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Gallup認定ストレングスコーチの私が、チームマネジメントにストレングスファインダーをフル活用してみた話

皆さん、こんにちは!ストレングスコーチをやっている佐藤(@toshi0310maz)です。

タイトルにフル活用などと少し大袈裟に書いてしまっていますが(笑)、本noteでは私がストレングスファインダーを、メンバーの成長支援やチームづくりにどのように活用したのかを具体的に紹介しようと思います。やったことは比較的シンプルですので、これを読んでいただいている皆さんにも参考にしてもらえると嬉しいです。


前提

私は2023年1月中旬からHR Division(いわゆる人事部)のマネジメントを担うことになりました。現在は育休に入っており、育休に入るまでの約5か月間の取り組みについて記載しています。

私は昨年まではカスタマーサクセスをやっていたので、HRメンバーに対する理解は浅く、関係性はほぼ無い状態でした。そのような状況だったこともあり、メンバーに効果的に関わっていくための武器として、また成長のための共通の地図として、HRメンバー全員にストレングスファインダーを受けてもらうことにしました。ストレングスファインダー関連でいうと実施したことは大きくは以下の4つです。

①個人ごとのストレングスファインダー1on1
②チームメンバー同士の相互理解ワークショップ
③チームストレングスグリッド(チームビルディング)
④月末の振り返り(経験学習)

①②③は単発施策として①→②→③の流れで実施して、④は継続施策として実施していました。それではここからは具体的な内容に触れていきます。

①個人ごとのストレングスファインダー1on1

ストレングスファインダーという名称は聞いたことはあるものの実際に受けるのは初めてのメンバーばかりでしたので、まずはストレングスファインダーの考え方とそれぞれの資質TOP5についての理解を深めてもらう時間を作りました。

これはストレングスコーチングを実施する際に初回でやっているものに近い内容にしておりますが、コーチングではないので通常よりもレクチャーの要素が多めにしております。ストレングスファインダーの考え方と記載しているのは主に以下のような内容です。

・なぜ強みにフォーカスするとよいのか?(≒強みにフォーカスする効果)
・才能とは何か?
・資質とは何か?
・強みとは何か?
・バルコニーとベースメント
・各領域について
・ストレングスファインダーにありがちな誤解(以下note参照:ストレングスファインダー 5つの落とし穴)

前提を揃えていないと、ストレングスファインダーというツールも正しく使えないので、このステップは端折らず丁寧に行うことを意識しました。

その上で後半はそれぞれの結果を紐解いていく時間に充てています。レポートに書いてある内容自体は読めば理解できるとは思いますが、いまいちしっくりこないメンバーもいますし、資質から紐解いて才能を理解していく必要がありますので、その点に関しては、質問を重ねながら「自分ならではの強み」をイメージしてもらうことを意識しています。

具体的には、ピンときた資質や気になる資質を選んでもらい、私からその資質に関する質問を重ねることでエピソードを掘り下げていきます。加えてこの場で意識しているのは「資質の掛け合わせ」です。掛け合わせることでどのような強みとなり得るのか、それぞれの資質がどのように影響しあっているのか、等を考えてもらうことで「その人ならでは(オリジナリティ)」を見出すきっかけになるからです。レポートを読むだけだとそこがイメージしづらいように思います。

この1on1を実施することで、メンバー本人は自己理解および強み開発のスタートが切れたように思います。またマネジャーとしての私も、各メンバーの人となりや特徴を知ることができ、業務支援や成長支援の方向性の仮説立てが可能になりました。

メンバーを知るには日々の観察が何より重要だと思いますが、観察した事象を解釈するにあたっては何らかの参照点があると精度が高まると考えています。その参照点はストレングスファインダーじゃなくてもよいと思いますが、ストレングスファインダーは単なるタイプ別診断とは違って、開発ツールの側面が非常に強いので、継続的に利用することができるのが魅力です。

※注意すべきことは、色メガネをかけて見ないようにするということだと思います。思い込みは観察眼を曇らせて、解釈を捻じ曲げてしまいますので、その危険性は十分に理解しておく必要があります。

②チームメンバー同士の相互理解ワークショップ

ここからチームづくりにシフトしていきます。資質を軸に改めてお互いを知り合う機会を作りました。自己理解を深めるためにも、チームパフォーマンスを最大化させるためにも相互理解は欠かせません。そこで、私がファシリテーターを務める形で以下の内容のワークショップを実施しています。

前半:資質証言(上位資質が垣間見える象徴的エピソードを披露する)
後半:ヒーローインタビュー(過去の成功体験をお互いにインタビューしあう)

サンプルとしてメンバーに見せた私の資質証言(抜粋)

どちらのコンテンツも、本やレポートに書いてある資質の説明を読むだけでは見えてこない、その人ならではの才能を紐解いていくことに繋がります。

例えば、私のチームには共感性をTOP5に持つメンバーが2名いるのですが、その内1名は前職での新人メンバーの受け入れやチームの雰囲気を変えていったエピソードから「心理的安全性を高めるウェルカムな受容姿勢」という形での表出するのが見えてきた一方で、もう1名はこれまた前職時代の価格改定PJTのエピソードから「とことん相手に寄り添って方向性をまとめる」という形での表出が見えてきました。同じ共感性でもそれぞれの才能、そして強みは違うということを改めて実感したワンシーンでした。

※この場での解説としては、他の資質との組み合わせの話もしています。前者のメンバーは上位にコミュニケーションやポジティブを持っており、後者のメンバーは調和性や最上志向を持っていたので、その掛け合わせで表出された強みかもね、という話もしています。

このワークショップは、各メンバーにとっては対話の機会を通じて相互理解が深まるということもさることながら、その対話を通じて自己理解がさらに深まっていくことになります。相手に問われたことに答える中で、自分の考えや解釈が言語化され内省が深まるということです。

マネジャーの観点からすると、1on1で捉えたメンバーそれぞれの伸びしろ(強みの種)の「開発(発揮)されたイメージ」を持つことができるのが有難いです。「このメンバーはこんな風に活躍できる」「こういうパフォーマンスを出せるんだ」というクリアなイメージは、適切なアサインやフィードバックを行うための材料にもなります。

③チームストレングスグリッド(チームビルディング)

これはチームづくりの次のステップです。相互理解を深めた上で、チームとして1+1=2以上にするために何ができそうなのか?を強みフォーカスでディスカッションする場になります。この取り組みの魅力に関しては、以下のnoteにまとめていますので、そちらをご覧ください。

上記noteにも記載していますが、各メンバーにとってはポジティブな感情に溢れ、集団的自己効力感が醸成される機会になるというのが大きなポイントです。自分達の強みを最大限発揮して、お互いに活かしあえば、こんなことまで実現できてしまうんだという感覚です。もちろん、実際はそこには至っていないのですが、そのゴールイメージを臨場感持って共通認識として紡げることに価値があると思っています。これはマネジャーとしてもチームづくりやチーム運営の指針ができるので、一貫性のあるマネジメントにも繋がっていきます。

※HRチームでは、このワークショップの前にLEGO® SERIOUS PLAY®のワークショップをやっていて、「どういうHRチームでありたいか?」も言語化しています。その上でこのワークショップで「このHRチームはどんなことが成し遂げられるのか?」を言語化しました。

④月末の振り返り(経験学習)

実はこれを一番伝えたかったのかもしれません。冒頭記載したように①~③はある意味でブーストを効かせる意味での単発施策だったわけですが、その流れとは別にそもそも週次で1on1を実施しており、その月末回を「1ヵ月の振り返り会」という形で運用していました。

この振り返りのフレームワークとして経験学習モデルを使っていて、内省の観点として資質も使ってもらうようにしています(必ずしも資質にこだわる必要もないので、あくまで一つの観点として)。

Goodな事象に対しては資質がどのように働いていそうか?や他に活かせそうな資質はないか?Moreな事象に対しては、活かせていない資質はなかったか?資質が暴れてしまったり、ベースメントで出ていなかったか?などを考えてもらっていました。

使っていたワークシート

経験学習を回すということにおいては、内省→概念化がしっかりできていれば構わないと思いますが、慣れるまでは多角的に内省することは難しいこともあるので、参照点があると各メンバーの振り返りの質も高まるように感じました。また強みの開発という文脈においては、「意図的に使ってみて、再解釈をして、意味づけして、更に使ってみる」という反復トレーニングが必要になりますので、その意味でも経験学習との相性がよいと感じています(経験学習も概念化→実践/試行となるので)。

実際にメンバーからも以下のような感想をもらいました。

・経験学習と絡めることで実体験に沿った資質の振り返り方法を学ぶことができたのは良い発見だった。
・個人的には「最上志向」の捉え方が目から鱗であり、自分自身の業務スタンスを変えることに有効であった。
・自分がイマイチの時は資質のベースメントが関連している点も認識でき、より客観的に自分を捉えることに繋がった。そのような時は視野が狭くなるので、客観視のアプローチ法を見つけたのは大きい。
・これまでは「何を鍛えれば成長するか」はかなり感覚に寄っていたが、資質という拠り所ができた。
・要所要所で具体的に意識するポイントが分かりやすくなったり、客観視するポイントに繋がっている。
・経験学習を回しながら必要に応じて資質と絡めることで今後の成長速度は変わってくると強く感じた。

最後に

今回は新たな部署を担当することになったのをきっかけに、これまでお客様に提供してきたストレングスファインダーを自分自身でも実践してみた記録を残してみました。細かいところでいうと、トリセツに資質を加えたり、日々のフィードバックに資質の観点を盛り込んだりなどありますが、施策的なことでいうと上記①~④がメインとなります。

正直なところ、チームパフォーマンスの最大化という点に関しては、まだまだ道半ばでやれたことも少ないのですが、個々の強み開発・成長支援という点では一定の手応えを感じています。それは私のマネジメント力云々ではなく、ひとえにストレングスファインダーの使いやすさとメンバーの素直さによるものだと感じています。

文中で記載した通り、共通認識を紡ぐためのツールはストレングスファインダーが絶対とは全く思っていないですし、自分達に合うものを選択するのがよいと思いますが、特にこだわりがなかったり、迷ったりしているのであれば、まずはストレングスファインダーを試してみることをお勧めします。また、相互理解に留まらず、パフォーマンス発揮を目的とした強み開発に繋げたい場合も同様です。

本noteを読んで自チームでも取り組んでみようというマネジャーの皆さん。そんなあなたを私は心から応援しています。私は、マネジメント強化は企業成長にとってのレバレッジポイントだと考えていますので、具体的に取り組んでみたいけど少し相談してみたいというマネジャーの方は遠慮なくご相談くださいね!(TwitterのDMや下記Meetyにどうぞ。手法にこだわりはないのでストレングスファインダーには興味ないけどマネジメントに関する相談したいというのもウェルカムです!)

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