漱石の初期三部作

四月に夏目漱石の初期三部作(「三四郎」「それから」「門」)を読んでみようと思いたち、順番に読み進めています。

「三四郎」は熊本の高校を卒業した主人公の三四郎が東京へ出てきて大学生として生活を始める話。ボーイ・ミーツ・ガール要素もあり、明治末期のどこかのほほんとした要素が感じられる作品。

「それから」は大学時代の友人とその妻の援助をするうちに友人の妻の方に惹かれていき…。という話で、人間関係が「こころ」にちょっとだけ似ていると言えなくもないです。

「門」は不倫の末、夫婦となった二人があまり裕福でない細々とした暮らしを送りながらも、どこか暖かみのある生活している様子を描いている作品です。(今、「門」を読んでいる途中なので、ここから話がどちらに転ぶのかは?)

実際のところ、登場人物はそれぞれ異なるのですが、作者の意図としては、「三四郎」の「それから」である主人公が、不倫の末、友人の妻と恋仲になって新たに夫婦となり、その二人が人目をはばかりつつ細々と暮らしているのが「門」という作品ということらしいです。

漱石といえば「こころ」が有名ですが、暗い感じが尾を引いているこの作品よりも、初期三部作の方が明るい感じがあっていいように思います。そして「三四郎」の方はコミカルな表現が多いのに対し、「それから」の方はしっとりとしていて、どこか重厚な表現が多い作品に思えます(と言いつつも十分コミカルな要素もあるんですけど)。

漱石は「午前中は小説を書き、午後は漢詩を作って遊んでいた」という話がどこかの本に載っていましたが、英文学の知識だけでなく、漢文の素養も相当あったそうです。「それから」にはいろんな描写が出てきますが、その視点は英文学ではなくまさに漢詩のそれでして、静寂で洗練された文章表現はなかなか読み応えがあります。(月の描写とか、すごくいいんだけど、今、手元に本が無い!?)

というわけで、今は「門」の148ページを読んでいるところでした。(ちなみに、新潮文庫)

#漱石 #三四郎 #それから #門 #夏目漱石 #文学