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小零細出版社の私はどこでどういうふうにAIを使ったらいいのでしょうか(ChatGPTを使おうとしてうまく行かなかった話)

小零細出版社の従業員としてAIをどこでどういうふうに使ったらいいか、なかなかピンと来ないまま調べたり試行錯誤したりしています。いちおう、先週の半ばぐらいから仕事に関しては少し方向性が見えてきました。なので、商用利用に関する規約や制約など色々調べ始めています。会社で想定している利用だとそこそこお金はかかりそうですが、それでも今までの○○と比べると桁がヒト桁、いや下手するとフタ桁変わってきそうです。もちろん、安い方にです。すごいな、AI。

それとは別に、相変わらずひとりでチマチマ運用している近刊検索デルタでもAIが使えないかと考え続けています。こちらは無料の利用の範囲で考えていますが、なにか機能を足すというより手間を減らす方向で使いたいです。トラブっても常にひとりなので。

毎日Twitterで140文字に収めるために苦心している内容紹介の要約を話題のChatGPTにやってもらおうと思いついたのは昨日(2023年1月14日)のことです(このnoteを書いているのは1月15日)。

プログラミングやAPIの利用がどうこうは後に回して、とりあえずChatGPTのサイトで試してみました。

具体的には、タイトル・著者名・出版社名・発売予定日・URL(22文字換算)などを除いた文字数に要約するよう以下の文章をChatGPTに渡します。タイトルや著者名・出版社名によって必須項目の文字数は変わります。そこのカウントについては別途プログラムを書きました。

次の文章を日本語で73文字以内に要約してください。「〜」

近刊検索デルタはopenBD経由でJPROの書誌情報を取得しています。ですので、上記のツイートの「〜」の部分は出版社がJPROに登録した内容紹介となります。それを、70文字とか80文字以内に要約する作業をChatGPTにやってもらおうというわけです。

昨夜、寝る直前までの段階では「これはいけるのでは?」という感触でした。これが行けるなら取次広報誌の短い内容紹介とかも行けるんじゃないか。そうなると出版業界の内容紹介におけるワンソースマルチユースが加速するのではないか。

もしかしてこれって、DX…ってコト!?

しかし、今朝の『タローマンなんだこれは入門』で夢は打ち砕かれました。要約に与えられた文字数は73文字でした。しかし、あれだけ有能っぷりを発揮していたはずのChatGPTは73文字の制約を無視して146文字ぐらいの要約を吐き出してくるのです。何度やっても、です。

「73文字と146文字はマルチバイトの問題では?」というご指摘がありそうですが、そこは確認済です。ChatGPTは他の要約ではそこそこ指定した(マルチバイトの)文字数以内に収めてくれるのですが、『タローマンなんだこれは入門』は無理だったんだよ……

残念ながら、今回の試みは一旦撤収です。しかし、ChatGPTに文字数を指定したうえで要約(の下地)を行ってもらうのはかなり使えた印象です。ChatGPTは頑張ってくれました。『タローマンなんだこれは入門』の内容紹介が要約不能なんだと思います。実際、私がやっても厳しかったです。なんだこれは!!

要約についてChatGPTに聞いてみた結果

■■■ 以下、AIの利用に関する私見

以前から思っているのですが、出版業界でAIに販売予測をさせようというのは無理がありませんか。先のことは分からないという漠然とした話ではなく、「多品種少量生産」の「少量」がますます「少量」になってしまうと予想外のちょっとした事柄の影響が大きくなってしまいませんか。それこそ誰かが紹介したとかであっという間に話が変わってくるわけです。数が小さくなると予測もなにもないのではないでしょうか。

それとは別に、そもそも人間が全然予測できてないことは機械学習系のAIも無理なのではないでしょうか。現状のAIが得意なのは既にあるものを要約したり分類したり模倣したりパターンに則って受け答えしたり翻訳したりなんだりであって、無理に予測がどうこうよりも、そういうことに使えばいいのではないかと思います。

とはいえ、「売れそう」とか「売れなさそう」ぐらいまでだったら現状のAIでも充分に行けそうです。予測というよりは分類といった感じになりそうですが。当たり外れはもちろんあるでしょう。それは人間がやっても同様です。いわゆる「目利き」は山ほど外しているはずです。外した時は皆さん多くを語りません。よっぽどの大外しでなければ本人も忘れてしまうというのもあるかもしれません(もちろん例外的に当たりを続けられる方はいるかも知れませんが)。

ですので、自分はAIに「売れそう」「売れなさそう」程度の分類(予測)をやらせること自体に反対はありません。人間も当たったり外れたりなので、そことあまり変わりは無いからです。「AIが売れると言ったから売らないとダメなんだ」とか「AIが売れないと言ったから売ったらダメなんだ」とか、そういう「人間のほうが考えるのを放棄する状態」にならなければ特に問題もないのではないでしょうか。

とはいえ、現状の「取次が〜」「本部が〜」「出版社が〜」は誰かの恣意的な判断が介在しています。AIがメーカーや流通から独立した形で読者のニーズに近いところを引っ張り出してこれるなら「AIが〜」も悪くないのかもしれません。少なくとも今より悪くなることはない、かも。そのあたりは専門家におまかせいたします。

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