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薄い関係のネットワークが大事

事業戦略大学「イノベーティブな商品企画開発実践するためのトレーニング」


人間関係に関する社会科学的な研究「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」ニコラス・A・クリスタキス、 ジェイムズ・H・ファウラー著(講談社)では、薄い関係のネットワークこそ情報交換の自由度が高く、大きな成果を生み出す可能性があると述べています。薄い関係のネットワークが、特定集団にこだわらない集団間のハブになる可能性があるからです。また職場や学校、親類などの濃い関係のネットワークは、利害関係が強固であるため、ある一定の規則にしたがった情報しか流れない傾向があると分析しています。


新しい仕事を見つけたり、新規の顧客を獲得したり、人生に大きな影響を与える事象を振り返ってみると、意外にも薄い関係が偶然の切っ掛けになっていることが多いのではないでしょうか。


とすると、意外性のある顧客経験価値を創造することなどイノベーションを意識するならばこの薄い関係を重視することも重要なのだと思います。薄い関係をつくるにも、それなりの努力が必要です。国や自治体で言えば姉妹都市みたいな、経済的、政治的には大して重要で無いけど、時々トップが観光がてらあそびに行く関係の様なものでしょうか。そんな姉妹都市でも、交換留学を通じて両方に重要な貢献をする人材が育ったりする可能性もあります。ビジネスで言えば、定期的に開催される何かの目的をもった異業種との情報交換の場、大学や高校の同窓会、同じ国、地域の出身者の集まり、プロスポーツの応援チームなどです。

薄い関係をつくるには、適度な情報発信が必要です。おおよそ自分は何者で、何に関心があるのかをSNSやブログを通じて常に発信しておくのがよいと思います。適度な情報発信とは、あまり専門的過ぎず簡単で、多くの人が接点を持ちやすいと言うことです。そういったトピックスをいくつか持っておくことがよいと思います。近年「雑談力」が話題になったもの、薄い関係の重要性を知る人が多くなったことと関係しているかも知れません。


卑近な例ですが、私の場合メールマガジンをかれこれ20年近く隔週で書き続けています。名刺交換させて頂いた方にお送りさせて頂いておりますが、時より10年前にあった人からメールでご連絡を頂くととても嬉しいです。それが仕事になるかどうかは別です。ネットワークがよみがえると思えばお互いにとって何かささやかですが希望がもてます。また誘われたらゴルフも懇親会も断らないようにしています。時間が無く伺えないこともありますが、その際は事情を説明し、また是非お誘い頂くように丁寧にお願いします。そうすることで次回また声がかかり、そこで多くの人とつながることが出来ます。つながることで何かしら学ことができ、そして様々な人の経験価値を知り、ビジネスのヒントにもなります。


一方濃い関係のネットワークは、限られた範囲での生産生、効率性を追求するには適していますが、情報の流れが規則的で、外部環境変化への反応が鈍く、また偶然を取り込みにくくイノベーションは起こりにくいと考えられます。日本の多くの組織でイノベーションが起こりにくい、組織変革が難しいのは、濃い関係のネットワークの問題だと言えます。社員をもっと自由にさせ、外部との接点を適度に持たせないと成長できないと思います。このことは企業組織のみならず子供の教育、地域の発展、サークル活動などのコミュニティなど全てのネットワーク組織に言えることだと思います。


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