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もしも所有するなら何十億のお金がかかるのだろう。そんな問いから、僕は所有のいらない島をつくりたいと思った

こんにちは、いしおです。僕は沖縄本島から西に100kmの離島、久米島を拠点に活動をしています。

どんな活動をしているのか。島でシェアリングエコノミーを盛り上げることで、愉快に暮らせる人を増やすための活動です。これは創業の理由でもあり、創業から3年経った今でも「やっぱ大事だよな」と思っていることです。死ぬまで「やっぱ大事だよな」と思い続ける気がします。

ので、今回はそんな思いをつらつらと綴ってみたいと思います。

【要約】マンガにしました

こちら要約です。

アーラ浜にて

久米島には知る人ぞ知る、「アーラ浜」というビーチがあります。島をぐるっと一周まわるメインロードから外れ、製糖工場の脇道を進み、畑を越え丘を越え森を越え……「本当にこっちでいいのかな・・・?」と思いながら進むと突き当りにある、シークレットなビーチです。

このビーチが僕はとても好きで、島に移住してからは毎週のように訪れ、アウトドアチェアを広げて読書したり泳いだりと、くつろいでいました。

同好の士が何人かおり、特に当時スウェーデン料理屋さんを島でやっていたアンナさんとは「See you on A-ra beach!」とよく言い合っておりました。

ある日いつも通りアーラ浜でくつろいでいた僕は、ふと思ったのです。「このビーチを所有しようと思うと、いくらかかるんだろう・・・」

アーラ浜はもちろん無料で利用できます。島の人も来ますがそれなりに広く距離が離れているので手を挙げる程度の挨拶で、あとはお互いが思い思いに過ごします。ときおり観光事業者さんがお客さんを連れてきますが、数も知れており、それなりに広いので気になりません。

これを完全に専有しようとするとどうでしょうか。莫大なお金がかかると思うのです。買えるのかはわかりませんが、少なくとも何十億かはかかるのではないでしょうか(余談ですが買ったところで島の人からも反発にあうでしょうし、良い買い物だとは思えません)。

専有ではなく共有すれば、何十億ものお金がかかるところを、無料で使える……これは何かとても画期的な気付きのように思えたのでした。

共有でなく専有することで、我々は経済発展を果たしてきた。

これはソシオデザインの大西さんに聞いた話です。多くの人が見たであろう映画「となりのトトロ」に、さつきちゃんがご近所さんの家に行き電話を借りるシーンがあります。今では考えられませんよね。電話はこれまで集落の誰かが持っている、といったレベルだったのが、今では一人1台以上は当たり前になっています。

電話を所有することは、当たり前ですがお金がかかります。逆に言うと、電話は共有から専有へ成功したからこそ、大きくその市場を拡大できたのです。

電話だけでなく、車やテレビ、家など、私たちは様々な共有していたものを専有するようになってきました。

経済が縮小する日本で、どう専有から共有に「戻り進む」か。

経済は人口と相関関係があるそうです。日本は人口減少の傾向が続いています。色んな考え方がありますが、僕は日本の経済は縮小する、と思っています。

仮に経済が縮小しなかったとしても、トマ・ピケティによると富は集積するらしいので、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏人になるそうです。そのため、今富裕層と言われていない私たちのような一般人は、これからもっと貧しくなるのだろうな、と思っています。

たとえば昔は年収300万といえば貧しい層の年収ラインだったと思いますが、今ではそれなりな年収と捉えられるようです。このように、実際に生活のそこかしこに貧しさを感じるシーンが増えているように思えます。

このような日本で、どう豊かに楽しく生きていけばよいのでしょうか。僕は「専有から共有へ戻る」ことが大事だと思っています。お金がない貧乏な私たちには、専有はときにオーバースペックなのです。共有して良いものはどんどん共有していく。そうすることが大事かなと。

では、どう共有に戻っていくのか。人間はこれまでできていたことができなくなると、不満を覚える生き物です。単純に昔に戻ることがどれだけ困難か、多くの人が暗黙に理解しているのだと思います。

だから、これまでやっていたような共有の姿へ「戻る」のではなく、これまでとは違う共有へと「戻り進む」必要があると思うのです。

ちなみに「戻り進む」とは何でしょうか。螺旋階段のような構造を上から見たときに、戻っているようにみえるけれど実は違う階層に進んでいる……そんなイメージをしています。

所有のいらない島をつくる。

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ちょっと話がそれます。僕が島で一番好きな時間の話をさせてください。

僕が島で一番好きな時間は、持ちよりパーティの時間です。仲間がそれぞれ獲ったり育てたりした食材を持ちより、みんなで愉快な食卓を囲む……。この時間こそ何にも代えがたい喜びがあります。どんな名店のフルコース料理だって敵いません(名店のフルコース料理は別途食べたいですが)。

いろんなものを持ちより分かち合う。そんな温かいやりとりが、そこかしこで生まれているような島をつくりたい。いつしかそう思うようになりました。

所有はたしかに便利です。毎日使うものは所有しちゃうと良いと思います。でも、年に十数回程度しか使わないようなものは、果たして所有する価値があるのでしょうか。お金の使い方を変えることで、貧しくなろうとも物質的にも精神的にも豊かに暮らす選択肢があるはずだ……そんなことを思っています。

「所有へと戻り進む」ために、新しいプロジェクトを立ち上げました。「久米島シェアランドプロジェクト(仮)」です。

島外と島内の人がワイワイ集いながら、モノや家、知恵やスキル、資産やネットワークなど、あらゆるものをシェアしていくような島を作りたいと思っています。

ぜひ、ここまで読んで下さったあなたにも、加わってほしい。そう思っています。

どんな関わり方ができるかは、一緒に考えましょう。まずは時間と興味を持ち寄ってくだされば、それだけで嬉しいです。

久米島シェアランドプロジェクト(facebookグループ)


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