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映画「クレヨンしんちゃん」の10作目は「戦国」と略されやすいけど、真実は「青空侍」。

といふことで「青空侍」こと「嵐を呼ぶ アッパレ!
戦国大合戦」の本筋にそろそろ入ろうかと。
(まあ原恵一監督の集大成ではあったので限定で
特製函に「青空侍」とだけ描かれたDVD-BOXが
あった、ってことでいいんだっけ。一応当時の2chログで
言われてた話だと、非売品関係者用限定生産で作られた
戦国のDVD250枚に表には正式タイトル「青空侍」と
書かれたもの共に例の雲の下、槍を手に馬に乗る青空侍の
イラスト「第6回文化庁メディア芸術祭 アニメーション
部門 大賞」等の受賞タイトルが描かれ、裏面は風に
吹かれる野原家と廉が雲を見上げているイラストが
描かれていたそうで(時期は2005年頃と云われている))

ダンス☆マンの「二中のファンタジー」の話題と感想に
関しては然るべきところにコメントしたので。
あえてこちらには還流しないと。

私的ポイントとしては、廉姫のこの台詞かなと。

「北と南で生まれた二人が江戸で出会い、夫婦となって、
春日の私の一番好きな場所にすんでいるなんて」

http://haijima-yuki.com/old_anime/crayon_shinnosuke_4/sengoku_daikassen_2.html


図らずも一週間ほど前に、埼玉県・秋田県・熊本県の
「(クレヨンしんちゃん)家族協定」が結ばれる、といふ
ニュースが入って来たりもしたのですが、Uターン
世代以降のサラリーマン家庭の埼玉モデルにおける本質は
まさにここなのかなと。


◆キャスト&●スタッフ。

声優としてはまずこの作品だと◆屋良有作で、折しも
経営していた声優事務所ビーボ廃業で、社長を務めて
いた川部さん(川部奨)も屋良有作として一人だけ
青二に出戻る形となってしまったようですが。

 ちょっと前の仕込みとして「なぜ紅屋25時が生まれて
アットウィルからビーボを経てビーボが廃業したのか」を
軽く調べてはおりましたので(実質ずっといた生え抜きは
屋良さんを除くと◆新谷良子[今回のビーボ廃業でリマックス
に移籍]だけだった、なんてデータも出て来たのですが)
近日公開予定、といふあたり。
(お又のおじさんこと井尻又兵衛由俊(よしとし)役。
「映画大全」のインタビュー記事によると廉姫役の小林愛
とは別録りだった模様)

作品的に特筆すべき声優を挙げればそれは◆山本圭子。
これは以前書いた文章があったので、そちらから。
(これはリライトするまでもないか)

久し振りに「青空侍」を朝から観てた。やっぱり良く出来た
映画は何度も観ることによってなお沁みる。
 今回観て一番「抑え役」に廻っていい仕事してるな、と
思ったのはやはり吉乃役の山本圭子さんですかね。
(『サザエさん』の花沢さんや『天才バカボン』のバカボン、
『ちびまる子』の山田くん等の声で有名な人ですが)
要所を締めて廉姫を諫める盤石ぶりが印象に残りました。

監督・脚本/原恵一
絵コンテ/原恵一、水島努
演出/水島努
音楽/荒川敏行、浜口史郎
の座組は「オトナ帝国」と共通(にして最後)。
むしろ水島努と浜口史郎の路線で何年かクレしん映画は
引っ張れた実績があったので、このラインがやがて
『ガールズ&パンツァー』『SHIROBAKO』と伸びていく
わけです。

まあそれでも「東宝映画だからさ、仕方ない」はある。

ゲスト声優はダンス☆マンと雨上がり決死隊の2人で
違和感も覚えずアジャストしているのは東宝映画として
は珍しい域なのですが(この時期からavexに撤退され
自前での音楽ワークスが劇伴のイマジン組しかいなかった
から、テレビ朝日ミュージックからダンス☆マンをあて
がわれたあたりなので、EDテーマの賛否両論があるの
は東宝映画なんだし仕方のないこと)。
 それと「東宝映画だからさ、仕方ない」は「予告映画」
にも現れてて、これに関しては当時制作していた水島努の
コメントが端的にそれを現している。

でも画が一枚もないものはしょうがないですよね。

クレヨンしんちゃん映画大全p173

あと「俺たちも騙されてたんだから多めに見てくれ」
みたいなコメントもあったかと思いますが、そっちは
見つけられなかったと。

一応当時の状況をまとめると。

特報の最初の四本は本郷みつる監督、以降ヤキニク
ロードあたりまでは水島努監督が担当。
通称「ニセ予告」「ウソ予告」。

予告編が流れる時(前年の年末頃から)にはまだ全然
作画が出来てないので、予告編用に本編とは別の
パイロット的なフィルムを作る、といふ手法でした。
ま、このあたりはメタ的に『SHIROBAKO』でもやったかと。

設定の時代考証が半端なくすさまじい

あと特筆すべきなのは当時の三戦板ですら賞賛した
緻密な戦国合戦における大道具小道具の時代考証が
すさまじく(作法としての金打(きんちょう)から、
後のグレネードとも呼べる「投げ炮烙(ほうろく)」
まで登場する。真柄太郎左衛門直高の武器は長巻)、
主要武器は槍、「早駆け!」→鳴り物が、ドンドン
ドン!!とか好奇心をくすぐる場面は多数。


「金打(きんちょう)」
武士同士の約束を違えないという誓いの儀、作法。

しんちゃん◆矢島晶子がちゃんとこの作品でも過去と
未来を繋いでいる言葉が告げられててそれは紛れもなく
「おい、青空侍……」なのですが、他の作品よりもより
覚悟が据わってて抑えめであるのは、本来の『クレヨン
しんちゃん』で培われた「オトコ同士のおやくそく」を
ちゃんとクリシェにしつつ儀礼的なものに高めた「金打
(きんちょう)」にもポイントがあるからだろう。

「たかがクレしんの映画」とナメくさってる
いつもおろおろした「お前、逃げるのか?」と
しんちゃんに指摘されがちな「向こう見ず」の蒙を啓く
入り口として「青空侍」は一つの正解なのでしょう。

原恵一監督がクレしん映画の集大成とするために
あえて映画「エスパー魔美 星空のダンシング・ドール」
と同じ手法(オリジナルキャラがメインで本来の
キャラの存在感はわりと薄め)を採ったこともあり、
その刺さり方は他のクレしん映画とは異なる形に
なることが多い作品でもありますが、折に触れて
見直しておくのも損のないオススメ映画だと思います。

これでなんとか40本目も上がったかな。そろそろ
以前の掲示板にお別れを言いに行くだけの量はこなす
ことが出来たかなと。ではぼちぼち文章を作成して
最後のコメントを書きにでも行って参ります。torovでした。


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