今回は『JOKER』。
名場面たくさんありますけど僕が印象に残ってる一つが、上半身裸でロッカールームの片隅に座っている場面です。
街の不良に暴行されてできたアザよりも、光で浮かび上がる骨肉のほうが目を引き、内側で何かが蠢いているようで、エイリアンみたいなのが飛び出てくるんじゃないかと思った記憶があります。
で、元の脚本ではどう書かれてるんだろうと見てみました。
脚本中のシーン14、注1のところですね(書き込みは自分で書いたものです)。
この場面の実際の映像を元に、配置を俯瞰図にしてみました。
脚本中には「窮屈な (cramped) 」と書かれていますが、映画中ではそこそこの広さがあります。crampedの感覚が違うのかな、と画像検索してみましたが、出てくるのは超迫っ苦しいのばかりなので、感覚は違っては無いようですね。
であれば意図的にこの広さのロケーションを選んだのでしょう。
これを仮に狭い部屋にしてみたり、座る向きを反対にしてみたらどうでしょう? 印象がかなり変わってくるんじゃないでしょうか。
映画中、カウンセラーとの会話でアーサーがこう言う箇所があります。
"But until a while ago. it was like nobody ever saw me. Even I didn't know if I really existed."
「ちょっと前までーー誰も僕を見てなかった。僕は存在するのかなって」
それを映像で語っているのがこの場面なのかもしれないですね。
ちなみにこの台詞は脚本には存在しませんでした(シーン43)。
撮影中に書き換えられたようです。
このノート書くためにシーン14を読みつつ、映画を見てみたら全然違ったので、どれぐらい違いがあるんだろうと比べ始めたらシーン14だけでもえらい違うことが分かりました。
まじか……
映画全体で、何がどう変わったのか滅茶苦茶興味あるんですが、調べるのにどれだけ時間がかかることやら……
でもホアキン・フェニックスと監督が、アーサーをどのように掘り下げていったのかを知る一端にはなるし『JOKER』はそれをする価値があるように思う。
……どこかに日本語訳の脚本無いですかねぇ。