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『さよならサンボ』と『ちびくろさんぼ』を語る上での図書館司書的ガイドライン。

ひとまずこれは第一遵守事項。

米国で出版されたさんぼ本は全て紛い本の真っ黒判定。
ライブラリアンが採り上げるに価しません。

その点で行くと、米国版から輸入されて
来た岩波書店が絶版にしたのはタイミング
的にも適切だったと。

この著作権がブリカスに二束三文で
売られて有耶無耶になり、半ばフリー
素材に近い形でちびくろさんぼ紛いの
粗悪な出版物が、米国南部の黒人
設定などにすり替えられて普及して
しまったことで(最悪の結託が起こり)、
後代においていらぬ問題視をされて、
といふ経緯はあるものなので。

逆に当時の葦岸堂のブログでも、

地方の図書館員です。今日の見計らい図書にドビアス画の
『ちびくろサンボ』(径書房)が入ってきました。

なんてコメントがなされるように、
1990年代のエヴァ謎本並みに
「モラルとレベルとクオリティが
著しく低い出版物」が存在しており、
それに対しての憂慮と危機感が
図書館司書には共有されていた、
という史実もあるわけで。

ですから、本物の存在をきちんとした
形で日本に『ちびくろさんぼ』が
入ってきたのは1990年代になってから、
なので、それ以前のさんぼ本については
図書館司書的に峻別する必要性が
あるのですね。

といふことを踏まえて『さよならサンボ』と
『ちびくろさんぼ』を語る上での
図書館司書的ガイドライン。
について語っていきます。

といっても『さよならサンボ』を
踏まえた基本的な説明はここの
ページがほぼ正確に語っているけどね。

なので事情が整理できていないこちらの
ブログから有用なリンクに飛べる
本だけ紹介すればいいってことか。
ttps://ameblo.jp/smallbass6/entry-12462775792.html

いわゆる灘本版。灘本ルートも
諸説問題があるにはあるけど、
よくそこまで貫き通して出版したな、
といふ気概だけは伝わるので。

あとは以前書いたコメントから改めて
説明するのが得策か。

またその後に出た『ちびくろサンボ』のトッパン版で
人形を使った「サンボ」のわりとまっとうな絵本を
作ったのが「ヤンボウ・ニンボウ・トンボウ」「ブーフーウー」の
飯沢匡(劇作家・小説家)、といふところも見逃せなかったりするわけで。

で、この頃にも展開された「サンボ」
論争でまともな言説を行っていたのも
飯沢氏だったようですし。

その後の展開では1980年代に
森やすじ(日本アニメーションの名作
劇場等における偉大な動物アニメーター
にしてキャラクターデザインや
レイアウトの素晴らしい人)

https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=316339552

https://iss.ndl.go.jp/sp/show/R100000002-I000000832951-00/

ちなみにお遊びで大塚康生氏が
生きておられた頃に「森やすじの
サインってこうだったんだよ」
とスラスラ書いて貰ったことは
あるけどそれはまた別の話。

森やすじが伊藤主計(日本アニメーションの名作劇場に多くの作品で関わっていた人の一人)と共に『ちびくろサンボ』を書いていた版がある(1983年発行で、舞台はインドにしてある講談社版)、といふあたりを見てみたい気もしますが。

https://iss.ndl.go.jp/sp/show/R100000001-I109345073-00/

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784061808249

『ちびくろサンボ』の話題を
採り上げるのであれば、この
ラインを踏み外していなければ
まあ図書館司書としては合格点を
あげられるかな、といふあたりで。

『さよならサンボ』と『ちびくろ
さんぼ』を語る上での図書館司書的
ガイドライン。でした。