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37歳中南米自分探しの一人旅(前編)


<はじめに>

 37歳にもなって中南米自分探しの一人旅に行ってきた。

 「自分探しの」などと言うと冗談めいているが、これまでの自分の人生で、次の目標や生きがいを見つけるきっかけはいつも旅から産まれていたので、はっきりいって本気だ。
会社を辞める決心をして、もう一度自分の生き方を見つめ直したいと思った部分は当然あったので、このタイミングで旅に出られたのは本当に良かった。

 僕は12年働いた総合商社をバシっと辞めて大阪でホステルを開業したのだが、接客していていつも感じていたのが、そこに来る欧米ゲストの旅の仕方が素晴らしく楽しそうということだった。

 彼らは一泊だけ予約をし、気に入ったら延泊。気に入ったらその街にひたすらいる。そして飽きたら次の街に行く。どこに行くかはそこで決める。

 もちろんこのスタイルだと日本で一般的な短期型旅行では当然無理で、今回の僕の3週間という期間でも絞らないとなかなか難しい。
でもそれに近いことを体験してみたかったのだ。

 ではなぜ中南米なのか。
大昔にアルゼンチンに行って衝撃を受けた思い出。
危険だけど手を出してみたかった中米。
スペイン語のみで英語が通じないというサバイバル感。
日本への理解がまるでなく、究極のアウェイ感を感じられる。
そしてサッカー文化がある。
などなどの理由で単純に憧れを持っていたから。

 そういえば昔会社が嫌で嫌でしょうがなかったころ、アルゼンチンにスペイン語留学に行こうとしていたなんてこともあったなぁ。
などを思い出しながら、特典航空券でサーチャージのみのたった3万円弱で往復できるANAで、快適な空の旅を楽しみながらメキシコシティに飛びたったのであった。



<緊張>

 新しい国はいつも緊張する。
 
 僕はこれまで相当旅をしてきた。旅慣れているとも自負している。それでも初めて訪ずれる国に入国するときは緊張する。
それがスペイン語圏だからなのか、危ないと言われている国だからなのか不明だが、この緊張感は最高だ。
やはり慣れたアジアばかり行って偉そうにしてる場合じゃない、新しい国を開拓し続けなければ成長はない。

 今回はメキシコに知り合いが多くいるので、まずはその方々に会う予定にしていた。危険だと言われている新しい国で知り合いがいるというのは本当に安心。商社で働いていたおかげで世界中に知り合いがいるのは本当に助かる。

 アジアのイミグレは、日本人なら基本スルーというところが多いので、質問されるなんて忘れており想定もしてなかったが、メキシコのイミグレは結構質問攻め。
何しにきたのか、仕事はなんなのか、ホテルの名前は?など。
もう既に新鮮!いいねぇ。

 イミグレを出ると、前の会社の先輩が迎えにきてくれていて合流。僕の顔がこわばっていて緊張してるのがわかると言われた。やはり新しい国に緊張していたようだ。

 その先輩はケレタロというメキシコシティからバスで3時間くらいかかるところからわざわざ来てくれた。というのもメキシコシティについて早々サッカー観戦に行くからだ。
 
 サッカーファンにはとても有名なアステカスタジアムでクラブアメリカという名門クラブの試合があり、それを観戦。
メキシコについて早々、大きなバックパックを背負ったまま、アステカスタジアムへ。海外サッカーあるあるの21時キックオフという遅い時間に大きなバックパックを背負って1人で行くのは、流石にリスク管理出来なさすぎなので、現地在住の先輩がいて助かった。

 タクシーで移動中、運転手がクラブアメリカのファンでおまえらしっかり応援しろよ!と、
「アメリカ!!」
と大きな声で叫ばされたりして、
「ああ、サッカーが日常に根付いている国にきたなぁ」
と感じる。
日本で言えば、タクシーの運転手と
「今日も阪神は負けたね、今年もだめやね」
と話すようなもんだ。(関西なら)
それが中南米ならサッカーになる。最高だ。

 エスタディオアステカ(アステカスタジアム)。
めちゃくちゃでかい。日産スタジアムよりデカい。そして意外ときれい。
スタジアムの前には、偽物のグッズ売り場や屋台が大量に並び、ダフ屋が声をかけてくる。この後のスタジアムでもそうだが、偽物のグッズ屋はどの街にも大量にある。アステカスタジアムの周辺には100軒以上あったんじゃないだろうか。
タイのスタジアム周辺の雰囲気にも似ている。
しかしJリーグにはない光景だ。
賛否両論あるが僕は偽物のグッズが売られるのは良い事だと思っている。
「ブランドとしてのバリューが毀損される」
「それではクラブが儲からない」
「一部の人間がクラブをネタに金儲けする」
などと言われ、だから本当のサポーターならクラブ公式グッズを買うべきだなどという人も多い。
だが本当にそうなのかな?と思う。
まずはそのクラブの公式グッズは高くて買えない層にも偽物価格ならリーチできる。さらにこれだけ浸透するとほぼ全ての人が何らかのグッズを身につけ、むしろブランド力が向上する。そしてクラブのブランドなんてルイヴィトンじゃないんだから、利用されて拡散されてナンボ。クラブの存在はハイブランドになりたいわけじゃない。一般に消費される大阪でいうタコ焼きみたいな存在になりたいわけだ。
であれば、日本でももっと偽物グッズ屋が出てきて商売し始めてもいいとおもうんだが。。ジェネリック医薬品みたいなもんだと思えば違法性もないんじゃないのか。笑

 肝心の試合はというとホームチームのアメリカが開始30秒で退場者を出して(VARで)、当たり前だがそのまま負け。まぁ試合結果はどうでもいい。試合結果が知りたいんじゃなくてサッカー文化を見にきたのだ。

 メキシコリーグでは、同じスペイン語のアルゼンチン風の応援をしているがいわゆるコアサポーターの人数がそんな多くないので、なんかアビスパっぽかった。笑
あと幕を貼る文化はなく、ずっと旗をふっていた。
日本のように「旗のせいで試合が見えません!」
とか言う人はいるのかな?笑

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<人との繋がり>

 サッカー観戦の後そのまま夜行バスでケレタロに移動し先輩宅に宿泊。その街では僕が昔インドに住んでいた際にお世話になった方々が住んでおり、なんとパーティーを開いてくれた。人との繋がりを感じる。ありがたい。

 もちろん話題は僕達が大阪でホステル経営をスタートしたという話になり、「そういえばグアナファトに日本人経営のホステルがあって知ってる人だから紹介しようか」となった。素晴らしい人との繋がりだ。

 次の日はまたまたメキシコリーグを観に行くためにプエブラという街に行く予定だったが、変更!
そんないい話は絶対に乗っかりたい。と、予定を変更してグアナファトへ移動。
グアナファトは昔ながらの石畳の街並みが広がっていてとても有名な観光地。
その中でもかなりいい場所にそのホステルはあった。

 チェックインして数時間後、先述の日本人経営者の方が予定を変更して来てくれて色々会話。歳も近いしお互いの経歴などで盛り上がっていたところ、
「今からメキシコ人の誕生日会あるんですけど、来ます?」

行くに決まってる! 

 予定していなかったグアナファト訪問。予定していなかったホステル経営者との出会い。予定していなかったメキシコ人とのパーティー。

 結局、朝まで飲んでワイワイして、次の日超絶二日酔い。
一泊で今度こそプエブラ行く予定だったのが起きれず延泊。。
あーあ。でもいいんだ。これこそが僕がやりたかった旅のスタイルだ!

 まともに観光していなかったので、翌日はグアナファト観光をし、次の日チェックアウト。
次はアグアスカリエンテス(スペイン語で「温かい水」の意)という街に行き、温泉に入ってまたサッカー観戦する予定だった。だった。。

  ここでふとSNSで別の先輩がまさかの3度目のメキシコ駐在をしていることを知る。彼には本当にお世話になったのでこんな機会はめったにないから絶対会いたい!
ということでメッセージを送ってみる。
するとせっかくだけどVIPの来客が多くて忙しいので会えるかわからないという。
でもなんとか調整してもらって会えることに。

 人との繋がりだけでここまで来れた。素晴らしい。
しかもここまでほとんど奢ってもらってて、ほぼお金を使っていない。
プロ奢られヤーになった気分だ。

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<平和なメキシコ>

 サンルイスポトシに到着。サプライズで先輩が働いている会社(というか工場)に行ってやろうかとも思ったが、忙しそうなのと、郊外だからUBERがそこまで行ってくれるのか不明というのと、郊外は治安良くないと聞いていたのもあって辞め。
普段はしない美術館博物館巡りをすることにした。

 メキシコはとにかく物価が安い。その日は祝日だったのもあり無料の博物館も多く、高くても200円くらいの入場料。まぁ内容もそれなりだが、、、
メキシコの歴史やその街の歴史などの展示物が多く、彼らは自分たちの歴史にしっかりプライドもってることが良くわかった。アメリカに偉そうにされてるけど、歴史はこっちの方がよっぽど深い。そりゃそうだ。

 物価の話になったので言うと、メキシコはサービスレベルに比べてモノが本当に安い。費用対効果という点ではタイには負けるが満足度は相当高い。
モノも溢れているし、不便さを感じることもなく、都会の洗練さもありながら安い。
この後行ったコロンビアなどはもっと安かったが、モノやサービスのレベルが落ちるので、総合点でメキシコの勝ち!

 具体的に言うと、街にもよるがタクシーは120円くらいから。相当長い距離乗って500-600円くらい。タコスは1個100円以下。200円あればお腹いっぱい。ビールも200円くらい。
そして何よりメキシコ料理が美味い!そこら辺の屋台で食べまくり。
こういう屋台文化などもタイっぽいところがあり、日本人には馴染みやすい国と言える。

 もうこの頃にはメキシコに慣れ始め、カタコトながらスペイン語も少し話し、「メキシコが治安悪いなんてだれがいってるんだ?」と思い始めていた。

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<楽勝なメキシコ一人旅>

 次の日、さあどこへ行こう。
試合日程を調べるとグアダラハラで試合があるから行ってみよう。
ということでまたまたバスで移動。
メキシコのバスというと、エアコンも効かないオンボロバスを想像するかもしれないが、これがとんでもない。

 飲み物、軽食付き、トイレ男女別で付き、リクライニング最強、テレビ付き、電源付き、wifi付きという豪華バス。メキシコにしてはちょっと高いが、快適な陸の旅。
バスターミナルもアメリカのグレイハウンドのバス停などよりよっぽど綺麗で、表示なども整然としててわかりやすい。
色んなところ旅した自分からすると、「なーんか楽勝!!」という感想。快適すぎる。

 グアダラハラはメキシコ第二の都市で治安も良さそうで天国。
ここでもサッカー観戦。
グアダラハラは2チームあるが、恐らく有名じゃない方のアトラスの試合観戦。
スタジアム周りは薄暗く、ちょっと危ない雰囲気はあるものの
女性はいるし子供連れもいる。
Jリーグは「女性や子供でも来れるスタジアムを」と言い過剰な警備をし、ちょっとでも問題行動があると出禁だなんだとなるが、メキシコでは上手く調和を保てている。
アウェイサポーターを隔離する緩衝地帯もないし、騒動が起きる気配もない。
日本もネット上に蔓延るマナー警察の監視によって押さえつけなくても、こういうスタジアム作りでいいんじゃないかと思う。
実際にメキシコでは女性や子供も含め家族連れで楽しんでいた。
なんだったら女性も普通にウルトラエリアにいた。
これでいいのだ。

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<まさかの再会>

 このグアダラハラではまさかの再会が。

 グアナファトで宿泊した日本人経営のホステルで同じ部屋だった50前の日本人の男性。サラリーマンだったが海外出張が多くその出張手当てをずっと貯金していたそう。それを元手に50前なのに既にリタイアし、世界中を旅しているという。
 今回は5カ月中南米を旅行するそうだが、グアナファトで別れた後、たった2日後に違う街で偶然再会。しかも同じホステルに宿泊していた!こんなことあるんですねという話をしてまた人の繋がりを感じる。

 こうして旅をしていると色んな仕事をしている人に出会う。
へーそんな仕事があるのかと思わされることが多いし、視野を広げてもらえる。
日本人ですらそうなので、外国人なら尚更だ。
フリーランスで仕事をしているという人はもちろんいるし、1年仕事して1年旅しているという人もいる。
旅先で仕事して稼ぎながら旅している人も多かった。
本当に世界は多様化している。日本にいたらこれには気付けないよなと思う。

 ただ上記の日本人男性、早期リタイアで世界一周と聞けばとても贅沢な気がするがそういうわけではない。
彼はホステルに宿泊していたし、移動は飛行機ではなく基本バス。バスターミナルまでもタクシーではなくローカルバスを使っていた。
要は金の使い方という価値観の問題で、莫大な貯金がないと出来ない贅沢というわけではない。
夜行バスや下道遠征を繰り返すサッカーのサポーターが、なぜそこまでして観に行くのか問われる際の答えに似たものがある。
ただ好きだから。楽しいから。それだけなんだよなぁ。

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<コロンビアへ>

 さぁメキシコもそろそろ飽きてきた。ご飯は美味しい。人も優しい。でもメキシコ人は少しシャイというかイメージするひたすら陽気なラテンのノリというわけではない。
ということで今回の旅に出る前から行こうと考えていたコロンビアに向かうことにした。

 コロンビアは薬物やマフィアでめちゃくちゃ危ないというイメージが強い。ただロシアW杯を現地観戦したとき、コロンビアサポーターがかなりの人数現地にきており相当楽しんでいた。現地観戦するということはそれなりの豊かさを享受している証拠でもあり、近年のコロンビアは経済的に大幅に成長し治安改善もかなり進んでいると聞いていたので、興味があったのだ。

 さらに決定打。今コロンビアでは東京五輪のサッカー南米予選をやっている。
これは行くしかない!
ということでコロンビア第五の都市、ブカラマンガに向かった。(どこやねん!)
グアダラハラ→メキシコシティ→コロンビア首都ボゴタ→ブカラマンガ
これだけだとどれだけお金かかるのかと思うが、LCC最強!

 それぞれ6000円、13,000円、4000円で飛行機乗り継ぎ出来る。いい時代になったものだ。

 乗り継ぎスケジュールの都合上、メキシコ国内移動はバス移動にしたものの(価格はほぼ同じ)、こうしてブカラマンガに到着したのだった。

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<良い国コロンビア>

 メキシコのときと同じく初めて訪問する国、コロンビア。
安全になったとはいえ何があるかわからない南米。英語も通じず片言のスペイン語でやっていくしかない国。
やはりこれだけ旅していても新しい国は緊張する。

 だがしかし、、、ビクビクしていたがすぐに安心できた。
この国、人々がめちゃくちゃ優しい。。。。

 ホステルに到着すると受付の大学生風の男が、
「宿泊費の支払い?そんなのはいつでもいい。今はまず疲れてるだろうからゆっくり休んでくれ!」
相手の立場に立った発言とはまさにこのこと。
僕もこんなこと言えるようになりたい。
 
 入ったレストランではみんな話しかけてくれる。本当にみんなフレンドリーだ。
そしてメキシコよりはちょっとだけ英語が通じる。
ブカラマンガ、気に入ったぞ!

 そして、翌日東京五輪南米予選の最終予選のさらに最終日。
地元開催のコロンビアにもまだ可能性は残っている。
ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、開催国のコロンビアの4チームによる最終予選でここから2チームがTOKYOにいけるという。そりゃ盛り上がる!!

 行き当たりばったりの旅行の唯一の悪いところは、航空券やバスや宿、さらにはこういうイベントのチケットが直前だと高い、もしくは売り切れているという点だ。
この日のチケットもオンラインでは売り切れだった。スペイン語サイトを必死で翻訳しながら読み取ったのに。。。
まぁダフ屋から買えばいいか。。。

 スタジアムに近いホステルに泊まっていたので、朝起きて散歩がてらスタジアムへ。大事な試合の当日らしく、もう偽物グッズ屋やダフ屋が大量にいた。
当日券があるだろうと、正式なチケット売り場を探そうと思っていたが5秒で諦める。それもダフ屋が凄い勢いで群がってくるからだ。ちょっと怖い。コイツらを振り払ってどこにあるかもわからないチケット売り場の場所をスペイン語で聞き出し、たどり着くのは不可能と判断。割り切ってダフ屋と交渉をスタート。こんなのはインドでの交渉になれてる僕からすれば楽勝だ!

 コロンビアの通貨はややこしくて1円が30コロンビアペソ。計算がややこしい!
交渉の際に言われる数字を瞬時に30で割らないといけない。
1ドルなんて3300ペソ。恐らく昔にハイパーインフレでもあったんだろう。この国だけ桁数がおかしい。

 ゴール裏だと危険な可能性があるのでメインスタンドでチケット探していると
1700円の席を1万円と吹っ掛けられた。
チケット売り切れだしアルゼンチンvsブラジルも観れるんだぞと。

 僕はインド時代に培った交渉力で、基本は相手の言い値の半額が相場だと勝手に思っている。つまり半額の5000円が相場か。ちょっと高いけどまぁこんな面白いカードだしいいかと思い、落とし所を5000円にすべくまずは3300円でこちらからカウンターオファー。

当然、
「おいおいそんな金じゃ売れないぜ」
と言われるのを予想してたら、
「オッケー!」

しまった!
もっと値切れた!
ラテンのノリで交渉もこいつらは適当だったようである。

まぁ2試合好カード観れて3300円ならいっか。。。


 メキシコでもそうだったがこの国も試合運営能力が著しく低い。
どのゲートから入場かも記載はないし、チケットがあっても入場に無茶苦茶並ばされる。試合が始まっているのに遅々として進まない行列。
それでものんびりしている客。
なーんかのんびりしてるなぁ。
日本だったら大クレーム案件だ。

 試合はコロンビアが負けてしまい地元民はガッカリ。
でも対戦相手のウルグアイのゴラッソには拍手が起き、予選敗退したコロンビアにも試合後は拍手。過去にW杯でオウンゴールした選手が銃殺された国とは思えない暖かい応援であった。

 ハーフタイムにはスタンドで客同士がケンカ。やはりこういう事もあるのかと思って見ていたが、周りはそれをみて
「(仲直りの)キス」コール。
なんだかコロンビアっていい国だ!!

 試合後、ホステルまでは歩いて帰れるので、
ブラブラ歩きながら帰る途中、小腹が空いたので適当なレストランへ。
当然ほぼみんなコロンビア代表の黄色を身に纏っている。
この街で1人しかいないであろうアジア人を不思議な目で見つめながらガンガンとスペイン語で話しかけてくる。
サッカーを2試合観て、(ほんの少しは)怖さも感じて疲れている僕に、ガンガン話しかけてくるコロンビア人たち。
いい国だなぁ。でもちょっと疲れるな(笑)と思っていると、
「この子たちがあんたと話したいって」
と言って隣の席に移ってくる、オネエみたいな話し方のゴツい男。
そしてついてくる(あんまり可愛くない)女性2人。
一人旅をしていて苦痛なのは一人でご飯を食べることなので、丁度いい暇つぶしにはなるのだが、疲れていたのでちょっと面倒くさい。
ゴツい男は少し英語が話せるものの他の2人はスペイン語のみ。
言葉も通じないししんどいなぁと思ってたら、家が隣だから家で飲みましょう!とのお誘い。

うーん。

しかもゴツいオネエの男が「コロンビアの女は好きか?SEX、SEX」
とか言ってくる。

うーん。

逃げよう!笑

となって、今日は疲れてるからと言って誘いを断り帰宅。笑
なんだったんだ、あいつらは。。。

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<適当なラテンの国>

 ブカラマンガ翌日。サッカー観る以外に特に用事のないこの街。
しかし最近の僕は現地でジムに行く、自転車を借りてサイクリングをする、走る、などローカル民のように街を楽しむ術を身につけている。
まずは自転車を借りよう。
  
 英語圏ならこれも簡単なことなのだが、スペイン語。かつネット情報もほぼ参考にならない適当なラテンの国。これがなかなか難しい。

 まずホステルに紹介してもらった1店舗目。営業時間のはずなのに開いてない。
しばらく歩いてgoogle mapで探して入った2店舗目。google mapの場所に店がない。
なんとか住所を辿って探し当てるも、営業時間のはずなのに空いてない。
片言のスペイン語で街の人に聞いてみるとセントロ(スペイン語圏では街の中心をセントロと呼ぶ)の公園で登録したら借りられる自転車があるという。

よし!行こう!

で、行くと、確かにある。そこのお姉さんに話しかけるも、登録がどうのこうの、IDがいるからどうのこうの言われ、でも無料だから!とのこと。
頑張って近くのコピー屋に行き、パスポートのコピーをとってまた戻って色々登録して、
「じゃ借りますね」
というと、「48時間以内に登録確認の電話がくるから、そのあとから利用可能です」

なんじゃそりゃー!!

明日にはこの街を発つし、今乗りたいのに。意味ねーー
ってことでスペイン語会話の練習をしただけでその場所を去ることになったのだった。。。

しかも48時間経っても電話はかかってこず、ラテンの国コロンビアはなかなか適当なことを思い知るのであった。

諦めて街歩きして、ホステルに帰る直前に1店舗目のレンタサイクル屋にもう一度いくと、店が開いている!しかも客もいる。

偶然にもその客が英語とスペイン語がわかる人で良い人だったので、通訳してもらいついについにチャリGET!

でもそれよりももっと大きな出会いがあった。

その通訳してくれた人が、
「ところでおまえどこから来たの?え?日本?この子と同じじゃん」

となって連れの女性を紹介してくれた。その女性はひどく日焼けしていたので、現地人かと思い、まさか日本人だとは思いもしなかったのだが、よく見てみると確かにアジア人だ。それでも日本人には見えない(失礼)。

わざと「え?ほんまに?」

って大阪弁で言ってみると、

その女性「え?大阪の人?」

と反応があり、日本人であることを正式に確認。笑

そうしてコロンビアで初めて日本人はおろかアジア人に会えるのであった。
その女性は半年ほど中南米を旅行しているらしく、コロンビアのいろんな旅情報を教えてもらいかなり参考になった。

昔は旅先での出会いでオススメの観光地や行き方などを教えてもらうものだったが、今ではそれにくわえ、このアプリ役立つよなどと、旅に関するテクノロジーを共有される。
日本にいると出会うこともないテクノロジーに出会えるというのも、
旅の醍醐味になりつつある。



<旅に役立つアプリ>

 旅に役立つアプリ。今回の旅で役に立ったアプリや、教えてもらったアプリを紹介していこう。そんなものは当たり前と思うものもあるかもしれないがご容赦ください。

Maps.me
 これは定番かもしれないが、ネット環境下にいなくても使える地図アプリ。
予め地域や国の地図をダウンロードしておいて、あとはネット環境になくてもつかえるGPSを使って利用する。短期滞在でSIM買っていない場合やキューバなどのネットがそもそも整備されていない途上国などで大活躍!

inDriver
 今やDiDiやUberなど配車アプリは各国あり当然のものとなっているが、このアプリは一味違う。なんと価格の交渉ができる。
A地点→B地点であればこれくらいの価格で行きたいなという利用者が価格を入力。それに対してこの価格だったらいいよというドライバーがカウンター価格を提示して、それを利用者が選択するという仕組み。ある程度相場感をわかっていないと出来ないが、Uberよりさらに安く移動することが可能。実際かなり活用できた。

Rome2rio / Moovit
 ふたつとも同じようなアプリだが、前者はコロンビアで、後者はメキシコでよく使った。行きたい場所を入力すると現在地からそこまでの公共交通機関が表示される。
先進国でない国だと、スケジュール通りこない、そもそもスケジュールが決まっていないなど、ローカルバスやメトロ、トラムに乗るのは困難であったが、このアプリを使えばかなり使いこなせる。
30分くらい乗ってタクシーが数百円という国であっても、ローカルバスなどは数十円レベルであることが多いので、移動が多い旅をしているとかなり節約になる。
そしてローカルバスに乗ると旅をしているなという実感が凄く沸くのでオススメ。

Instagram
 今更ではあるが、インスタグラム。旅先で出会う旅行客などと仲良くなると「インスタ教えて」となる。昔なら電話番号、それがFacebookとなり、WhatsAppだったのだろうが、今はほぼインスタだった。気楽に交換できるし、今何を楽しんでいるのかもわかるし、連絡もとりやすいということで、欧米旅行者も現地人もみんなインスタを交換し合っていた。


 数年前にはなかった便利なものがあるし、その地域でしか利用されてないアプリなどもあり、海外でテクノロジーに触れるのは旅の醍醐味と言えるだろう。


<次々でてくるオススメ旅先>

 今回は当初から行先を決めずに旅しており、旅先で出会った人にお薦めされた場所にいくというスタイルでいた。
欧米の旅行者たちは慣れているからか、お薦めの訪問先が次々にでてくる。
そしてそれは地球の歩き方にも乗っていないような場所ばかり。
さらにほとんどが観光系ではなく、山や海などの自然に触れ合うアクティビティ系。
ほんとに感心させられる。旅がうまいなぁこの人たちは。

 今回の自分の旅は3週間中南米をブラブラするというもので、今までの自分の旅のスタイルからすると相当余裕をもった時間軸であるが、彼らからするととても時間が足りるものではないようだ。

 僕にオススメを紹介してくれるほとんどの旅行者が、半年〜1年旅しており、さらにその旅の期間を中南米周遊にあてるのではなく、コロンビアという一国を探求するために当てていた。そんな人たちが僕のような3週間しかない「短期旅行者」にオススメを教えてくれても、全部回れる訳がない。

 今回の3週間でもだいぶゆとりをもった旅をしていたつもりだが、いつかこんな風に1年かけて1つの国を攻め尽くす旅をしてみたいものだ。

 若者の特権かもしれないが、Work Exchangeといって働きながら旅するスタイルの人も相当増えている印象だ。ネットで仕事を予め見つけておいて、旅先で住み込みで仕事をする。給料をもらいながら住むように旅を楽しむ。
日本人からは「そんなものは言葉がわかるから出来るだけだ」と言われそうだが、働きながらスペイン語を勉強したという人もいた。言葉の壁は言い訳にすぎない。

 それに彼らと話していると本当に自由を感じる。
「何々しなくてはいけない」
「何々だからこれは出来ない」
「もう歳だから」
こんな台詞は本当にきかない。
日本で辛そうに生きるサラリーマン(自分もそうだった)は本当に視野が狭く、世界はこんなに広く、こんなに選択肢があり、こんなに自由なんだということを思い知らされる。

 さらにいうと、幸いにして日本は「まだ」豊かだ。
そして残念ながら旅行客のほとんどは豊かな先進国出身者だ。
上記のような綺麗事をいっても、やはり旅行できているのは金銭的に余裕があるからだ。
繰り返して言うが日本は「まだ」豊かである。
こういう選択肢があることを色んな若者に教えてあげたい。
自分が若い頃にもあったのだろうが、ネットもなければそういうスタイルに出会うツールがなかった。でも今はある。それを活かさないと本当にもったいない!!

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後編へつづく。


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