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【読んだ本】 経営とデザインの幸せな関係/中川 淳

https://www.amazon.co.jp/dp/4822235807/

どのようなことが学べる本か

・経営、ブランディング、クリエイティブ、コミュニケーション設計、流通までを、一気通貫にまとめた方法論

どのような人にオススメか

① 自社のブランドや商品・サービスを強化したい経営者やブランド・プロダクト担当

② クライアントワークで経営コンサルティング・サービスデザイン・UXデザインなどを行う人

③ 特に、経営にデザイン思考を取り入れたい経営層、もしくは経営視点を身に付けたいクリエイター

どのような内容か

良いブランド・商品を生み出すための4つのステップについて説明している。

 まず、会社の現状把握を行う。その後に中期経営計画の策定を実施。

1. 現状把握
- 決算書を読む(主に売上・原価率・販管率・営業利益率)
- 企業としての強み・弱み・課題・競合・理想の把握
- 3Cと4Pの整理
2. 中期経営計画の策定
- 定性の計画:環境・強み・意思・志・ポジション・ゴール
- 定量の計画:売上・利益・借金返済計画

② 次にブランドをつくる。ステップは次の3つ。

1. ブランドの建て付けを決める(立ち位置と大きな方向性)
2. ブランドの組み立てを決める(骨格となるストーリー)
3. ブランドの仕上げを決める(ブランドロゴ・ギミック)

③ 商品を開発する。フローは次の7段階。

1. 商品政策(品揃えと販売計画)
2. 商品企画
3. 知財(商標は確実に取っておく)
4. デザイン(意図を伝えるデザイン)
5. 設計(仕入先・仕様・納期調整など)
6. 上代決定
7. 予算と初期製造金額

④ 最後にコミュニケーションを設計する。

- 狙い→目的→手口→タイミングの順で設計
- 複数の情報をクロスさせるため、意図的に複数の手口を用意する
- コミュニケーションとして流通を考える

読んで思ったこと

① 著者の中川淳さんが工芸業界の経営コンサルティングに従事しているだけあって「ものづくり企業向けのブランドデザイン・プロダクトデザイン」の本という感じ。ただ、随所にサービスデザインやUXデザインの参考になるエッセンスがありました。

② 事業会社のプロダクト担当やクライアントワークに従事するクリエイターは、得てして目の前のプロダクトやユーザーの課題にフォーカスする。が、本来であれば、この本のように経営やブランドまで視座を高めてアウトプットをしていきたいところ。それが明示的に望まれていなくても。

③ 最後の嶋浩一郎さん(博報堂ケトル)との対談がとても良かった。「インサイトを発見するためには、日常から観察力を鍛える必要がある。そのためにタウンウォッチングの習慣を身につけるべき」とのこと。確かに、本質的なインサイトをユーザーは言葉にできない。だからユーザーインタビューなどには限界がある。UXデザインの方法論に頼っても、革新的に良いプロダクトは生まれづらいものだ。なんというか、2人に対して「これぞ企画者」という印象を受けた。

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