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6 区廃-第1237号


ある朝、男が仕事に向かっていると、真新しいごみ収集車が彼を追い越していった。男はその青い車体に白い文字で区廃-第1237号とあるのを見た。

あっという間に十年が経った。男は仕事を二度変わり、住まいを一つ隣の駅に移していた。いまだ独り身だった。

ある朝、男は仕事に向かう途中の道でごみ収集車とすれ違った。ふと見ると、その青い車体に白い文字で区廃-第1237号とあった。あのときの車だった。男はまだ真新しかったそのごみ収集車を見たときのことをよく覚えていた。

その日は一日仕事が手につかなかった。この十年というもの、男の生活にはそのごみ収集車のこと以外、記憶に残るようなものが何一つなかったのだ。男はどうしようもない虚しさに襲われた。

男は定時に仕事を上がると、まっすぐ家に帰り、カーテンレールで首を吊った。うまくいかなかった。

〈了〉

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