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「プロダクト開発着手」から「初めての有償利用の実現」までにかかった1年間を振り返る

Flyleの荒井です。
週末アウトプット第2弾です!チームのみんなにも毎週コミットすることを伝えたので、毎日ネタ探しに奔走しております。笑

今回は、noteのアカウントを作ったときからいつか書こうと思っていた「Flyleが有償利用を実現するまでに歩んだプロダクトのステップ」というテーマです。

(書き足りないことがたくさんあったので後で加筆する予定です。)

1年間で歩んだプロダクトの5つのステップ

プロダクト開発において顧客フィードバックの有効活用を実現する「Flyle」というサービスを開発しています。昨年の4月から本格的に会社をスタートさせ、現在ではプロダクトを有償でご利用いただけるケースも少しずつ増えてきました。

プロダクト開発に着手してから初めての有償利用が実現するまでに1年という時間がかかり、その1年の中には以下のようなフェーズがありました。

1. (4月~6月) 「自分の経験」や「こういうプロダクトが欲しい」をベースに考えた「α版」の開発
2. (7月~9月) 業務理解を深めるためPM100名へのインタビュー&デザインプロトタイプによるコンセプト検証
3. (10月~11月) インタビューの結果を踏まえた「クローズドβ版」の開発
4. (12月~3月) 市場の反応を確認し、ユーザーからのフィードバックを元に不足機能を拡充した「オープンβ版」の開発
5. (4月) 創業後初めてのプロダクトの有償提供を実現

本記事では、これらのフェーズで何が起こり、どのように行動したのかを簡単にまとめていこうかと思います。

1. (4月~6月) 「自分の経験」や「こういうプロダクトが欲しい」をベースに考えた「α版」の開発

## 創業時の組織やプロダクトの方向性
・創業時の組織は、ビジネスサイド2名、自分を含めた開発2名。自分は主にプロダクトの企画とフロントエンドの開発を担当
・デザイナーは仲の良かった前職の同僚に副業で関わってもらっていた
・平日にワイヤーを作成し、休日にデザインを作ってもらい、その翌週に実装するというサイクル
・自身の経験やベンチマークとなるサービスをいくつか調査してプロダクトの初期構想を考えた
・プロダクトフィードバックを活用してより開発を良くするという方針が決まっており、当初ターゲットはプロダクトマネージャーと広く捉えていた
・ユーザーへのヒアリングは開発初期に知り合いベースで10名程度に実施

プロダクトの方向性が決まったタイミングで、知り合いのプロダクトマネージャー数名にインタビューを実施しましたが、この時はとにかく動く物を作らなければと思い「まずは自分が欲しいものを」をベースに一通りの機能を実装しました。

いざ実装したものを何名かに触ってもらったところ、あまり良い評価は得られず、自分達で思い描いていた当初の理想からも少しずれたプロダクトとなっていました。

2. (7月~9月) 業務理解を深めるためPM100名へのインタビュー&デザインプロトタイプによるコンセプト検証

6月に1人目のフルタイムのデザイナーがジョインしてくれたタイミングで、α版のユーザー検証の結果を踏まえ、プロダクトの価値やその価値を実現するためのユーザー体験を見直しました。

また、ターゲットとするユーザーの業務に対する解像度が低いことを実感したため、ビジネスサイドとも協力して100名を目標にユーザーインタビューを実施しました。また、同じタイミングで今後作ろうとしているプロダクトのデザインプロトタイプを作成し、ユーザーが価値を感じてくれそうかを知るための「コンセプト検証」も行いました。

## ユーザーインタビューでヒアリングした内容
・「使われない機能を作ってしまった経験はありますか?」→その原因やどうすればそれを防ぐことができたか
・顧客フィードバックをどのように活用しているか
・普段どんな内容の業務に時間をかけているか、など
## コンセプト検証の内容
- デザインプロトタイプで「こんなことができます」とデモンストレーションを実施
・「このようなサービスによって、あなたの業務は改善されますか?」
・「どのような業務が改善されそうですか?、改善されないと感じた理由はなんですか?」
・「有償でも使いたいと思いますか?」、など

100名のユーザーインタビューを実施することで、以下の点が見えてきました。

①定性フィードバックがプロダクト開発に与える影響が大きい「toBプロダクト」では便利だと感じる人が多い
・既にフィードバック収集を行っているが手間がかかっている、顧客の声をプロダクト開発に活用したいが、仕組みやノウハウがない
・ステークホルダーが多く、コミュニケーションに時間がかかる

②定性フィードバックがプロダクト開発に与える影響が小さい「toCプロダクト」では便利だと感じる人が少ない
・定量データを中心にプロダクト開発を行うtoCサービス、プロダクトアウト的な機能リリース、トップが意思決定をする

これらの結果を踏まえて、初期のターゲットは「toBプロダクトに関わるPMやカスタマーサクセス」とし、対象とする業務スコープは「顧客のフィードバック収集・管理〜フィードバックを活用したソリューションの起案と優先度決定〜ステークホルダーへの共有」としました。

3. (10月~11月) インタビューの結果を踏まえた「クローズドβ版」の開発

100名のユーザーインタビューとコンセプト検証を経て、プロダクトを届けるべきユーザーセグメントと、そのセグメントに対してどのようなプロダクトを届けるべきかがクリアになってきました。9月にはエンジニアが更に1名仲間に加わり、実際に使ってもらえるレベルのプロダクトを作ることに注力しました。

ある程度プロダクトが形になったタイミングで、インタビューに参加し「Flyleを使ってみたい」と回答してくださった方に対してクローズドβ版を利用していただきました。

コンセプト検証では好反応だった場合でも、実際に触ってもらうと「思っていた通りに使えなかった」や「想像よりも便利にならなかった」というフィードバックをいただいた場合でも、しっかりとヒアリングを重ねて一つ一つ課題を解決していくことで、少しずつプロダクトの価値を高めることができました。

クローズドβ版のトライアルに協力してくださったユーザーの方々は、先のユーザーインタビューにおいて課題に共感していたため、協力的に関わっていただけたように思います。このように、プロダクトの成長に対して有益なフィードバックをしてくれるユーザーと出会えたことも含め、ユーザーインタビューは非常に有益でした。

4. (12月~3月) 市場の反応を確認し、ユーザーからのフィードバックを元に不足機能を拡充した「オープンβ版」の開発

クローズドβ版の運用を経て作るべきプロダクトの方向が定まってきたタイミングで、改めて市場の反応を探るべくLPを作成し、オープンβ版のユーザー募集を開始しました。これは当時のツイートです。

社内のメンバーのTwitterやfacebookでのシェアが中心だったのですが、想定よりも多くの方かたお問い合わせをいただくことができました。
セグメントとしてはPM向けを想定していましたが、「顧客フィードバックの活用」に関して課題を感じている、カスタマーサクセスの責任者、PMM、商社の新規事業開発担当者など、自分達が想定していたよりも広いターゲットの方からお問い合わせをいただきました。

対面で課題のヒアリングを行いプロダクトの説明をした後、利用希望者にはトライアルをしていただきました。もともと強く課題を持っており、その課題がFlyleによって解決するという期待を持ってくださっていたお客様からは質の高いフィードバックをたくさんいただき、追加しなければいけない機能に関する大きなヒントとなりました。

自分の中では「定常的にフィードバックをもらえる状態」になってから明らかにプロダクトとしてのフェーズが進んだ実感がありました。ゼロからプロダクトを立ち上げる際には、いかに早く下記の2つを満たし、このフェーズまで持ってこれるかが肝だと考えます。

①実際に業務で利用できるレベルのプロダクトがあること
②ユーザーが課題に共感し、プロダクト開発に協力的であること

5. (4月) 創業後初めてのプロダクトの有償提供を実現

クローズドβ版において、ユーザーから「この機能がないとしんどい」とフィードバックをいただいた機能の開発が一通り完了し、自分たちでも業務で運用できるだけの機能が揃ってきた時期です。

このタイミングで、クローズドβ版のユーザーに対して「そろそろ有償化を考えているが、このまま継続してお使いいただけるか?」という、有償化に対するヒアリングをさせていただきました。ありがたいことに、10社程度のお客様からポジティブな返事を受け取ることができ、この出来事をきっかけに正式版のリリースへ踏み切りました。

クローズドβ版までは、一般にコアコンピタンスと言われる機能の磨き込みをを中心に行っていたため、正式版のリリースにあたってはサービスとして備えていなければならない「ユーザーの権限管理機能」や「決済機能」を実装しました。このタイミングでは公には出さずサイレントリリースという形で正式版をリリースしました。

初めて支払いが発生したタイミングは今でも鮮明に思い出せるくらい嬉しかったことを覚えています。開発着手から1年を経てようやく「お金を払ってでも利用したいと言ってくれるお客様がいるプロダクト」となりました。
とはいえまだまだ目指す姿とは程遠く課題も山積みで、「ようやくスタートラインに立てたな」という感覚です。

おわりに

この記事では、Flyleを創業してから1年間で起こったことを振り返りました。いろいろと分からないことだらけでしたが、体当たりでプロダクトを立ち上げてきました。改めて振り返ると「あの時こうすればよかったな。。。」と、改善したいことがたくさん思い浮かびます。笑

前回の記事をTwitterに投稿する際に「日々新しく現れる敵を倒し続けるスタートアップの環境にいると、せっかく学んだことが風化しがち」という言葉を添えたのですが、自分で言っておきながら本当にそうだよなーとしみじみ。自分が主体者となってゼロから事業・プロダクトを立ち上げる経験はとても貴重なので、次に新しくプロダクトを作る時には学んだことをしっかりと活かしたいですね。

次回のテーマとしては「もし1年前の自分にアドバイスするなら〇〇と伝える」という内容で書く予定ですので、また読んでいただけると嬉しいです!ありがとうございました!

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