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#3 行ったこともないニューヨークで、社会人3年目がいきなり起業した話

noteに登録して2週間、どうやら「自己紹介記事」を固定記事とすることがお作法だと学びました。ただの自己紹介を書くのも勿体無いので、monopoというクリエーティブエージェンシーのこと、私がどうこの仕事をやる経緯に至って、なにがどうなってニューヨークにいるかを代わりに書いてみようと思います。「20代だけどいつか起業したい」、「海外で働きたい」、「日本法人のニューヨーク進出って?」もしくは「monopoってどんな会社?」と思われたことのある方は、ぜひこの記事にお付き合いください。


プロフィール

プロデューサー/UXデザイナー。デジタルキャンペーンを作ったりwebブランディングの担当をしてます。29歳、ブルックリン在住、中国山東省出身、大阪育ち、趣味はウェルネスプロダクトの試用と食器集め、色彩検定一級とテキーラ・マエストロの資格を持っています。
このnoteでは下記をカバーします:
monopoのニューヨーク子会社を運営するにあたっての学びの備忘録
ニューヨーク、東海岸のトレンドシェア

1年目:25歳新卒クライシス

monopoへ入社したのは2019年、実は社会人2年目に突入したばかりのころでした。大学卒業後にデザインを学ぶと決め、イギリスでデザイン修士を取るという道を選択し、世に出て働き出したときはすでに25歳。新卒入社した東京のデザインコンサルティング会社では、UXデザイナーとしてゼロから育てていただきました。一年で辞めてしまったのですが、短い期間ながらこのときにジェネラリストであるという適性にも気づくことができたし、上司・同僚の皆さんに恵まれたおかげで、実務だけでなく何事にも主体性や当事者意識、そして何より興味を持って課題解決に挑む姿勢を学びました。

社会人2年目のころ、あるワークショップにて

それでも転職をしたのは、自分を他者と比べまくった結果の働きすぎが原因でした。社会人になる前はスペキュラティブ・デザインやソーシャル・デザインといったカタカナだらけの分野を専門としていたので、それらが実務として浸透していないリアル世界に出て、自分がインプットばかりの頭でっかちに思えたんですね。そして外を見ると同学年の子たちは社会人4年目とかだったりしたので、単純にめちゃくちゃ焦ってました。部署ではほかに新卒がいなかったので、とにかく役に立とうとして頑張ってたら、自分が仕事に夢中であるような錯覚をしてしまい、長時間働き、気づけばバーンアウトしてました。

2年目:転職、とりあえずの解が「友だち」

はじまりは、転職を決めたときにmonopoで働く大学時代からの親友が「仕事辞めるなら、うち来たらええやん」と言ってくれたことでした。どうせ働くなら、楽しく働きたい。クライアントを愛したいし、プロダクトを誇りに思いたい。そう思っていた私の頭に、新しく「楽しく働ける絶対条件」が浮かびました。それは友だちと働くこと

Global Development Directorのジョージ・ロバーツ(左)とProducerの友谷朝子(中央)
10年来の友達かつ、今も毎日一緒に働いている朝子は、monopoのベルリンデスクにいます

もちろん仕事は友だちごっこではないですが、信頼・尊敬している人と働くことには私がそれまで経験したことのなかったポジティブな効果がありました。まずコミュニケーションの質(自然な気遣いやリスクヘッジ)に比例して、アイデアもどんどん出し合える。お互いのセールスがめっちゃ上手くなる。苦手なことを依頼するというシチュエーションが減る。雑にまとめると心理的安全性が担保された環境ってことなんだと思うんですが、これが対クライアント/クリエーターなど外側へのコミュニケーションにも生きてくる。そしてそうなると、基本的に企画や制作のプロセスは3倍くらい楽しくなっている。発見であり、今も続けている働き方です。

3年目:もっとリスクテイクがしたい

monopo Tokyo Officeのメンバー

そうしてmonopoに入って半年も経たないうちに、パンデミックが起こります。コロナ禍の初めには新しい日常のリズムを作ることにいそしみ、オンラインヨガをして、料理も3食ちゃんと作って、みたいなことをやってました。でも撮影できない、外食にも行けないといった日々が続く中、あるとき「もはや一回全コントロールを失ってみたいな?」とぼんやりと思ったんです。思い出したのは新しい都市でいちから始める感覚。ワクワクと怖さが同じくらいの割合で入り混じったあの感じです。

挑戦するならどこだろう?ロンドン・東京に負けない、もしくはそれを超えるクリエイティブ市場として浮かんだのが、ニューヨークでした。行ったことも、ましてやそれまで行きたいとも思ったこともなかった都市。調べると日本法人においてもハードルはたくさんあるように感じられましたが、それもまた不思議とワクワクを増長させてくれるような気も。絶対大変だしたくさんの学びとも出会うだろうけど、みんなとできたら絶対楽しい。よくできたら私にとってもmonopoにとっても大きな広がりが待っている、悪く転んで壮大な思い出作り(と、返済)

食いつなげればいい

そんな想像をした時点で、会社の代表である佐々木・岡田には相談を入れていました。突拍子もないアイデアでしたが、打ち明けるとすぐに「やろう!食いつなぐだけの算段があれば良いよ」との返事。競争率も価格も高いニューヨークのクリエイティブ市場、即答でGOをくれるとは思ってなかったので、この一声をもらったことで現実味を帯びました(一方で「この人たち、私に投資をしてくれているのか、それともクレイジーなのか…?」と感じずにはいれられなかったのも本音です)。

かくして本格的に子会社設立の準備が始まったのが2020年11月。そこからパートナーとなるmonopoメンバーMeiと組み(monopoは2019年にロンドンに支社を出しているのですが、その成功体験にならい「ペア起業」を目指しました)、とりあえず自費で現地視察に行き、営業所設立のための非移民ビザ取得、ローカルクライアントの獲得、渡米&営業所運営、子会社登記、移民ビザの取得、と実際の子会社設立まで約一年の準備期間を経ました。

2020年 9月    New York 子会社構想
2020年 11月   大統領選挙 & New York 子会社設立意思を固める
2020年 3月    現地視察
2021年 4月  非移民ビザ取得
2021月 5月  営業所設立プレスリリース
2021年 7月  渡米 & 営業所開設
2021年 10月   monopo New York 法人登記

過去1年のタイムラインはこんな感じ            

途中にはビザ発行などの長ったらしいプロセスがあったのですが、こうしてみると、ざっくり一年あれば新しい挑戦は割となんでもできるのかもしれません。もちろんトライをさせてくれる素晴らしい環境があったという物理的な運は持ち合わせてはいましたが、私は「起業をしたい」、「ニューヨークに住みたい」と強く思っていたわけではなく、お世辞にも社会人/クリエーターとして習熟しているわけでもありませんでした。ということは情報とやる気さえあれば誰でもできる、に等しいのだと思います。まだまだ日本のビジネスが少ないニューヨーク。私たちも自分たちの強みと弱みを再定義する毎日ですが、でも楽しくやってますし、意外とやれてもいます。そしてもっと多くの人にビジネスに、同じように感じてほしいです。

と、脈絡のない自己紹介になってしまいましたが、次回はもう少しエピソードベースな、はじめての現地視察で同業者の方に助けられまくった話なんかをしたいと思っています。

それでは素敵な一週間を!


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