名曲244　「二中のファンタジー～体育を休む女の子編～」【ダンス☆マン】［劇場版クレヨンしんちゃん］

ーー青春の１ページを切り取った至高の「クレしんらしくない」名曲ーー

【二中のファンタジー】

　クレしん映画について、最近自分が専門家級に詳しくなってしまったと感じている。今回はそのシリーズの中でも異色の名曲を紹介。

　2002年に放映された『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の主題歌だ。この曲はいい意味でクレしんらしくない。ゆったりとしたムーディ調、それでいて作品のテーマとも合わないのだ。クレしんといえば元気な曲のイメージが強い方も多いと思う。

　歌うはダンス☆マン。当時はよく名前を見た。私はその見た目から子ども心に警戒していたのだが、歌はまさしく本物だったのだ。

｛今日の体育はバスケ 隣のコートは女子テニス　そしてまた君はコートの外 体育を休む女の子｝

｛膝を胸に抱えて(体育座りで)　つまらなそうにしてる　男子の方など 全然見てない｝

｛遙か向こう ずっと見つめてる　君は何を探してるの?　空の彼方に 何を見ているの?　またシュートが外れた｝

　テーマは学生時代の部活動。恐らくは中学生時代だ。タイトルの二中というのは中学校の略称であると推測する。

｛時々こっちを見てる なんだかすごく嬉しくて 燃える!　自分を見ている気がするのは 友達も同じだった｝

　くーっまさにこれぞ中学時代。いい。きっと君は遠くからでもわかる魅力的な存在なのだろう。

｛ドリブルが冴え渡る(カットインで)　軽くレイアップシュート　決まった!振り返る 君はもう見てない・・・｝

｛遠く遙か向こう ずっと見つめてる　君は何を探してるの?　空の彼方に 何を見ているの?　またシュートが外れた｝

　君が見ていればレイアップだってやっちゃう。かっこいいとこを見せて。しかし、君は見ていなかった。物憂げな君がますます魅力的に思えてしまう。そんなことを考えていたらシュートが外れた。

｛隣が先に終わった(男子はまだ)　女子達が見に来た　男子を冷やかす 君は見に来てない・・・｝

　心のどこかで密かに期待する時間帯だ。しかしそれも彼女がいなければ意味がない。黙々と練習を続けるのだ。

｛遠く遙か向こう ずっと見つめながら　君は校舎へ帰って行く　みんなの笑い声 君がいないグラウンドで　またシュートを外した｝

　最後の締め方がうまい。またシュートを外した。それは君が見ていないからである。成功しようとはハナから思っていないのだ。

　この曲はもっと評価されるべき名曲だが、中には曲と作品のイメージが合わないということで嫌う層もいる。しっかりとかみしめて曲を聞いてほしいと願うばかりだ。ちなみに作品はクレしん界の中では賛否両論といえる。私は当初嫌いだったが、最近になって考え直してきた。好きな人はめちゃくちゃ好きな結末だと思うので、ぜひクレしんを知らない人にもオススメしたい。

　　　　　　　　　　【今日の名歌詞】

またシュートを外した