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▶︎▷タメ口について考えよう٩(ˊᗜˋ)و

介護の業界にいると、時々、利用者さんへ向かって「タメ口」で話している職員さんを見かけます。


それって、良いこと?


賛否両論はあるかもしれませんが、私は無しです。


では、タメ口を肯定する職員さんの意見にはどのようなことが考えられるでしょうか。

①タメ口で話す方が親近感が湧き、コミニュケーションが図れるやん。

②生活の場なんやから、堅苦しくないタメ口の方が良いでしょ?

③タメ口の方が、話を聞いてくれるから。

④利用者さんによって、専門職だから使い分けているわよ。


などでしょうか?

如何ですか?


結論から言うと、

『タメ口で話をしないとコミニュケーションが図れないのは、あなたのコミニュケーション力不足、勉強不足です。』


そもそもが、利用者さんは目上の人です。

幾ら、そこが利用者さんにとって“生活の場”だとしても、職員にとっては、給料をもらっている仕事場ですよね?


生活の場で、365日利用者さんはそこに居ることで、そこの線引きが“曖昧”になりがちですが、やはり、キチンとした線引きが必要です。


しかし、「タメ口」と一括りにも出来ない部分があります。

上から目線や、命令口調、小馬鹿にした言い方、これらは、ハナから問題外ですが、“愛嬌のあるタメ口”は微妙な所です。

ガチガチの、高級ホテルのスタッフのように対応されるのもこれまた違います。

ただ、少なくとも敬語は使わないといけません。


目上の人ですからね。


私も、一年ほどグループホームで勤めたことがありますが、思い返してみても、「タメ口」を使った記憶はありません。

じゃ、それで、利用者さんとの関係性が悪かったり、よそよそしかったり、を感じませんし、逆に関係性は良かったと思っています。


職員によっては、普段は利用者さんにタメ口やのに、家族さんがいる時だけ敬語を使う人もいます。

何故?

駄目だと分かっているから、ですよね?

本当に、プロの介護職としての考えから、この人には全てタメ口じゃないといけないという根拠があるならば、どんな場面でもそれを突き通すべきでしょう。

でも、しない。

可笑しな話です。


私は、その利用者さんが、昔何かの先生で、その呼び方に慣れ親しんで、名前よりも、その「先生」の方で呼んだ方が行動を起こしてくれるならば、有りだと思います。

他には、“お父さん”や“お母さん”なども。

しかし、それは、タメ口ではなく、その言葉の一文字だけなので、キチンと語尾が敬語になっているなら、OKです。


先日、ネットサーフィンをしていてYouTubeで、「家族が居ない時は、距離が近くなった利用者さんとはタメ口も有りです」

みたいな、福祉用具専門相談員の事をupしている福祉用具専門相談員がいましたが、それはもう、駄目です。

冒頭にも書きましたが、それでしかコミニュケーションが図れないならば、それは、その福祉用具専門相談員のコミニュケーション力が全く不足しているということで、そうであれば、そこをタメ口で話さなくとも、コミニュケーションが図れる術を勉強して身に付けるべきです。


更に、それを若輩者がしているならば、それこそ、一から出直してこい!と言いたい。

しかし、得てして「タメ口」を使っている人達は、往往にして、「年配の職員」や「大阪のおばちゃん」的な職員達によくみられます。

しかし、前提として、利用者さん自身から、「私とはタメ口で話して欲しい」という要望があるならば、逆にそうしてください。(多分それでも、私は無理でしょうが…)


高齢者に対する話し方に関しては、本当に大切で、その事を日々感じながら利用者さんと接しないといけません。

コツですが、

❶言葉を少しゆっくり目で、且つハッキリと言う。

❷必ず、笑顔で。

❸キチンと相手の表情を見ながら。

❹少し、大きな声で。

❺ハッキリ言い切る。


の、五点でしょうか。

後、言葉の変換ですが、

例えば、介護職員で、利用者さんをおトイレにお連れしたいとき。

➤「ほら、一緒にトイレ行こうや」

問題外です。

➤「ご一緒に、おトイレ行かれませんか?」

利用者さんの症状(認知症の方など)によっては、有効です。

しかしこれが、全ての利用者に出来る職員さんは、スーパー介護職だと思います!

➤「一緒におトイレ行きませんか?」

多分普段、話す感じといえばこんな感じでしょうか?


言葉というのは本当に難しくて、その一部分を切り取っただけでは、中々説明もし切れない部分かなとも思います。

私は、福祉用具専門相談員なので、その部分だけでお伝えすると、上記にも書きました、❺の、必ず、「言葉を言い切ること」が大事だと考えています。

場面場面によって、変わることはあるかも知れませんが、私たち福祉用具専門相談員は、

『利用者との間に、福祉用具というモノ、制度を介して話をする立場です』

ですから、中途半端に言ってしまって、ヒヤリハットや、事故を引き起こすこともあります。

特に、制度説明は非常に大事で、中途半端に伝えたことで、本来なら使えた制度も「使わない」という選択をしてしまうかもしれません。

Aという、福祉用具専門相談員に説明を聞いたら、面倒臭いだけで、あまりメリットを感じなかったから、制度は使わなかった。

Bの福祉用具専門相談員に聞いたら、確かに時間が掛かるデメリットもあるけど、それ以上に、使うメリットの方があると思ったので、制度を使いました。


こんなケースは、ざらにあります。


キチンと伝えるべき点は、福祉用具の使い方の説明と、制度説明の二点。この時だけは、ハッキリ言葉を言い切るようにしましょう。

出来ること、出来ないこと。

メリットとデメリット。

しても良いこと、ダメなこと。


※※※※※


少し、「タメ口」の話からズレてしまいましたね。

そもそも、福祉用具専門相談員の職種は営業です。

営業が、お客様と話す時にタメ口で話しますか?

何故、【高齢者】という立場の方になるとタメ口になるのですか?

社会的弱者やから?

認知症の人は何も分からないからですか?


違いますよね?

あなたよりも、何十年も激動の日本の中を生き抜いてきた方々です。

そこに、思いを馳せないと、認知症やから、何言っても分からんから、みたいな思考に陥ってしまいます。

「タメ口」で話さない。

今日から出来ることです。

ガチガチの敬語とまでは言いません。


ところで、皆さんは「割れ窓理論」という言葉をご存知ですか?

これは、『1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃してしまうという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論。
かつて、犯罪多発都市ニューヨーク市で、1994年以降、当時のジュリアーニ市長が、この「割れ窓理論」を実践。割れ窓の修理や落書きなど軽微な犯罪の取締りを強化した結果、犯罪が大幅に減少したと言われています』


これを、介護業界に落とし込むと、先輩職員が馴れ馴れしくタメ口で利用者さんと話をしているところを、新人職員が見て、「あっ、そういう感じで利用者さんと接すれば良いのか」と思い、同じように接する。数ヶ月後、また新人が入り、同じことを思い、タメ口で接する、という無限ループにはいり、最終的には、その施設の全ての職員が「タメ口」で利用者さんと接することとなる。

という、ことです。


めちゃくちゃ怖いことです。

今、あなたが行っている“介護”は、自分自身が受けたい介護ですか?

ご家族さんから見て、あなたの介護は、どう見えていますか?


そういった事を、介護のベースに置いて支援に当たらないと、幾ら、良い技術を持っていても、あなたの評価、会社の評価が下がります。

それって、凄く残念ですね。


是非、今日から今一度、自分自身の“言動”を見直してみましょう。


by inochi


「関西発!inochiの即使える福祉用具・住宅改修目線!」
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welfaretools@gmail.com

【inochi プロフィール】
これまでの、福祉用具、住宅改修の実績は3000件を超える。
【資格】
二級建築士/福祉用具専門相談員/福祉住環境コーディネーター二級/ホームヘルパー二級/神戸市キャラバンメイト/既存住宅状況調査技術者

〇執筆実績
■日総研出版
「訪問介護サービス」、「達人ケアマネ」にて、福祉用具・住宅改修の「福祉用具のQ&A」を2年半執筆連載。
■日本医療企画
全国誌にて、現在執筆連載中

〇講師実績
福祉用具専門相談員指定講習会主任講師
介護職員初任者研修
認知症サポーター養成講座(地域住民・NPO・企業・介護施設など)
〇施設向け研修
「明日から使える!福祉用具の使い方」
「知っているようで知らない福祉用具活用法」
「どこにも載っていない、手すりの取り付け方と考え方!」


など













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