見出し画像

下請法対応のために会社フローを仕組み化する話(マジ話回)


著者近影(のイラスト)

下請法とは

下請法はざっくり、大手企業が力関係を利用して弱い立場にある中小企業に、都合良い条件を押し付けることを禁止する法律です。
大手企業が、社内の都合(予算の制約や契約変更手続の煩雑さ)から支払条件や仕様の変更を強く「お願い」して「自主的に」応じてもらう場面が、典型的な危ないケースです。

違反するとどうなる

違反が見つかれば企業は公正取引委員会から是正勧告を受け、ウェブサイトで事例として公表されます(例えばリストが公表されます)。過去数年でも、セブンイレブン、伊藤園、マツダ、リーガル(紳士靴)など著名企業が摘発、公表されています。
もちろん違法行為をすること自体が悪いのですが、公表事例は公取ウェブサイトに残り続けます。またその後も、改善状況チェックのために調査がたびたび入ることでしょう。。そうなると、仮に問題がなくても、事業部が説明に呼び出される、請求書や発注書の抜き取り調査への対応が必要になる、などのリアルな対応コストが社内各部署に発生してしまいます。

下請法違反をふせぐ仕組み化

各自の頑張りに頼らない

「担当者や法務部が規制内容を理解し、毎回気を付ける」という関係者の頑張りだけで下請法を守り続けるのは正直、無理です。人が変わると精度が落ちます。それよりも、担当部署が下請法を自然に守れるような社内フローを構築する(仕組み化する)方が、皆の幸せの総量を増やすことができます。

仕組み化① 契約書ひな型を用意する

下請法に違反しないためには、必要な条項を揃えた契約書が必要です。対大手企業用の通常ひな型と下請法対応のひな型の2種類が必要です。
外部弁護士にチェックしてもらうのが安全です。
(古い契約書ひな型が現場で使い回されないよう)所定の場所からひな型最新版をダウンロードして下さいという周知活動が必須です。

仕組み化② 社内のワークフロー申請に組み込む

社内のワークフロー申請のときに、担当部署が下請法の適用・不適用を一次判断した旨を申告するチェックボックスを設けます(他人事にさせないため)。
分からなければ法務に質問する→法務はすぐに回答する、のサイクルが必須です。
同じ取引先でも、取引や契約ごとに下請法の判定が毎回必要です。そのため、費用回りのワークフローと紐づける工夫が効果的です。

仕組み化③ 下請取引のセルフチェックを事業部が行う

契約書で規定できない義務(取引条件変更は書面が必須、など)は、社内のワークフローに注意事項のチェック欄を設け、セルフチェックしてもらいます。「行政から調査を受けたら個別取引の抜き取り調査があるかも(+担当者は呼び出しを受けるかも)」、の具体リスクを説明し、まじめにセルフチェックしてもらうよう促します。

仕組み化④ 支払サイクルの短縮化

経理目線ですが、請求書は、月末締め+翌月末現金払い(月初直ちに請求書発送)のサイクルが望ましいです。正しくは検収終了時から起算ですが、取引件数が多いと管理が膨大になり、経理の負担も増えてしまうので避けた方が良いです。

仕組み化⑤ 定期の周知、教育、啓蒙活動

上記に加えて社内でコツコツとEラーニングや発信を繰り返し、皆が「下請法」という言葉を記憶に残すよう、工夫を積み重ねます。

まとめ

下請法対応は地味な業務です。その分、きちんと対応して調査そのものを回避する(ヒアリングも優等生としてしっかり対応する)のが正解です。
できるだけ担当者個人に負担をかけず、仕組みによる解決を目指すのが持続的かつ効果的です。
(上記以外にもやれる・やることはありますが、まずは上記まで)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?