マイナンバーガードを考える。
文脈を前後の文章における脈絡としてだけ捉えるのではなく、ある事柄の背景や周辺の状況と捉え、様々なテーマを紐解き考察していきます。
4年前に交付が始まったマイナンバーカードの普及率は2020年1月時点で15%となっている。この普及率が高いと感じるか、低いと感じるか。
マイナンバーカードが普及しない理由は様々なサイトで考察されていますが、要約すると、こんなキーワードが出てきます。
・申請が面倒
・セキュリティが不安
・必要性を感じない
反面メリットは、各種行政手続のオンライン申請が可能になる。身分証明書になるといった点になります。持っていればコロナ禍の特例給付金もオンライン申請が可能になるというのは、記憶に新しいですよね。
いづれにしても、普及しない理由も、持っているメリットもなんともつまらない。自分の生活に浸透するイメージが持てません。
私は、デザインシンキングや編集思考などのメソッドで、新しいサービスの開発や、ブランディングをお手伝いしているのですが、いつも意識しているのは、ワクワクさせられるかどうかということ。そして、身近なエピソードに置き換えて考えることを、常に心がけています。
ロジカルな思考で、説得力を積み上げるアプローチではなく、デザイン会社である我々に求められるのは、ビジュアルを用いて直感的にワクワクさせられるアプローチだと思っています。
随分前になりますが、東京スマートドライバーという交通安全プロジェクトに携わったことがあります。面白かったのは、首都高の事故を減らすために、ネガティブなアプローチではなく、ポジティブなアプローチでコミュニケーションをデザインしていたことでした。悪い運転をしている人を叱るのではなく、スマートな運転をしている人を褒めるプロジェクト。デザインも従来の交通安全キャンペーンとはギャップのあるアプローチでした。(ロゴマークのデザインは水野学さんでした。)
(※現在は東京を超えて、JAPAN SMART DRIVERとして活動しています。)
交通安全と言うと、飲んだらなるな、車間距離あけろ、スピード出すな、最終的には事故写真。というネガティブなアプローチが一般的です。確かに危機感を煽るのは強いメッセージですが、休日に家族を乗せて車を運転するのが好きな私にとっては、楽しい気分にはなりません。それが、スマートドライブとコミュニケーションの視点を変えるだけで、気分が変わります。それが文脈のデザインなんだと思っています。
(※当時のコミュニケーション表現です。)
ソーシャルプロジェクトは、一朝一夕では成果がでにくく、砂漠に水を巻いている気分になることもあります。でも、交通安全運動であれば、運転している人の気分、遠くに遊びに行こうとしているのか、デートなのか、仕事なのか、一人なのか、家族と一緒なのか。車を運転している人の文脈を想像したコミュニケーションデザインになっていれば、発信する側の一方的なコミュニケーションではなくなり、賛同してくれる仲間が増えて、共感の輪が生まれます。
話は戻りますが、持っていて決して損はないマイナンバーカードを、ライフスタイルの文脈に浸透させるために、どんな小さなことでもいいのでワクワクする視点を見出せたら、そこに共感が生まれ、少しは普及率が向上するはずです。
一瞬でもワクワクしたら、それがライフスタイルの文脈に浸透する入り口になると思っています。
ワクワクするとかしないとか、とてと稚拙に聞こえるかもしれませんが、人を動かすキッカケってそういうことだと思うんです。
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