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イギリス留学を終えて

こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

先日、約2年間のイギリス留学を終えて、日本に帰国しました!

昨年末からnoteを書き始めて、これまで弁護士のイギリス留学に関するあれこれを書いてきました。英国法弁護士の登録のことなど、まだ留学中の出来事で書き切れていないこともあるのですが、本日は、ぼくの留学にも一区切りついたということで、感想めいたものを書きたいと思います。

あまり綺麗にまとまった内容ではないことは自分でも理解しつつ、留学を終えた今の瞬間のありのままの感想も大事だろうと思い、書き殴ります。

誰かに向けて書くわけではありませんが、これから留学をされようとしているぼくら世代以下の弁護士の方が主な対象となる気がします。

よければお付き合いください!

留学のタイムライン

ぼくのイギリス留学はこんな感じでした。

2020年秋 留学を決意
2021年12月 キングスカレッジロンドン(KCL)に条件付合格
2022年3月 IELTSの必要スコアを取得・無条件合格
2022年7月 渡英
2022年7月 プレセッショナルコース(8月まで)
2022年9月 KCLに入学、Term 1開始
2023年1月 英国弁護士試験一次試験(SQE1)、Term 1終了
2023年2月 Term 2開始
2023年3月 SQE1合格
2023年5月 Term 2終了
2023年6月 修士論文の準備が本格化(Term 3)
2023年8月 修士論文の提出・KCLの全カリキュラムが終わる
2023年10月 ロンドンの法律事務所での研修開始
2023年11月 英国弁護士試験二次試験(SQE2)の免除取得
2023年12月 KCL修了
2024年2月 英国弁護士の登録
2024年8月 研修を終えて帰国

留学の準備を始めたのが四年前というのが驚きです。この間に二人も子供が生まれて(しかも第二子はイギリスで出産)、ミドサーからアラフォーになりました。時の流れを感じます。

そもそも、なぜ留学をしたのか?

これまでの振り返りを行うにあたっては、ぼくの留学の目的との関連で話を進めた方が良いかなと思います。このトピックは、以前もどこかで書いたとは思うのですが、ご容赦ください。

ぼくが留学を決意したのは2020年秋、弁護士3年目のことです。事務所に入所以来がむしゃらに仕事してきましたが、一方で、将来に対する焦りが、ぼくの中で日に日に大きくなっていました。もっと直截的に言えば、これからちゃんと稼げる弁護士になれるのか、という不安です。

こう書くと、金の亡者のように思われるかもしれません(笑)ただ、弁護士稼業にとってこの問題は切実です。ぼくも別に華美な生活がしたいわけではありません。売上をきちんと上げなければ、十分な収入が得られない(=生活が立ち行かなくなる)リスクが常にあるということです。

アソシエイトのうちは、事務所から降ってきた仕事を処理することで売上を確保しますが、年次が上がっていくとそうもいきません。どの事務所も、最終的には、仕事を処理するのではなく、仕事を取ってくることを期待するようになります。この節目の一つが、パートナーになることなのかなと思っています。

大手の場合、そのタイミングはかなり先なのかもしれません。でも、中規模の事務所、少なくともぼくの所属先の事務所では、そう遠くない将来に、そのタイミングが訪れることになります。

翻って、当時のぼくは、仕事をとって来れるなんて状況ではもちろんなく、将来にそうなれる可能性も見出せずにいました。ひたすら事務所の仕事をこなすだけで、誇れるような特化分野もなく、かといってクライアントからの覚えの良いキャラでもないという、ちょっと悲惨な状況でした。

当時の自分の心情を言い表すと、自分に自信が無かったんだろうなと思います。留学に行けば、ぼくも何者かになれるんじゃないだろうか、そう思って留学を決意したのです。

留学で何を身につけたかったのか?

上記のような理由で留学を決めたこともあり、ぼくが意識したのは、他者との差別化です。「ぼくは〇〇です。」と言いたかったわけです。

こういった事情から、ぼくは留学先として一番人気のアメリカではなく、イギリスを選びました。加えて、英国留学経験者や英国の実務に明るい弁護士は既にたくさんいるため、データ法にも力を入れることにしました。

この英国×データ法というコンセプトを基に、ぼくは留学前に次のような目標を立てました。

① 英国弁護士資格を取得する
② ロースクールでデータ法を勉強する
③ イギリスのファームで実務経験(特にデータ法)を積む

当初の目標は達成できたのか?

一部危うかった場面はありましたが、上記の①〜③の目標を全て達成することができました!

詳しくは、関連する各記事をご覧頂ければと思いますが、いくつかの点について、ここでもコメントしたいと思います。

現地事務所での業務について

このnoteでは、まだあまり詳しく書けていないのですが、ぼくは、2023年10月〜2024年7月の10か月間、ロンドンの法律事務所に出向していました。

その事務所は日系のクライアントを多数抱えていたこともあり、各パートナーからは、手前味噌ながら、日英両資格を持つ弁護士としてかなり重宝してもらったと感じています。

現地での研修は暇という噂もあるところ、ぼくの場合は幸いにして全く当てはまらず、毎月、日本で働いていたときの2/3ぐらいのビラブル(稼働時間ベース)は回していました。

また、業務内容については、クロスボーダー取引にも携わりつつ、英国現地法人のジェネコ業務も担当できたのが良かったです。加えて、データ法(とりわけGDPR関連の業務)については、事業者からの需要がとても大きく、文字通り大量に経験を積めました。

ぼくは事務所のツテを使わずに研修先を探すことにしていたため、イギリスでプチ就活のような状況となりました。苦しいときもありましたが、そのときのことも含めて、貴重な経験になりました。

正直に言って、出向中に得た経験は、この留学でもっとも有益なものだと感じています。

事務所や家庭の事情もあり、また運とご縁の問題ではありますが、これから留学される方は、もし可能であれば、絶対に現地での実務を経験された方が良いと思っています。

ロースクールについて

これまでもいくつかのトピックに分けてnoteで書いてきたとおり、楽しいロースクール生活を過ごせました。

ただ、後悔を込めていうと、ロースクールでの学びを充実したものにするためには、能動的な行動が必要であり、そこを怠ってはいけないと思います。

イギリスの大学院において、外国人の生徒はよく言えば「お客さん」、嫌な言い方をすれば「金づる」などとも揶揄されます。ここは、アメリカのLLMで指摘されている問題に近いものがあるかもしれません。

そのため、実際のところ、LLMの学位を得ることは全く難しくありませんし、日々の予習復習もサボろうと思えばいくらでもサボれます。その気になれば、授業で英語を一言も発せずに過ごすことも可能です。

ぼくは、SQEの勉強にかまけて単位を落としかけるなど、決して褒められた生徒ではありませんでした。もし、英国弁護士の資格も取らず、かつ、現地での実務経験もしないまま、LLMの学位だけ取って日本に帰国していたとしたら、胸を張って留学のことを話すことは難しかったかもしれません。

もし、イギリスでの留学をロースクール修了のみで終わらせることを考えてる人がいらっしゃれば、ぜひ、アクティブに取り組まれてください!!!

プライベートのこと

海外生活は身体が資本

最初に声を大にして言いたいのは、健康はめっちゃ大事です!!本当に大事!!

ぼくは去年の春に体調を崩してしまって、散々な目にあいました。家族の助けがなかったら、精神面もヤバくなっていたかもしれません。

当たり前ですが、日本と外国では、生活環境がガラッと変わります。気候や食事といったわかりやすい要素のみならず、ほんの細かな違いが積み重なって、ボディブローのように効いてきます。

何をどうすれば健康に過ごせるのか、ぼくも確たる答えは持っていません。ただ、一つ言えるのは、体調を崩してしまったら、元も子もないということです。ここまで、色々と書いたものの、無理してやることは一つもないと思います。

ぜひ、身体だけはお大事に!!

お金はいくらあっても足りない

悲しいことに、この留学で、ほぼ貯金を使い果たしてしまいました。

ぼくの事務所は、留学補助にかなり手厚い方でしたが、それでも円安と相まって、優雅なロンドン生活は過ごせませんでした(笑)

留学の後半は妻の妊娠と出産でバタバタしていたこともあり、せっかくの旅行にもあまりいけませんでした。それはそれで致し方なしですが、もし出産のイベントがなければ、色々なところに出かけたい欲求が出てきたはずなので、そのときはきっと金欠を恨んでいました。

まあ、ポジティブに捉えるなら、弁護士の留学経験は後になってお金で買えるわけではありませんし、日本に戻った今、仕事を頑張る動機にもなったので、良しとします!

留学中にnoteを書くこと

2023年12月から始めたnoteは、留学の大事な要素の一つになりました。

これまで、①留学のこと、②法律(おもに英国法とデータ法)、③イギリスの暮らし、といったテーマを中心に、160以上の記事を書きました。

noteは、①や③に関しては、みなさまに向けての情報発信という建前をとりつつ、ぼくの留学生活を振り返り、時には見つめ直す機会を与えてくれました。また、②に関しては、記事を書くにあたり改めて調べることを通じて、ぼくの知識を確かなものにしてくれました。

そして、幸いにも少なくない方に読んでいただいており、本日時点でなんと、50000を優に超えるビュー数になっています!!

※ただし、スキは少ない、、。

定期的に交流させていただくnoter(?)さんもできましたし、ツイッター(X)を通じて、たくさんの方からメッセージを頂戴することができました。この場を借りてお礼申し上げます。そして、引き続きよろしくお願いします。

惜しむべくは、もっと早くにnoteを始めていれば良かったなあと思います。もし、留学中の方は、noteでも他のsnsでもなんでも良いので、情報発信されることを強くお勧めします!

まとめ

2年間のイギリス留学は、本当にあっという間でした。日本に戻ってきた今では、まるでロンドンでの生活が夢の中の出来事のようです。

将来のキャリアに焦り、何者かになりたくてイギリスに留学したぼくですが、正直に言うと、この留学を終えて、何者かになれた実感はゼロです。

もちろん、英国法、データ法については精一杯知識をインプットしましたし、これらの実務もみっちり経験しました。けれども、一線で活躍している弁護士の方々に比べたら、ぼくなんてまだまだです。

でも、今のぼくは、不思議とこれからの弁護士稼業について、不安に思っていません。客観的な状況は、留学前と後でさほど変わっていないにもかかわらず、将来のことをとてもポジティブに捉えられています。

留学を通じて得られた最大の成果は、この根拠のない自信です(笑)でも、それでも良いと思っています。この留学の本当の評価は、未来のぼくが下してくれるはすです。

このnoteは、そのまま残しておこうと思っています。10年後、20年後、ぼくがこれを読んだときにどう感じるのでしょうか。少し楽しみです。(そして、noteがサ終しませんように!)

最後に

日本に帰ってしばらく地元の関西でだらだらしていたら、あっという間に1週間が経っていました。もうすぐ、お盆休みも終わろうとしています。

そして、残念なことに、もうすぐ日本での実務を再開しなければいけません。「将来をポジティブに捉えている」などとかっこいいことを言っておきながら、やっぱり働かなくて良いなら、働きたくないです。

とはいえ、貯金もゼロになったことですし、頑張ります!もし、お仕事に関するご相談等がありましたら、以下のwebページに載っているメールアドレスから、ご連絡をください。

留学生活には一区切りがつきましたが、引き続きnoteは続けて行こうと思います。(もう「留学中の弁護士」ではないので、サムネやプロフィールは後でこっそり直す予定です。)

今後ともよろしくお願いします!
ありがとうございました。


免責事項:
このnoteは、ぼくの個人的な意見を述べるものであり、ぼくの所属先の意見を代表するものではありません。また、法律上その他のアドバイスを目的としたものでもありません。noteの作成・管理には配慮をしていますが、その内容に関する正確性および完全性については、保証いたしかねます。あらかじめご了承ください。


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よければ、ぜひご覧ください!

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