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酸化機構(脂質)とエネルギー生産

こんにちは。
ATPを産生する経路はクレアチンリン酸を材料とするホスファゲン機構、糖質を材料とする解糖系、脂質を材料とする酸化機構とがあります。

今回は酸化機構についてです。

ホスファゲン機構、解糖系についての詳しい解説は上記ブログをご覧ください。

酸化機構

遊離脂肪酸から作られるアセチルCoAによってミトコンドリア内のクエン酸回路・電子伝達体を経て実行されるATP機構になります。(好気的代謝)

クエン酸回路・電子伝達体についての詳しい解説は上記からチェック。

要するに脂肪と酸素を用いてエネルギーを作り出す機構を酸化機構と言います。


ここだけは抑えて欲しい。遊離脂肪酸と体脂肪

最初に記載しましたが遊離脂肪酸から作られるアセチルCoAが一番最初のエネルギー源になります。

つまりは体脂肪から遊離脂肪酸に変換される必要が有ります。

体脂肪は”ホルモン感受性リパーゼ”により中性脂肪が加水分解され
脂肪酸グリセロールに分解され、初めて血中に遊離脂肪酸が増加します。

血中の遊離脂肪酸をミトコンドリアに運びATP合成に用いる機構こそ
酸化機構のメカニズムになります。

ホルモン感受性リパーゼの活性の大きな引き金になるものがアドレナリングルカゴンといった血糖値が下がった時に分泌されるホルモンになります。

察しの良い方はお気づきでしょう。
そうです。血糖値が上がった際に分泌されるホルモン”インスリン”によってホルモン感受性リパーゼは抑制されます。

空腹時間が長くなるほど、血糖値は低下しアドレナリンやグルカゴンが分泌されるので、空腹時間を長くすると痩せると言っている人の理屈はここからきています。


運動強度・時間と各エネルギー機構のATP供給割合


https://www.pinterest.jp/pin/463167142918181552/

赤色がホスファゲン機構、黄色が解糖系そして青色が酸化機構になります。

運動時間が長くそして強度が低い際は、酸化機構への依存度が高まります。
逆に、運動時間が短く強度が高い(ウェイトトレーニング)場合は
ホスファゲン機構や解糖系への依存度が高まります。


脂肪酸のミトコンドリアへの取り込み

体脂肪(中性脂肪)のままではミトコンドリア内へ入っていけず、脂肪酸になって初めてミトコンドリア内へ運ばれます。

この為、ホルモン感受性リパーゼの働きによって体脂肪を分解し血中脂肪酸濃度を高める必要が有ります。

遊離脂肪酸→脂肪酸アシルAMP→脂肪酸アシルCoAになりカルニチンが結合し→脂肪酸アシルカルニチンに変換されます。

上記の変換作業はミトコンドリア外で行われ、カルニチンが脂肪酸に結合する事で初めてミトコンドリア内に入れる形になります。

ミトコンドリア内
脂肪酸アシルカルニチン→脂肪酸アシルCoAに戻り”β酸化”を経て
アセチルCoAに変換されTCA回路へ運ばれます。

↑この時点で初めて解糖系と同列に並びます。

TCA回路の詳細については上記ブログをチェック。



酸化機構の抵抗因子

ホルモン感受性リパーゼの非活性

アドレナリン・グルカゴン非活性、AMPKの発現が弱い


体内酸素量の低下

酸化機構は好気的代謝ですので酸素を必要とします。
鉄・※酸素輸送タンパク質量の低下

※ヘモグロビン:血中で酸素を運搬するタンパク質
 ミオグロビン:細胞内で酸素を運搬するタンパク質

巨赤芽球抑制因子の機能低下も同様です。
ヘモグロビンのサイズを毛細血管に近づくにつれサイズを細かくする必要が有りますが、細かく出来ない事で末端にヘモグロビンが運搬不可になり、ひいては末端冷え性などの原因にも

ビタミンB12・葉酸・ナイアシンがこの役割を担っています。


代謝補酵素の不足

マグネシウム・鉄・ビタミンB群を中心としたビタミン&ミネラルの充足が大切です。


電子伝達体の非活性

NAD(ナイアシン)・FAD(ビタミンB2)またコエンザイムQ10などが必要です。

電子伝達系の詳細は上記をチェック。


ミトコンドリアの酸化

代謝反応の鈍化に繋がるため


Lカルニチンの不足

当記事”ミトコンドリアへの脂肪酸の取り込み”で記載しましたが、ミトコンドリア内に脂肪酸が入り込むためには、カルニチンとの結合が必要です。


最後までご覧いただき、有難う御座いました。
AMPKや脂肪酸β酸化については後日、詳しく解説したいと思います。

ではまた!

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