コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議 -中間まとめ- のまとめ

4ヶ月ぶりの更新です。少しずつペースを戻します。まずは、令和3年8月に文科省から、「コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議 -中間まとめ-」[注1]が発表されたのでそれを整理します。整理するもなにも、資料の最後のページに概要版があるのでそちらを参照いただけたらと思います。

尚、これまでのコミュニティ・スクールに関する記事は次のとおりです。

「高校魅力化プロジェクト」と新学習指導要領が目指す「社会に開かれた教育課程」の連関 -その2 「コミュニティ・スクール」という手段

「高校魅力化プロジェクト」と新学習指導要領が目指す「社会に開かれた教育課程」の連関 -その3 「コミュニティ・スクール」という手段

「高校魅力化プロジェクト」と新学習指導要領が目指す「社会に開かれた教育課程」の連関 -その4 「コミュニティ・スクール」の課題と展望

なぜ、検討会議が実施されて、この時期に中間まとめが発信されたのでしょうか。それは、設置が努力義務化された平成29年の法改正の附則にその記述があります。

附則
(学校運営協議会の在り方の検討)
第五条
政府は、この法律の施行後五年を目途として、第四条の規定による改正後の地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十七条の五の規定の施行の状況、学校教育を取り巻く状況の変化等を勘案し、学校運営協議会の活動の充実及び設置の促進を図る観点から、学校運営協議会の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

このまとめの中で、個人的に(高校の視点も含めて)注目しているのは次の2箇所です。

まずは、2.コミュニティ・スクール推進のための方策(2)円滑な導入のための都道府県教育委員会等による伴走支援の中にあります。

(2) 円滑な導入のための都道府県教育委員会等による伴走支援
教育委員会の担当者、学校管理職等の関係者が、コミュニティ・スクールの必要
性や有効性を正しく理解し、方向性を示しつつ取組を進めることが重要。都道府
県教育委員会等による積極的・継続的な働きかけや、アドバイザーの配置など伴
走支援体制の構築
が必要

詳細を確認すると、次のような記述がみられます。

(人材配置)
コミュニティ・スクールの導入を牽引してきた退職校長等を都道府県教育委員会にアドバイザーとして配置し、各市町村教育委員会に派遣しながら、各学校運営協議会へ助言・支援をすることにより、都道府県レベルでの推進体制を構築することが効果的である。
○ 全ての都道府県教育委員会が、コミュニティ・スクール導入に向けてリーダーシップを発揮している状況ではない中、学校、市町村教育委員会、都道府県教育委員会が同じ方向性で進めていくことが重要である。そのためには、都道府県教育委員会から市町村教育委員会へのアドバイザー派遣等、人的な支援も必要となる。
○ コミュニティ・スクールの導入段階に応じて的確なアドバイスができる人材が重要である。(p.7)

現在、全国にここに記載のあるような事例があるかまで把握できていませんが、都道府県教委の伴走だけではなく、人的な配置の必要性まで言及しています。実際に来年度概算要求(注2)にまで盛り込まれています(1)地域と学校の連携・協働体制の構築の3番目に、次のような記述があります。

コミュニティ・スクールの円滑な導入のためには都道府県教育員会等か
ら、学校や地域への積極的な働きかけが必要であることから、都道府
県等へのアドバイザーの配置等により、伴走支援体制を構築する

まだ概算要求の段階なので、わかりませんが、文科省はその方向で動いているということは知っておいた方がいいかもしれません。

次に、3.今後の検討事項(案)に(5)高等学校等における取組とあります。
詳細を確認すると、次のような記述がみられます。

(5) 高等学校等における取組
○ 地域と学校が目標を共有し、ともに子供たちを育てる「地域と学校の連携・協働」の取組は、全ての学校種に広げていく必要があり、現在取組が進んでいる義務教育段階のみならず、以下の学校種においても取組を進めていく必要がある
(高等学校について)
○ 高等学校において、学びの場を地域に広げることで、大人の想像をはるかに超えて子供たちが成長、変容するとともに、学校経営の可能性や視野の広がりが、学校運営協議会を導入することによって非常に確かなものになったという事例も見られる
高等学校では生徒の通学区域が広域であること、各学校の学びやテーマも様々であるという専門性などから、企業・関係機関等を含めた多様な連携先を地域と捉え、「テーマ・コミュニティ」として取組を進めている地域もある。併せて、地域と密接な連携を図りながら取組を進める「エリア・コミュニティ」の側面も持つことが高等学校の特徴である。
○ 高等学校と地域社会や高等教育機関等との連携・協働を推進する体制が非常に効果的に機能している事例では、ビジョンの共有が行われている。県立高校においては、コミュニティ・スクールに対して予算等の資源を提供していない市町村がどこまで関わってよいのかわからないという点も課題としてあるのではないか。(p.15)

高校は、他学校種に比べて設置率が低いようですが、その点についても議論されているし、今後さらに議論されていくのだと推察されます。

次回は、コミュニティ・スクールの設置状況等について整理します。最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

 注1:コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議 -中間のまとめ-(令和3年度8月)
https://www.mext.go.jp/content/20210824-mxt_chisui02-000017544_1.pdf
注2:地域と学校の連携・協働体制構築事業~コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進~(令和4年度要求額・要望額)
https://www.mext.go.jp/content/20210909-mxt_chisui02-000017918_3.pdf

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