分娩費が保険適応になる? その2

 分娩費が保険適応になれば、少子化の日本では分娩を取り扱う病院、クリニックの収入は頭打ちになることが予想されます。
 経営のコストカットから考えて、クリニックのホスピタリティは削減されることが容易に予想されます。「ホテルライクな食事」「有名ブランドのアメニティグッズ」「出産のDVD作成」などはなくなるのでしょう。
 そういったニーズは民間業者が受け皿となるのでしょう。お産は安全に遂行できればいいという考え以外に、プラスアルファを求めるのが人間の常というもの。

 また保険適応になっても、保険が使用できないケースはどうなるのか。無保険の妊婦さんは存在するわけで、すべての妊婦さんに対して国が分娩費を無料化にするつもりであれば、補助金などで分娩費を助成する制度は必要になるでしょう。

 いずれにせよ国は分娩費の保険適応をすすめていくと考えます。ただし、不妊治療とちがい、分娩は入院管理が必要となっている点で、分娩費以外にも新生児管理料や母体の入院管理料などが、費用として発生します。ですので、分娩にかかわるすべてを無料化するのは難しい印象を受けます。DPCとして包括的に分娩にかかわる費用は一律いくらとなれば、まずは入院日数が減らされる可能性が高いです。
 入院日数をカットし、出産後すぐに退院し、家庭内で母子が孤立するリスクが非常に高くなると考えられます。

 出産後の母体回復や育児トレーニングはすぐにはできません。産後ケアシステムと一体となって議論する必要はあるかと思います。

 分娩費の保険適応をどうしたらすすめていけるのか、いまはそういう議論がこども家庭庁や厚労省、政府内でされていると思いますが、妊婦さんや家族ファーストで政策をすすめていって欲しいと願うばかりです。

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