見出し画像

白黒写真とは言うものの モノクロ手焼きプリント#7

白黒。

白黒写真。

「しろくろ」とよく言われる気がするが英語では「black & white」というのだから実は「くろしろ」が正しいのかもしれない。

黒白写真。

だが我々が撮っている写真は黒と白の表現だけだろうか?

いや、どう見たってグレーもある。
写真家によってはハイコントラストにして黒と白にかなり寄せる人もいるが、それでも二色だけで写真は基本的に成立はしない。

というより、黒と白を繋ぐグレーの方が面積的には多い。

だから黒白写真をこよなく愛する人々にとっては、黒や白よりもいかに綺麗にグレーを出すかが大事なのだ。

「カラー写真の色を抜いただけではモノクロ写真にはならない」

という言葉を黒白愛好家は胸に刻んでいるのだが(めんどくさいと思わないでね)これはグレーのトーンをいかに綺麗に出せるかという事を表している。
それには光がどう当たっているかを見る力や色を抜いた時にどんなトーンになるかを予測する力が必要なのだ。

なんだかんだモノクロで撮るのをずっと続けてきて、そして今モノクロフィルムでしか撮らないようになった私はまだまだ奥が深いと思いながらもグレーのトーンをいかにプリントで出せるかを思考錯誤している。

といっても、アナログ写真では結局撮影する時に適正な露出で撮るのが何よりも大事なのだなと実感する。プリントの時点でコントロール出来る範囲は思ったよりも少なく、写っているものがどんなに良くても、露出を失敗したネガは早々に切り捨てる必要がある。デジタル写真は素晴らしい技術だ、とアナログをしてみると思う部分もある。

今回の写真はネガの時点で「これは良いトーンだ」と思えた一枚。プリントも非常にし易かった。天気も良すぎず光が大人しかったのもあって適正露出が計りやすかったのだろう。

写真に写っている色ほとんどがグレー。黒と白はほとんどない。だがこのグレーをいかに美しく表現出来るかが我々が目指すところなのだ。
自分の写真を「参考にしろ」だなんて大それた事は言わないが、黒白の写真をあまり知らない人に「そういう見方がある」という事を知るきっかけになれば嬉しい。


camera : Leica M2
lens : Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 vintage line
film : Kentemere Pan400
developer : ADOX D-76
paper : ILFORD MGRCs

フィルム写真の文化の一助になるよう活動を続けたいと思います。フィルムや印画紙、薬品の購入などに使わせて頂きたいと思うので、応援の程よろしくお願い致します!