見出し画像

大人になって モノクロ手焼きプリント#8

子供の頃、田舎に住んでいた私は近所の田んぼや畔道で生き物と触れ合うことが多かった。田んぼにいるオタマジャクシやヤゴを観察したり、蝶やトンボを獲ったり。
子供の頃は昆虫などの小さな生き物と触れ合う機会が多かったが、大人になってからめっきり減ってしまった。そういった仕事に従事するかアウトドアの趣味でもないと大抵の人はそうだろうとは思うが。

ある日、山道を歩いていると柵の上にカマキリがいるのを見つける。久しぶりに昆虫を見るとつい観察したくなる。
近寄ってみると目が合う。しかしカマキリは動かない。おそらくかなり弱っているのだろう。ジロジロ見ている私を見返しながらカマキリはじっとしている。

昆虫や小さい生き物は不思議だ。
こんなに小さいのにちゃんと動くという事に感動する。その分脳は小さいので行動は単純な訳だが、それでも生きて生命活動を行うことが出来る。
子供の頃は自然と受け入れていたその存在も、大人になってから考えると生命の不思議を感じられる。

気が済んだ私は露出を計りカメラを向ける。
儚さや生命の光を感じたかったので逆光気味で開放で撮る。
カマキリはシルエットだけで写るが、観察をした事で私の頭の中でカマキリのイメージはしっかりと残っている。


Camera : Leica M2
Lens : voigtlander NOKTON 50mm F1.5 vintage line
Film : MARIX 400
Paper : Ilford MGRC


フィルム写真の文化の一助になるよう活動を続けたいと思います。フィルムや印画紙、薬品の購入などに使わせて頂きたいと思うので、応援の程よろしくお願い致します!