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勝てない戦略を緻密な計画に落としてもムダ

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)「事業戦略スキルアップのこつコース第1回」

■魅力を感じない事業戦略計画書の共通点とは

ベンチャーキャピタリストやコンサルタントでなくても、中期計画や新規事業計画、商品開発計画などは、企業の中で誰でも目にすることができる。
それらの計画の多くは、細かな数字にきちんとブレークダウンされ、一見すると効果的で、かつ実行可能であるように思われる。しかし、よく見てみると、多くの場合、「これで本当に競合に勝てるのかな」「昨年までのやり方と何も変わらないな」「ワクワク感が少ない」「重要なビジネスチャンスがいくつも欠けている」などと感じてしまう。

このように、受け手の心を引きつけることができない事業戦略計画になってしまう理由は何か。それは、事業戦略計画の計数計画面ばかりが重視され、魅力ある「事業コンセプト」や、そのコンセプトをいかに実現させるかという「事業戦略」がしっかりと考えられていないことに起因する。あまり魅力があるとは言えない事業戦略計画書に遭遇した場合、筆者は、事業コンセプトと事業戦略に、計画策定作業全体のどの程度の時間を割いたかを聞くようにしている。すると、ほとんどの場合、50%以下という答えが返ってくる。
つまり、コンセプトや戦略策定は妥協して、数字いじりに時間をかけてしまうケースが多いのだ。しかし、事業は成果が出せなければ何の意味もない。勝てない戦略をいくら一生懸命数値計画に落としても、ただのムダな作業となってしまう。


■自分も難しいと感じたらそれはライバルとっても難しいことが多い。だから努力する価値がある


とは言うものの、実際に自分が事業戦略計画を作成してみると、勝てる事業コンセプトや戦略の企画は並大抵の努力ではできないことがわかる。これまで体験したことがない、長く複雑な思考プロセスやその思考回数の多さ、過去にとらわれない斬新な発想、短期的なものと長期的なものを同時に考える思考力が必要とされるのだ。

多くの人がこの事業コンセプト発想と事業戦略の企画段階で蹟いてしまう。だからこそ、このコンセプトカと戦略企画力をあきらめずに鍛え上げ、他社よりも優れたものを策定できることは、計画段階でライバルに勝つことを意味する。そう考えると、コンセプトと戦略に、人と時間という資源を投資する価値は十二分にある。

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