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営業の初回訪問で失敗しない完全ガイド

新規開拓型のフィールドセールスが行う営業活動において、初回訪問(初回打ち合わせ)は顧客との信頼関係を築き、その後の成否を左右する重要な機会です。しかし、事前の準備不足や緊張から、十分な成果を得られずに終わってしまうことも少なくありません。

そこで今回は、初回訪問で失敗しないための方法を、準備から実行まで実践的な内容で解説します。


1.初回訪問前にすべき準備

1-1.顧客情報のリサーチ

あらかじめ顧客の情報を収集する
訪問までに、Webサイト、IR資料、インタビュー記事、SNS、求人情報など、複数の情報源を調査します。そこから、商談相手の事業内容、業界内での位置づけ、社風、組織体制、将来展望などを把握します。

競合企業や業界全体の動向も調査し、可能であれば担当者のプロフィール情報も集めておきます。単に情報を集めるだけでなく、情報同士のつながりや、何を意味するのかを考え、相手を理解しようと努めます。

情報分析と仮説構築
そして、収集した情報から仮説を導き出し、商談相手の抱えている課題やニーズを具体的に想像します。

例えば、「売上減少に悩んでいるのではないか」「人材の採用に課題を感じているのではないか」など、仮説を複数立てることで、より深い洞察を得ることができます。

1-2.訪問目的の明確化と商談での行動計画

目的の明確化
この後の手順で、商談時の行動計画を策定する準備として、ここでは、初回訪問の目的を明確にします。よくあげられる内容としては、以下のような例があります。

  • 見積もりに必要な情報を聞く

  • 導入や発注の意思決定をしてもらう

  • 自社の商品に興味を持ってもらう

行動計画の策定
次に商談によって初回訪問の目的を達成するために必要な行動を具体的に書き出し、計画を作成します。

例えば、「自己紹介と会社の説明をする」「提案に必要な事柄について質問する」「現在の状況を整理する」「自身が力になれる点を伝える」「次回の訪問日時を提案する」など、具体的な行動を時系列に並べます。

時間配分の検討
それぞれの行動に必要な時間を想定し、全体の訪問時間を把握します。
時間配分を意識することで、限られた時間の中で効率的に成果を上げることができます。

1-3.想定質問への回答と対話促進の準備

想定質問への回答準備
これまで調べた内容をもとに、商談相手からされそうな質問の内容とその回答を事前に準備しておきましょう。行動計画にそって、商談相手が思いつきそうな疑問を考え、FAQ形式でリストアップします。

それぞれの質問に対して、簡潔かつ分かりやすく、具体的な事例を交えて回答できるように準備しておきましょう。

顧客との対話促進の準備
質問に答えるだけでなく、商談相手の反応を引き出す質問も事前に用意しておきましょう。

単に答えを聞くのではなく、「過去にそう判断された背景について、お聞かせいただけますか?」「その点で苦労されていらっしゃるとのことですが、他の部署の方も同様の意見でしょうか?」など、対話形式で質問することで、顧客との会話を深めることができます。

訪問時は、アクティブリスニングを意識し、顧客の話にしっかりと耳を傾け、共感を示しながら話を引き出すことが重要です。

1-4.提案内容と資料の準備

提案内容の準備
リサーチした商談相手の情報をもとに、提案の内容を準備します。相手の情報が少ない場合は、あまり内容を固めずに方向性や複数回訪問での提案シナリオを準備する形がよいでしょう。

初回訪問の当日は、相手にヒアリングした内容に基づき、自社の商品・サービスがどのように顧客の課題を解決できるかの根拠を具体的に示す必要があります。

事例を活用し、自社の商品・サービスが顧客の課題を解決した実績を示したり、導入後のシミュレーションを作成して提示するなど、具体的な提案を実施しましょう。

資料の準備
上記で準備した提案内容を分かりやすく伝えるためにパワーポイントやGoogleスライドを使用して資料を用意しておきましょう。

資料は、簡潔で分かりやすく、視覚的に訴えるようなものを作成します。
箇条書きや図表を活用し、重要なポイントを強調しましょう。

2.初回訪問の流れ

2-1.アイスブレイクで緊張をほぐす

初回訪問の冒頭では、アイスブレイクを行い、緊張をほぐしましょう。天気や季節、ニュースの話など、雑談から始めて、徐々に本題へと移行します。笑顔で明るく接し、親しみやすい雰囲気を作るように心がけましょう。

ここで重要なのは嫌われないことです。ユーモアを交えるのも効果的ですが、失礼のない範囲で行うことが重要です。

2-2.自己紹介と会社紹介を簡潔に行う

自己紹介と会社紹介は、簡潔かつ分かりやすく行いましょう。長々と話してしまうと、顧客の時間を無駄にしてしまう可能性があります。

以下のようなポイントを簡潔に伝えましょう。

  • 氏名と役職

  • 会社名と事業内容

  • 訪問目的

名刺交換は、自己紹介のタイミングで行うのが一般的です。

2-3.提案のための質問をおこなう

商談相手から提案に必要な情報を引き出すためには、共感を示しながら質問を行うことが重要です。

以下のような質問例を参考に、相手の話をじっくりと聞きましょう。
「○○様が今期お力を入れられているのはどの業務でしょうか。」
「以前にこの商品を検討されたことがあるとのことですが、その際はどのような点がネックだったのでしょうか。」
「発注先の選定基準としては、どのような点を重視されますか。」

ただし、相手を質問攻めにするのではなく、先方の立場に立って話を聞き、ところどころで共感を示すことが大切です。

以下の点にも注意しましょう。

  • 相手の話にしっかりと耳を傾ける

  • うなずきや相槌で共感を示す

  • 必要に応じて質問を挟む

  • メモを取る

2-4.課題解決に向けた提案を行う

商談相手から提案に必要な情報をヒアリングできた場合は、課題解決に向けた具体的な提案を行います。商品・サービスの導入により解決したい課題の認識が曖昧な場合やヒアリングが不十分な場合は、一旦持ち帰りとして、次回以降の商談で提案を行うことにしてもよいでしょう。

提案から成約につなげるには、相手の解消したい課題に対して、商品・サービスが貢献するイメージを作り出す必要があります。資料やデモ、サンプルなどを活用して導入を後押ししましょう。

提案のポイントは以下です。

  • 課題について相手と合意する

  • 相手の意向に叶うよう提案する

  • 具体的な数字やデータを用いる

  • 分かりやすく簡潔に話す

  • 質問に丁寧に答える

2-5.次回の行動を決定する

初回訪問の後半では、次の行動(アクション)を決定しましょう。事例の調査や提案書の作成など営業側のタスクと依頼書類の雛形の提出、利用人数の確認など顧客側のタスクを洗い出し、それぞれで行うことについて合意しておきます。

次回の行動を決めておくことで、適切にリマインドを実施したり、提案内容に対する顧客の反応を確認し、更なる提案を行うなど、関係を深めていくことができます。

次回の訪問日時は、顧客の都合を確認してから設定しましょう。

2-6.アフターフォローをしっかり行う

訪問後には、お礼状やメールを送るなど、アフターフォローをしっかりと行いましょう。訪問内容のお礼を伝え、次回アクションの確認を行います。商談相手との良好な関係を維持するためにも、継続的なコミュニケーションを実施します。

  • 訪問のお礼状

  • 提案資料の送付

  • 追加情報の提供

  • 次回アクションの確認

3.初回訪問で意識すべきポイント

3-1.顧客目線に立った提案を行う

商談相手の課題を解決し、利益をもたらすためには、顧客目線に立った提案を行うことが重要です。商品・サービスを売り込むのではなく、相手にとってのメリットを説明しましょう。

相手の置かれた状況を理解し、共感を示しながら提案を行うことで、信頼を得ることができます。

3-2.熱意と誠意を持って接する

人の感情を動かすためには、熱意と誠意を持って接することも大切です。企業間取引(BtoB)では、ロジカルな提案に重きが置かれますが。人間同士の取引では購買の意思決定に感情面も左右されます。

自社の商品・サービスに自信を持ち、顧客の課題を解決できるという強い信念を持つことが大切です。

3-3.時間厳守と丁寧な対応

初回訪問では約束の時間に遅刻しないことはもちろん、丁寧な対応を心がけましょう。時間厳守は、基本的なマナーです。遅刻する場合は、必ず事前に連絡し、謝罪しましょう。

商談相手に対して丁寧な言葉遣いを心がけましょう。身だしなみや服装にも気を配り、清潔感のある印象を与えるようにしましょう。

3-4.積極的なコミュニケーション

商談相手との良好な関係を築くためには、積極的なコミュニケーションが欠かせません。訪問中だけでなく、訪問前後もこまめに連絡を取り、関係を深めていきましょう。

近況を尋ねたり、業界動向に関する情報を提供したりすることで、相手との距離を縮めることができます。SNSを活用して、相手とつながるのも効果的です。

4.初回訪問後のフォローアップ

4-1.訪問内容の振り返り

訪問後には、訪問内容を振り返り、良かった点と改善点を洗い出しましょう。良かった点は、次回の訪問に活かします。改善点は、次回の訪問までに改善しておきます。以下の点を振り返ります。

  • 訪問目的の達成状況

  • 顧客の反応

  • 提案内容

  • 自分の対応

4-2.次回の行動に向けた準備

訪問内容を振り返り、次回の行動に向け準備を進めましょう。

  • 質問に対する回答を準備しておく

  • 追加提案資料を作成しておく

  • 次回の訪問日時の調整を行う

まとめ

ここまで、営業での初回訪問を成功させる秘訣について、1〜4のパートにわけて詳しく解説してきました。実践していない内容があれば、明日からの営業活動に取り入れていただければ幸いです。

初回訪問のアポイントがなかなか入らないという方は、以下のnoteを参考にしてみてください。

初回訪問は、商談相手との信頼関係を築くための重要な機会です。しかし、準備不足や緊張から、十分な成果を得られずに終わってしまうことも少なくありません。

この記事で紹介した内容を参考に、しっかりと準備をして、顧客に寄り添った提案を行うようにしましょう。

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