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海外ビジネスで苦しんでいた6年前の自分へのアドバイス

僕は32歳まで日本で生まれ育ち、ほんの6年前までは英語を仕事で使った経験がありませんでした。それが今では、イギリス人のパートナーと海外事業に携わるビジネスパーソンをサポートしています。
今の自分なら、6年前の僕にどんなアドバイスを送るか考えてみました。

6年前の僕

今から7年前、社費でシンガポールの大学院に1年間MBA留学しました。卒業後は国内に戻ってブランドマネジメントの仕事と、提携先の米国企業との交渉窓口を担当しました。1年間留学したことが自信となり、意気揚々と新たな任務に臨みました。

全く通じない…

ところが、提携先との初めての英語での電話会議で衝撃を受けます。手加減なしのアメリカ人の英語のスピード、次から次に登場人物が出てきて頭は混乱、何とかキャッチアップしようとするも専門用語が飛び交い全く理解できない。これは真剣にヤバいと思いました。

ただ、弱音を吐けるわけもなく、何とか1年半、そのロールをこなしました。時間が経つにつれ、英語での電話会議や交渉にも慣れ、成長を感じることはできましたが、もっと上手く立ち回れたと思います。

今だから言えるアドバイスを3つ挙げてみようと思います。

アドバイス1 - 環境に応じて柔軟に!でも自らのアイデンティティは忘れない。

留学後にアサインされたのがブランドマネジメントと海外提携先との交渉窓口。結果的にはそれら2つのロールの間で苦しむことになります。

ブランドマネジメントの仕事の利害関係者は全て日本人、一方で交渉窓口は当然、提携先米国企業とのやり取りでした。日本人としての立ち振る舞いや働き方が求められる業務と、グローバルパーソンとしてのマインドセットや姿勢が求められる業務を同時に行っていました。

留学を通して異文化環境下で働くことに魅力を感じていた僕は、日本の文化・職場環境においても国際人として振る舞い、更に、MBA生活をサバイブしたという事実が過度な自信を生み出し、上司や同僚から学ぶ姿勢や謙虚さが欠けていました。

2つのロールをこなす中で、どちらの文化にチューニングすべきか、局面局面で考えて仕事に取り組むべきだったと省察しています。また、自分のコアとなる部分やアイデンティティまで変えてしまっては、自分も苦しくなるし、周りにもいい影響を与えないものだと感じました。

今なら「環境に応じて柔軟に!でも自らのアイデンティティは忘れない」とアドバイスします。

アドバイス2 - コミュニケーションは双方向!相手の話を聞こう。

恐怖の電話会議からスタートした海外ビジネスですが、真っ先に取り組んだのが、英語力をもう一段階高めることでした。

シンガポールで様々な国籍の同級生との交流がありましたが、そのほとんどはアジア人でした。僕の英語はアジアでは通じるレベルで、英語ネイティブには通用しないと痛感し、改めて英語の勉強を開始しました。

自分の言いたいことをいかに伝えるか、スピーキングにフォーカスしました。交渉やプレゼンテーションでは、伝えることが焦点で、そのための練習を何度も行いました。そして、いざ本番、事前に伝えたいことが話せたら満足していました。

ただ、今考えると、自分の話したいことに注力するあまり、相手の話を聞くことが疎かになっていたと思います。つまり、お互いを理解するというコミュニケーションの本質を外していました

今なら「コミュニケーションは双方向!相手の話を聞こう」とアドバイスします。

アドバイス3 - 強みを活かす!チームのために何がベストか考えよう。

交渉窓口担当だったため、交渉まわりは自分ひとりで全てを解決しようと考えていました。今考えると、チームメンバーそれぞれの強みを活かすことで、チームの生産性やパフォーマンスは更に向上していたと思います。

例えば…
提携先とミーティングや交渉があった際、僕が進行役やプレゼンテーションを行っていましたが、同時に議事録も作成していました。ミーティングについて行くことに一杯一杯で、議事録をとる余裕はなく、会議後に必死に会議を思い出しながら、時間をかけて議事録を完成させていました。
チームにはバイリンガルの同僚もいたため、僕は会の進行やプレゼンに専念して、同僚に議事録をお願いした方が、チーム全体のパフォーマンスは上がっていたと思います。

今なら「強みを活かす!チームのために何が最善か考えよう」とアドバイスします。

最後に

これらの自身の経験から、今の事業(海外ビジネスに携わる個人・組織に対するコーチング&コンサルティングサービス)で大切にしている考え方が3つあります。

No culture is superior, only different. 

文化に優劣なし、ただ違うだけ。

欧米文化が優れているわけでもなく、日本文化が劣っているわけでもありません。自らの文化を大事にしつつ、その状況で求められている文化を把握する。その違いを認識することが重要で、優劣をつけるものではないという基本姿勢をとっています。

Focus on planning communication, not just improving English. 

コミュニケーション全体を計画することにフォーカスする。

英語(語学)はコミュニケーションの一部に過ぎません。グローバルジネスで成果を出すためには、英語力を上げるだけでは不十分で、むしろ今現在の英語力でどのようにコミュニケーションを計画するか、その準備力がものを言うと信じています。

Identify and leverage your strengths.

強みを見つけ、それを活かす。

日本人の強み、個人個人の強み、そのチームの強みを活かすことが、異文化コミュニケーションで成果を出すためのポイントだと思います。その強みを見つけ、どのように活かすか戦略を練るサポートをしております。


異文化環境下でのビジネス・コミュニケーションについて相談があれば、お気軽にご連絡ください。connect@auncommunication.com

Toru Yagi (@toruyagipalmer)

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