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「うつくしが丘の不幸の家」を読んで

「うつくしが丘の不幸の家」
著者:町田そのこ
オーディブル版の感想文です。

作家「町田そのこ」さんの代表作である「52ヘルツのクジラたち」の映画公開をメディアが取り上げていた。福岡県出身の作家として活躍されている方が、わたしが住んでいる福岡の近いところにいらっしゃることに驚いた。

それから町田そのこさんの作品に興味を持ち、「うつくしが丘の不幸の家」のオーディブル版を読んでみました。

タイトル名から、当初イメージしていたミステリアスなものかと思いきや、読み終えてみると心温まる素敵な内容でした。

一戸建ての家に住む家族の物語が、各章を読み進めると時間がさかのぼり繋がっています。最後のエピローグを読むころには、各章に様々な伏線があることがまたこの物語の面白さだと感じました。

物語りの構成

5章からなる短編小説の形式ですが、それぞれの家庭の「幸せ」について考えさせられる内容でした。

物語の冒頭から、いろいろとうまくいかないことばかり起こると嘆く主人公が描かれています。
うまくいかない事の原因を探りたくなるのが心情です。「家」「琵琶の木」など「うわさ」や「言い伝え」など…
何の根拠もないものに囚われてしまいます。

「うわさ」といえば、幸せな人や家庭を見るとそれを妬み、よからぬ噂を吹聴する人がいます。この物語にも一戸建てに住む幸せな人に対して、近所の一人が吹聴しています。何の根拠もなく「不幸の家」という強い言葉として浴びせています。すると強い言葉は、耳に残り、人の想像力をかき立て「家の釘」一つ見つけてもよからぬことが頭の中で渦巻いてしまいます。

わたしも人の言葉に影響を受けやすく、読み進めていくうちに自分ことのように思ってしまいました。縁起が良いとか悪いとかを気にしてしまいがちです。

朝の情報番組など、毎日星座占いなど流しています。見なければなんてことないのに「今日の○○座の運勢は・・・」と言われるとそ、の日の予定を思い起こして対策を考えたりしてしまいます。

誰に言われるでもなく、指示されたように考えてしまう。自分自身が「自分の人生をどうのようにいきていきたいのか」を考えていないことに気づく。

この小説を読んでからは、「自分が本来どうしたいのか」という問いに答えを出すことに行きつきました。

まとめ

色々な人との付き合いが時間とともに紡がれる絆も、この物語には表現されています。それには「琵琶の木」「組み紐」などが重要な手がかりとなっているようです。家族や友人、近所の方など「人との繋がりの大切さ」を感じさせられました。

自分自身を見直して、人に影響されない「自分の世界観」を望む未来に向けていこうと思う。「正しい思いこみ」がこれからの自分を変えていけるのではないかと思いました。

「今日もうまくいく」「愛されている家族がいる」だから大丈夫!と心の中で唱えるようになりました。



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