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加速する「電子政府化」への流れ - GovTech

テクノロジーの発展によって、多くの業態がデジタル化を進めてきました。そして、〇〇 x Techという言葉が当たり前に聞かれるようになりました。

例えば、FinTech(金融)、EdTech(教育)、HRTech(人材)、InsTech(保険)...などです。

テクノロジーを活用することで、従来では提供できなかった新しいサービスを開発したり、業務効率を改善することでコスト削減を実現してきました。

昨今では民間企業がテクノロジーの活用によって経済活動をデジタル化していくことをDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼び、多くの企業で推進されています。

GovTech(ガブテック)とは何か?

〇〇 x Techが注目される中で、政府や行政もデジタル化を急速に進めています。

GovTech(読み:ガブテック/ガヴテック)とは、Government Technologyの略称であり、政府や行政がテクノロジーを活用することで、より良い公的サービスの提供を目指したり、既存業務の見直しをはかり、業務自体の効率化を実現していきます。

例えば、渋谷区ではチャットアプリの"LINE"から住民票の写しを請求できるようになりました。このように、市民がスマートフォンのアプリから行政手続きできるようになるのもGovTechのメリットの一つと言えます。

GovTechのメリット

■ 市民のメリット

行政手続きの中にテクノロジーが入っていくと、市民の利便性が劇的に高まってきます。

例えば、

- 同じ内容を何度も書類に記入しなければならない
- 本人確認のために窓口まで行って申請しないといけない
- 印鑑を押印しなければならない

こういった従来からある不便さを、テクノロジーが解消してくれます。

結果的に、

- 一度書いた情報は再度入力する必要がなくなる
- オンラインで手続きが完了できる
- 電子署名によって署名が完了する

といったことが実現されます。

行政手続きには、紙を使ったアナログな処理が多く残っており、その結果、非常に煩雑な手続きになってしまっています。それに伴い、時間もかかってしまいます。これが、デジタル化されることで、無駄な時間を過ごす必要がなくなります。

■ 自治体のメリット

各自治体がテクノロジーを活用するとことで、書面や押印などのアナログ手続きを廃止できます。その結果、書類に不備がないか確認するなど、人的な確認が必要なプロセスを排除でき、ミスを軽減できます。さらには、手続きの煩雑さが軽減されることで、長時間労働を削減でき、本来向き合うべき課題解決にコストをさけるようになります。

また、データが失われたり、不正に書き換えられていたといった事例もデジタル上で適切にセキュリティ管理を行い、権限付与することで透明性が高く、安全な運用が実現できます。

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例えばGovTechを積極的に推進しているエストニアにおいては、99%の公共サービスが24時間オンラインで手続き可能です。そして、デジタル化したことで844年分の労働時間を節約できたとしています。

■ 民間企業のメリット

GovTechは、行政手続きをデジタル化することのみを示すわけではありません。テクノロジーが行政と民間企業の橋渡し役となることで、連携をスムーズにし、新しいエコシステムを創出します。

つまりは、民間企業もユーザーに対してより利便性の高いサービス提供が実現すると共に、新たな事業を創出する機会となります。事業運用上のコストに関しても大幅に削減されることが期待されます。

先ほど例でご紹介した渋谷区で住民票の写しをLINEで請求できるようにするといったことも行政と民間の連携によって実現したサービスの事例です。

今後はマイナンバーカードの普及によって、マイナンバーカードによる本人確認で、各種民間企業が提供しているサービスにアクセス可能になったり、行政側が公開するAPIを活用した新しいサービスが誕生することになります。

日本政府の状況

日本では、行政手続きの9割をデジタル化することを目標にした「デジタル・ガバメント実行計画」が進んでおり、デジタル化により業務を効率化することで、利便性の高い行政サービスが提供されることが期待されています。

デジタル・ガバメント実行計画では

1. 必要なサービスが、時間と場所を問わず、最適な形で受けられる社会

2. 官民を問わず、データやサービスが有機的に連携し、新たなイノベ ーションを創発する社会

を目指しています。

つまり、単純にアナログの手続きがデジタル化するだけではなく、デジタル管理されているデータを活用して民間企業とのサービスと連携することでイノベーションを起こそうとしていることがわかります。

また、社会の情勢も大きく変化をしています。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府からあらためて行政手続きのデジタル化を加速するという要請が出ています。

これは、単純な効率化やコスト削減の範囲を超えて、オンラインで手続きが完了することによる人命の保護にもなると考えられています。

2020年以降、この流れは不可逆に加速していき、一気にデジタル化へと進んでいくことになるでしょう。

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