIAM GALLAGHER, JANET JACKSON, HOZIER...
日曜日:THE CURE, VAMPIRE WEEKEND, MILLEY CYRUS, KYLIE...
・THE OTHER STAGE
1980年代後半に開設されたこのステージは、当時NMEステージと呼ばれていました。ここで、オアシス、ブラー、パルプなどの伝説的なパフォーマンスが行われ、とりわけ前述の94年のヘッドライナーであるオービタルが行なったパフォーマンスは、今までアンダーグラウンドだったダンスミュージックというカテゴリをフェスでのメインアクトに押し上げるキッカケとなった重要なステージでした。
ラインナップ
金曜日:TAME IMPALA, TWO DOOR CINEMA CLUB, THE LUMINEERS...
土曜日:THE CHEMICAL BROTHERS, SIGLID, JOHNNY MARR...
日曜日:CHRISTINE AND THE QUEENS, DAVE, BILLIE EILISH...
・WEST HOLTS STAGE
エレクトロやソウル、ジャズ、実験音楽といった多様なラインナップが組まれるようです。次世代のポップスターなども出演します。
ラインナップ
金曜日:JON HOPKINS, JORJA SMITH, MARIBOU STATE, SWINDLE...
土曜日:WU-TANG CLAN, JUNGLE, NENEH CHERRY, LIZZO...
日曜日:JANELLE MONAE, KAMASI WASHINGTON, ROY AYERS...
JOHN PEEL STAGE
象徴的な青とオレンジのテント、以前はTHE NEW TENTと呼ばれており、その名の通り、若手アーティストが多くラインナップされるステージです。95年からその前年に亡くなったDJ ジョン・ピールの功績を称えて現在の名前に変わりました。
ここではジャンル問わず、多くの新人や無名アーティストが出演しており、まだ売れる前の、マムフォード&サンズやフローレンス&ザ・マシーン、ジョージ・エズラ、などが伝説的ライブを行なったとか。その後語り継がれるステージが多いようですね。
ラインナップ
金曜日:INTERPOL, PALE WAVES, AURORA, ROSALIA, POND...
土曜日:TBA, BUGZY MALONE, SHARON VAN ETTEN, LOW...
日曜日:THE STREETS, FRIENDLY FIRES, SEFFLON DON, OCTAVIAN...
THE PARK STAGE
エミリー・イービスが発案した、パークと呼ばれる一帯はステージだけでなく、アトラクションやバーなどがたくさん出ているようです。アーティストによる彫刻スペースやディスコテント、ヨガテント、チャリティースペース、慈善活動スペースなど様々な施設が軒を連ねています。
ラインナップ
金曜日:CAT POWER, MICHEL KIWANUKA, IDELES, SOAK...
土曜日:HOT CHIP, KATE TEMPEST, KURT VILE & THE VIOLATORS...
日曜日:REX ORANGE COUNTRY, LITTLE SIMZ, THE GOOD, THE BAD AND THE QUEEN...
ACOUSTIC STAGE
その名の通り、アコースティック音楽が流れる丘の上にあるテントステージ。過去にはレイ・デイヴィス、ジャクソン・ブラウン、ウォーターボーイズ、ロバートプラントなんかも出演したそうです。
ラインナップ
金曜日:NICK LOWE'S QUALITY ROCK & ROLL REVUE, THE MAVERICKS, ERIC BIBB...
土曜日:HAWKWIND, KEANE, MARTI PELLOW THE VOICE OF WET WET WET...
日曜日: RICKIE LEE JONES, ALBERT HAMMOND, MADELEINE PEYROUX...
AVALON STAGE
ここもアコースティックのステージが多く、芝生の上で寝転んでビールを飲んだり、ゆったり過ごせる雰囲気のエリアのようです。雨が降ってもテントがたくさんあるので避難できそうですね。
ラインナップ
金曜日:FRANK TURNER & THE SLEEPING SOULS, THE MAGIC NUMBERS, MORCHEEBA...
土曜日:THE CAT EMPIRE, IBIBIO SOUND MACHINE, JAMES MORRISON...
日曜日:REEF, NAHKO AND MEDICINE FOR THE PEOPLE, BANANARAMA...
GLADE
木々に囲まれたエリアにあるグレードステージ。エレクトロやDJが主にパフォーマンスを行うステージです。サウンドシステムも良いらしい。
OTHER STAGE や LEFT FIELDから近くエリアの真ん中にあるので、よく通りかかる場所でしょうね。
ラインナップ
木曜日:GEORGE FITZGERALD, SPIKEY...
金曜日:FATBOY SLIM, SOLARDO, DUB PISTOLS...
土曜日:SETH TROXLER, CARL COX, IDRIS ELBA...
日曜日:SQUAREPUSHER, GIANT SWAN, EAT STATIC...
LEFT FIELD
ビリー・ブラッグがホストを務める、レフトステージは社会的メッセージがテーマになっており、音楽だけでなく政治や、社会活動に関するディベートなども行われます。今英国はブレグジットで揺れていますし、今年はかなり白熱した議論が行われるのではないかと思われます。
ラインナップ
金曜日:BILLY BRAGG, DREAM WIFE, LIFE...
土曜日:KT TUNSTALL, SAM FENDER, STELLA DONNELLY...
日曜日:FANTASTIC NEGRITO, ALGIERS, FONTAINES DC...
SILVER HAYES
グラストのダンスパーティー担当としてオーガナイズされているシルバーヘイズは1つのステージではなくいくつものステージで構成されています。
1995年にマルコムヘイズによってダンステントと呼ばれるたった1つのテントで始まったシルバーヘイズはその後拡大していき、複数のステージを持つダンスビレッジへと進化していきます。今年2019年のシルバーヘイズは全部で6ステージ用意されています。
2019年:SILVER HAYES
SONIC / GULLY BLUES / WOW / PUSSY PARLURE / BBC MUSIC INTRODUCING / NO AVERAGE GROOVE
ラインナップ
Wilkinson B2B Sub Focus, HYPE B2B RANDALL, Camelphat, MAVERICK SABRE, Four Tet, CRAIG RICHARDS B2B BEN UFO, EMMA-JEAN THACKRAY'S WALRUS, SAMPA THE GREAT, KARA MARNI...
*ステージ写真はグラストオフィシャルサイトより
お家でグラスト
お家でグラストを感じるには、BBCが専用のサイトを作っていますので、そちらをぜひどうぞ。現地からの中継が見れたり聴けたりします。僕は毎年これを聴きながら本格的なフェスシーズンが来たなぁと感じてます。
期待も不安もいっぱい
海外では初のテント泊フェスなので、期待も不安もいっぱいです。テントはいったいどこに立てるのがいいのか?雨と寒さはどれくらい?グラスト名物の"沼”はどれほどか?持ち物の正解は?などなど不安をあげたらキリがないですし、きっと多くの不便と失敗が起こりそうですが、それさえも楽めるフェスだと信じて行って来ます。
では次回は帰って来てから、グラストの実際の姿をレポートしたいと思います!