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強みを活かしてチームをつくるとはどういうことか?

以前、このようなnoteを書きました。

これは個人の成長(人材開発)をテーマに、「強みフォーカスとはどういうことなのか」を紐解いています。一方で日々働いていると、個人のパフォーマンスと同じように、いやむしろそれ以上に組織(ここからはチームと表現していきます)のパフォーマンスを高めたいと感じる瞬間も多いのではないでしょうか?

そこで今回のnoteでは、個人の総和を超えて1+1=2以上のチームになるべく「強みを活かしたチームづくり」とはどういうことを意味しているのか?その辺りの内容をまとめてみました。


チームの強みを活かすとは、強みフォーカスすることではない

メンバーの成長やパフォーマンス向上を支援する際には、いかに「強みを伸ばしていくのか」「強みを磨いていくのか」にフォーカスするとよいと言われたりします。私が扱っているストレングスファインダーの世界ではそれが特に顕著です。

冒頭のnoteに書いたように、もちろんそれは弱みを無視してよいということではないですし、対象者がメンバー層なのか、次期マネジャー候補なのか、既にマネジャーなのか、によっても比重は変わってくると思います。

【上記補足】
若手のうちは強みに全振りでもよいと思います。ただ、ある一定レベルのプレイヤーになった段階やマネジャーを目指す段階では、弱みを「ある程度は改善しておく」必要がでてきます。それは弱みを放置し続けると、弱みが強みの足を引っ張ることになったり、多様なメンバーに対応しづらくなったりするからです。

ただし、大前提は「人が何かを成し遂げるのは強みによってのみである。強みに集中し、卓越した成果をあげよ」の精神で、強みにフォーカスするアプローチが、強みを活かした人材育成と言えるのではないかと考えます。

しかし、チームの強みを活かすとは、そのチームの強みにフォーカスしてアプローチすることを指しません。ここがメンバー育成(人材開発)の思想を、チームづくり(組織開発)に持ち込んだ際に生じる大きな誤解です。

チームの弱い部分を皆の強みで守って、チームを強くすること

それでは、チームの強みを活かすとはどういうことなのか?それは、見出しに既に記載していますが、チームの弱みに着目をして、それをメンバーの強みをうまく使って解消することで、チームのパフォーマンスを向上させることを指します。

これはいわゆる制約理論(業務やシステム全体のパフォーマンスは、一番の弱点である制約条件によって決まるため、制約条件となっている部分を改善し続ければパフォーマンスは上がるという考え方)です。チームの強化はボトルネックを解消することが大切なのです。

ある方に聞いた説明で分かりやすかったので、ここでも使わせてもらいます。

私はSaaS企業に勤めているのですが、仮にマーケティングとセールスとカスタマーサクセスという機能があって、それぞれの力がマーケ=7、セールス=8、CS=2だったとします。そして、その総合力はそれぞれの掛け合わせになりますので、7×8×2=112になります。

強みにフォーカスすると考えると、この企業(チーム)の場合は、セールスに強みがあるため、セールスを頑張って1を追加して9に伸ばしたとします。すると総合力は7×9×2=126になります。

逆に弱み(ボトルネック)にフォーカスするとどうでしょうか?この企業(チーム)の場合は、CSが弱みなので、CSの改善に力を入れ、同じく1を追加して3に伸ばせたとします。すると総合力は7×8×3=168になり、先ほどの強みフォーカスの1.3倍以上の成果を出せることになります。

差別化という名のもと「既にそのチームの強みである要素を磨き上げる」よりも、同じだけ改善するのであれば「ボトルネックを解消」した方がインパクトが大きいことが非常にわかりやすいと思います(強化幅が大きい場合はさらに成果の差は広がります)

個人とチームの違いは何なのか?

ここは私の解釈によるものですが、それこそ個人の場合は「チーム(≒他者)の存在がある」から強みフォーカスでも成り立つと言えるのではないでしょうか?

つまり、自分の弱みや苦手な部分は、自分以外の誰かに、それもその部分が得意な誰かに任せることができる可能性を秘めているからだと思います。そうすれば、弱みを気にすることなく強みだけをぶん回しても成り立つからです。

だからこそ、本noteの前半に書いたマネジメント層がある程度は弱みに向き合わないといけないというのは、チーム内での役割分担というよりも、権限委譲的な色合いも強くなり、任せにくい要素もあるからという側面もあるように思います。

一方で、チームはそれぞれがそれ単体で何らかの機能を担っていることが多く、チーム内で完結させて求められる成果を出す必要がある場合が多いからだと考えています。

仮に営業チームだとして、「売ってくる」「収益をあげる」という機能はそのチーム内で完結せねばならず(もちろん外部に出せるものは出せばよいと思います)、売るためのプロセスや構成要素におけるボトルネックをチーム外に出せないなら、自分たちで何とかしないとずっとそれが制約になり続けるということですね。

これは企業を一つのチームと考えても同じです。先ほどSaaS企業の例を挙げましたが、マーケティング→インサイドセールス→フィードセールス→カスタマーサクセス、そしてプロダクト開発やコーポレートなど、様々なプロセスや要素で構成されていますが、これもボトルネックを抱え込んでいる以上はそこに向き合う必要があります。それを知らんぷりして「圧倒的な強みの確立だ!」と頑張っても、穴の空いているバケツに水を注ぎ込み続けるようなものです。

まとめると、個人に比べるとチームの方が弱み・ボトルネックを外に出しづらいということが大きな違いの一つではないかと思います。

それでもやっぱり強みが大事

とは言え、ボトルネックを解消するというのは簡単なことではありません。それこそ、構成員(メンバー)の強みをフル活用して臨むべきことだと思います。同じ状況に陥った場合に、そのボトルネック解消に最適なメンバーをアサインできるチームとそうでないチームは圧倒的な差が生まれることになります。

もちろん、これは強みがどうのこうのという話だけではなく

  • チームのボトルネックやゴールに対するKSFを正しく特定できているか?

  • そのポイントにリソースを十二分に投下できる体制構築をしてきたか?

  • その意思決定ができるリーダーなのか?

など様々な要素が絡み合うことだとは思います。

ただ、どれだけ正しくイシューの特定や方針立案ができたとしても、最後の実行に落とし込んだ時にモノを言うのは、チームメンバーの強みの解像度だと思います。それはマネジャーだけではなく、チームメンバー同士にも言えます。お互いの強みを理解して、信頼し合う状態を作れていてはじめて、ベストな体制を組めるのではないでしょうか?

ということで「チームの弱い部分を皆の強みで守ってチームを強くする」ためにも、それぞれの強みを理解しておきましょう。そしてボトルネックを解消した先に、どれだけの可能性を秘めたチームなのかもイメージできていると、集団的自己効力感にもつながってくるはずです。

ぜひ、以下のnoteも読んでいただき、興味を持っていただけた方は私のXのDMやPittaなどでお気軽にご相談くださいませ!


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