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私達家族の「DIY池」は生き物たちの住処となると同時に、私達家族の心を一つにしてくれる。

2年前の2020年の春先のこと、突然閃いた。軽井沢にある別荘の庭に池を作りメダカを飼ってみようと・・・。
池を泳ぐメダカを見ているだけで、何となく癒やされるような気がしたから・・・。

どうせ作るなら業者任せにするのでは無く、あまり得意では無いが「DIY」ということで池作りに挑戦することに決めた。
作業メンバーは私と妻と息子の3人・・・。
YouTubeをチェックして計画を練る。
庭の自然を大切にしたいという思いからコンクリートなどを用いることはせずに、池用の防水シートを用いることにした。5メーター四方に及ぶ防水シートはアメリカから取り寄せ準備完了。

テラスから見落とせる場所をスコップ片手に掘り進めていく。
その昔、浅間山が噴火した名残の溶岩や大きな石が掘り進める作業の邪魔をするがそれらを家族の共同作業で取り除いた後の爽快感は堪らなく快適だった。
深さは一番深いところが1メーター、その次が50センチ、そして浅いところは20センチという3段階。

家族3人での共同作業・・・

池の姿が決まった後はいよいよ防水シートのお出ましだ。
防水シートを穴の上に敷いて、深いところから底に押し込んでいく。
池の姿がシートによってよりくっきりと浮かび上がる。

5メーター四方の防水シート

敷き詰めた後、池に水を満たし、周りに石を置いて池のデコレーションをして一番浅いところに水生植物の鉢を置き、更には小枝でデコレーション後にメダカを放流・・・。
こうして6月の初めから取りかかった家族総出のDIY池作りは約3週間の期間を経て完成した。

さあ、後は小枝などのデコレーションだ!
どこからどう見ても池!

池が出来るとその水を目当てに、鳥やトンボが集まってくる。やがて秋になるとトンボが産み落とした卵からヤゴが現れ、メダカが産み落とした卵からほんの数ミリほどのメダカの赤ちゃんが現れる。
一寸した心配は、メダカは寒い軽井沢の冬を越せるのだろうかという事だった。
軽井沢の秋は早くやってくる。10月も半ばになれば枯れ葉が舞い始める。そして11月に入れば枯れ葉は池を覆い、次第に底に溜まり始める・・・。
「枯れ葉が上手い具合に防寒となりメダカ達はその中で越冬できるかも。」なんて思って池に降り注ぐ枯れ葉を眺めていた。

枯葉積もる庭と枯葉沈む池・・・

軽井沢の冬は寒い。氷点下10度も珍しくは無い。
12月下旬になると池は氷り、雪が降れば雪が庭全体を覆い尽くす。
メダカはダメだろうな・・・と思いながらも枯れ葉で埋まる池の底で越冬できるかも、なんて思っていた。
ただ、軽井沢の夏にはトンボが普通に飛び回るのでヤゴは軽井沢の何処かの池で越冬しているに違いない。
だから我が家の池に生まれたヤゴも、普通に冬を越せるのだろうと確信していた。

池には分厚い氷・・軽井沢の冬は寒い

そして年が明けて2021年4月の春を迎えた。
氷はすっかり溶け、枯葉が沈む池が現れた。
だが、予想はしていたもののメダカの姿は見当たらない。
「まだ水温が低いので枯葉の間でじっとしているのかな?」
「ヤゴも同じかな?」
池を覗き込みながら自問自答を繰り返す。

池の底に溜まる枯葉がメダカにとって良い塩梅なら良いけど・・・

表面は透き通る水の池を覗き込みながら、沈む枯葉をどかしてみたらメダカやヤゴが現れるかも・・・なんてフト気付き、小枝で枯葉を掻き分けてみる。
すると・・・表面の枯葉の先は枯葉がドロ状になってしまっていることが判明。
私は愕然とした。
池の底はメダカ達の防寒となる枯葉の布団・・・では無くヘドロ化した枯葉で生き物が窒息してしまう環境となっていたのだ。
スコップで底に溜まる枯葉をかき混ぜてみればあっという間に池はドロ池に変化してしまった。

我が池で生活していた生き物たちよ・・・スマン!!

私は池に集まってきてくれた生き物たちに詫びを入れながら、生き物たちが生育出来る池作りに再度チャレンジすることを決めた。
失敗から学んだ事を生かすことは大切だ。
再度の池作りに際して、決めたことは・・・。
降り注ぐ枯れ葉の池への落下の防御=池全体を覆う網状のシートの設置。
自然浄化を促すための曝気=浄化槽などに用いるエアポンプの設置。

新しい計画を決めてから直ぐにヘドロ溢れる池の水の
汲み出しを行った。
改めて命を落とした生き物たちに詫びを入れながら、長い柄のヒシャクで一掬いずつ水を汲み出した。
汲み出した後、キレイにシートそのものを拭き取って、また新たに水を注ぎ込んだ。
そして昨年と同じく生き物たちが生き抜いていってくれる我が池が再生した。

底のヘドロはタオルで拭き取る・・・
再びの水・・・再生に向かう池・・・

8月の終わり・・・枯葉対策のための網状のシートを作り池の上に張り巡らせた。
そしてエアポンプも設置・・・。
これで、昨年の失敗は繰り返されないはずだ・・・。

網は広い面積が必要だ。ビニール紐で縫い上げる・・・
強い風が吹かない限り大量の枯葉が池に沈むことは無いだろう

こうして2022年の春を迎えた。
本来なら春を迎える時に池のチェックが出来れば良かったのだが前の年から春先まで海外に行っていたので全く池のチェックは出来なかった。
池の上のシートに溜まる枯葉は、別荘の管理会社に頼んで取り除いてもらっていたので、枯葉が池の底に溜まってしまう心配は無かった。
更には暖かくなって水道の水が凍らなくなる頃から池への水の流入を頼んでいたので、池の水が滞ってしまうことも心配なかった。

私が妻と軽井沢に行って池を見たのは5月初めのことだった。
池に近づいてみれば、そこには元気に泳ぎ回るメダカの親子やヤゴ達の姿が有った。
極寒の軽井沢でメダカが越冬できるのか心配だったがものの見事に越冬していた。
恐らく一番深いところで冬眠をしていたのだろう。

昨年の失敗から多くの事を学ぶことが出来た・・・

夏になって7月の中旬、池にはメダカ達が元気に泳ぎ回り、ヤゴからトンボに脱皮しそのトンボが舞い戻ってきて卵を産み落とし、蛙は池の中から獲物を待ち構えている。
鳥たちは池に置いた小枝に掴まって水を飲んだり水浴びしたり・・・。

池に近づくとポッチャンと池に飛び込む蛙・・・
トンボはその大きさから見るとオニヤンマかな?
トンボの脱皮は神秘的だ・・・。


フトした思い付きから失敗を重ねながら
作り上げた
私達家族の「DIY池」は
生き物たちの住み処となり、
その生き物たちの姿は私達家族の心を癒やしてくれながら
家族の心を一つにしてくれている。

一年明けた2023年の春もメダカやヤゴが長い冬眠から目覚めて
泳ぎ始めている。
池に棲む生き物達は、そこが命ある限りの住み家となる・・・
が、私達家族は息子はアメリカを拠点とし、私共夫婦はこの春にメキシコに拠点を持った。
都内の拠点、軽井沢の拠点、アメリカやメキシコの拠点を
行き来する生活が始まっていく。
命ある限り、家族それぞれが失敗を重ねながらチャレンジする事を
継続していきたいと考えている。

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