【英国LLM留学】プレセッショナル・コースには通うべき?
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
ぼくは、2023年にキングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のロースクールを修了しました(LL.M.)。カリキュラムは’22年9月下旬から始まったのですが、ぼくは、その前にプレセッショナル・コースと呼ばれる準備コースに6週間参加しています。
今回は、イギリスの大学院への留学を検討している方に向けてぼくのKCLでの経験を基に、プレセッショナル・コースについて書いていきたいと思います。
プレセッショナル・コースとは?
読んで字のごとく、本科が始まる前の準備コースです。
こちらはぼくが通ったKCLのプレセッショナル・コースのWEBサイトです。
プレセッショナル・コースの目的は?
大学院での学びを始めるに当たり、必要な英語スキルを身につけるというのが位置づけです。しかし、実際の重要な目的は、これです。
KCLでは、IELTSのスコアが0.5足りなければ6週間、1.0足りなければ11週間、1.5足りなければ16週間のプレセッショナル・コースを修了することで、スコアに代えることができます。
例えば、入学要件がIELTSでOverall 7.0、各セクション6.5であったとして、自身のスコアが、Overall 6.5、Writingが6.0のように0.5足りなかった場合に、6週間のコースに参加することになります。
すごい制度ですよね。
イギリスの大学院のほぼ全てが、出願時にスコアを提出していなくても、条件付き合格を出します。これをプレセッショナル・コースと組み合わせれば、英語のスコアが足りないせいで留学が出来ないという事態がほぼ無くなるのじゃないでしょうか。
条件付き合格の説明についてはこちら。
なお、ぼくはKCLのプレセッショナル・コースしかちゃんと調べていませんが、他の大学院も同様の制度を設けているという理解です。
費用はどれくらいかかるの?
2024年入学のKCLの場合は、こんな感じです。
高いと思われるでしょうか?
それとも、スコアメイクが終わらない恐怖を考えれば安いでしょうか?
どちらにせよ、円ベースだと、ぼくのときの1.5倍ぐらいの値段になっています、、。当時よりも円安がかなり進んでいることもありますが、それを差し引いても値上がりしていますね。
プレセッショナル・コースに参加するメリット
スコアが足りなくても入学資格を得られる
既に述べたとおり、プレセッショナル・コースを修了すれば、英語のスコアに代えられます。
正直に言って、プレセッショナル・コースの修了は難しくありません。カリキュラムの終盤に認定テストが一応あるのですが、まず落ちることはありません。IELTSのスコアを0.5上げるよりも遥かに少ない労力で、入学資格を得られます。
外国の大学で学ぶ環境に慣れることができる
こちらでも書いたとおり、ぼくは、スコアが取れていたのですが、プレセッショナル・コースに参加しています。
ぼくは、英語「を」学んだ経験はあるものの、英語「で」学ぶ経験はありませんでした。海外の大学・大学院での勉強の難しいところは、言葉の壁のさることながら、授業のスタイルの違いもあると思っています。
プレセッショナル・コースの主眼は英語のスキルアップにありますが、そのトレーニングを大学院の授業に近い形で行うため、本科に入った後もすんなりと授業になじむことができました。
例えば、ぼくの場合は、プレセッショナル・コースを通して、授業中に発言することに慣れたおかげで、ロースクールでの授業でも、躊躇せずに手を挙げて質問することができました。あとは、英語でのディスカッションをたくさんやったことで、必要以上にビビることもなくなったと思います。
友達が作りやすい・違う専攻の友達ができる
これはロースクールだけの話かもしれませんが、本科では講義形式の授業も多く、友達ができる機会は案外限定的です。しかし、プレセッショナル・コースは少人数でのコースワークも多く、関係が密になりやすいので、友達が作りやすいです。
実際、ロースクールで出来た親しい友人のうちの何人かはプレセッショナルからの仲なのですが、もしプレセッショナルが無かったら、ここまで仲良くはなれていなかったと思います。
また、違う専攻の人と関われるのも魅力です。
KCLのプレセッショナル・コースは、社会科学、人文科学、自然科学の3グループに分かれて実施されます。ぼくらロースクール組は、政治学や経済学を学ぶ予定の人たちと一緒に過ごしました。
今でも連絡を取り合っている別の専攻の友人が何人かいるのですが、ロースクールでただ勉強しているだけでは、彼らと友達になれることはなかったと思います。
修士論文の書き方を学べる
プレセッショナルの修了要件の一つに、エッセイの提出があります。その準備として、授業では結構な時間を取ってアカデミックライティングの手法を学ぶのですが、後々の修士論文の作成にとても活きました。
ぼくがイギリスのロースクールを選んだ理由の一つに、修士論文を書けることがあったところ、プレセッショナルで学んだおかげで、基本的なところで躓くことがなく、師事した教授とのコミュニケーションがスムーズにいったと思っています。
プレセッショナル・コースに参加することの留意点
費用と時間
費用は先ほど書きましたが、決して安くないですよね。
また、時間の面でも、弁護士の留学という観点からだと、ロースクールに入る前に11週間もプレセッショナル・コースに通うことは現実的ではありません。アメリカのロースクールに通う人も前哨戦でサマースクールに通う人は多いので、そことの平仄を合わせる意味では、せいぜい6週間のコースが限度ではないでしょうか。
参加者の国籍に偏りがある
英語が苦手な国と得意な国があるので、当然と言えば当然なのですが、プレセッショナル・コースの参加者の国籍はめちゃめちゃ偏っています。
具体的には、なんと7割は中国人です。
彼らは、中国人同士で固まる傾向があり、休み時間は中国語が飛び交います。まあ、日本人(というかぼく)もその傾向があるので、それ自体は仕方ないのですが、雑談を通じて英語力を磨くという機会は、能動的に動かないと得られません。
プレセッショナル・コースに通うべき?
まず、IELTSのスコアが足りない人に関しては、YESです。それしか選択肢がないですよね。
次に、ぼくのようにスコアが取れている人は、プレセッショナル・コースに通った方がいいでしょうか?
答えは、ぼくにとってはYESです!
プレセッショナル・コースのおかげで、物怖じせずにロースクールの授業を受けられましたし、親しい友人もできました。修士論文で良い成績を取れたのも、プレセッショナルでの学びが影響していると思っています。
ただし、ぼくは幸いなことに事務所からプレセッショナルの参加費用がもらえたので、コストの問題を気にせずに済みました。もし、自費で参加するとなると、答えは50/50でしょうか、、。難しいですね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
イギリスの大学院への留学を検討しているどなたかの参考になれば嬉しいです。
弁護士のイギリス留学に関するいろいろなことを書いています。
よければ、ぜひご覧ください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?