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ライターとして暮らす方法 第1回 どういう仕事があるのかを把握する

当連載は、シナリオライター&ゲームライターの各務都心(かがみとしん)が、原稿執筆だけで暮らせるようになった経緯や、実際にどういった点に注力していくことで仕事が回っているかについて、ライター業に興味がある方々に向けて広くお伝えしていくためのものである。

初回ということで、簡単にプロフィールを紹介させていただく。筆者は、シナリオライターとしてはマーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズが代表作であり、そのほかにはインディーRPGやアトラクションのキャラクター原案などを手掛けてきた。

ゲームライターとしては、Game*Spark、IGN JAPAN、AUTOMATON、Real Sound Techなどのメディアで記事を書いている。YouTubeチャンネルに出演することも多々ある。

自己紹介はこのあたりにしておいて、本編に入ろう。今回はゲームライターの仕事に絞って「どういう仕事があるのかを把握する」という点を考えていく。



●ゲームライターとしての実務

まず、ゲームライターという職に就いている人間が、実際にどういう仕事を行っているかについて列挙させていただく。なお、似たような内容は下記のYouTube動画でも話しているので、暇な時に観てもらえると嬉しい。

●ニュース記事の執筆……ビデオゲームの新作リリースや、業界の動向についての記事。パブリッシャー(販売会社)やディベロッパー(開発会社)から届いたプレス文を基にして書くこともあれば、自分で海外掲示板などを辿ってネタを見つけてくることもある。PVが回る割に原稿料が安い。その分短い。筆者は書いたことがないので、あまり詳しくはない。

●プレビュー記事の執筆……新作ゲームのダウンロードキーを発売前に貰うか、発売直後のゲームを買って、数時間ほど遊んだ感想を書いた記事。
「PR」と記されていない場合、基本的には執筆者の素直な感想がそのまま載るが「レビューガイドライン」という開発側が用意した案内状を守る必要があり、ネタバレや攻略や著しいDISが載ることはあまりない。

●クリアレビュー記事の執筆……上記とほぼ同じだが、こちらは批評の意味合いが強く、尚且つ全クリする必要がある。メディアごとに採点基準が設けられ、それに沿って点数が付けられる。腕の見せ所その1。

●コラム記事の執筆……すでに売られているゲームや、業界のトリビアなどについて、自分で調べたり考えたりしてまとめる創作系の記事。大体はギャグ。「○○5選」とか「私的○○ランキング」も含む。腕の見せ所その2。

●取材/インタビュー……ゲームの大会やイベント会場に出向き、開発者やインフルエンサーに取材する記事。大抵、交通費は出るが拘束時間分の時給は出ないので、記事をどれほど早く仕上げられるかが勝負になる。インタビュー仕事は人によって好き嫌いが分かれる。

●その他(動画作成/メディア出演/編集業など)……ライターとしては記事を提出した時点で終わりだが、編集ポジションを任されることもある。ここまで来るとジョブチェンジした感がある。



こうしてゲームライターの仕事をある程度こなしてみて、わかったことも列挙しておく。

①安い
特にクリアレビューは時給換算すると悲惨なことになる。遊ぶ予定がある、どうしても推したい、ついでにコラムが書けそう……などの打算が必要である。正直、ゲームについて考えたり書いたりしている時間が一番削れるので、遊びながら頭の中で記事をほぼ完成させて、あとは出力するだけ……という具合になっていく。

②ゲームをクリアする腕が問われる
「ゲーム下手が挑戦!」という角度なら、独自の視点からの面白いコラムが書けるかもしれないが、長くゲームライターをやるなら基本的にどんなゲームもサクサククリアできないと詰む。ぶっちゃけ、文章力よりも、ゲームをいかに早く理解できるかというほうが問われると思う。

③最新のゲームへのアンテナを張り巡らせておく
結局我々の仕事というのは、文筆業でありながらほとんどの場合はバイヤーズガイドである。どんなに「世界の今をゲームカルチャーから捉えて斜めにぶった切る!」みたいなユニークなコラムばかりを書きたくても、編集部から飛んでくるのは最新作の試遊か取材のレポである。なので、これから出る最新作を好きになったほうが良いし、最新のPCやゲームハードは揃えておかないと話にならない(そこが一番の出費である……)。

筆者の知り合いでも「ゲームメディアはもっとレトロゲームを取り上げるべきだ」と怒っている人がいたが、それは一意見としては正しいが、本気で思っているなら自分でメディアを立ち上げたほうがいい。結局、パブリッシャーやハードメーカーは次に来る最新作を宣伝したいからメディアに金を払うわけで、ライター個人としては、わざわざ流行やムーブメントに逆らうよりは、自分でもそのお祭りに乗っかったほうが全体的に得なのだ。

ちなみに、最新ゲームのチェックについては、下記のようなサイトを参考にするとわかりやすい。こういうカレンダーを見ながら「この日にこれが出るから大体こういうコラムが書けて……するとこの日にちょうどあれが遊べるかな」と目算が付けられるようになるともう君は立派なゲームライターだ。ま、緊急発表で名作のリマスターが即日配信されたりして、スケジュールなど毎月必ずぶっ壊れるのだが……。
https://www.releases.com/l


今回はこの辺で。次回以降もライター業のコツや事情について書いていきたいと思うので、フォローのほうお願いします。
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