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おら東京ば出るだ~「#東京脱出」は拡散していたのか?

本当に恐ろしいのは本来信頼を置けるはずのマスメディアや公共機関がデマを拡散することではないでしょうか.

朝日新聞デジタルにこんな記事が掲載されました.

新型コロナウイルスの感染の広がりを受け、7日にも緊急事態宣言が出されるとの情報が流れ、ツイッターでは「東京脱出」というハッシュタグ(検索ワード)が拡散されている。

東京では潜伏型の新型コロナ感染者が結構な数いると考えられており,緊急事態宣言を受けて地方に人が移動することによって感染が拡大するということは,イタリアの例を見てもかなり危惧されていることです.にもかかわらず東京脱出を目論む方がそんなに多いとは.
幸いにも「脱出」をキーワードにデータをとっていたので,さっそく分析です.

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確かに,#東京脱出は結構拡散しているようです.
・・・あれ?でも増えているのって4月7日以降ですね.
先ほどの記事が公開されたのが2020年4月7日 7時00分ですが,それ以前に#東京脱出がついたツイートはほとんど存在しません

一応ハッシュタグ無しで,「東京脱出」のみで検索した結果はこんなツイートが拡散していたことは確認しました.

しかし,朝日新聞で心配しているような「東京脱出を目指す」ツイートではありません.むしろ東京から地方へ行くことを否定するツイートです.

4月1日以降の「#東京脱出」を含むツイートは28件しかなかったので,これらすべてを根性マイニングしましたが,そのうち東京脱出の報告や,東京脱出を進めるものは4件しかありませんでした.

つまり,「#東京脱出」というタグはそもそも拡散していないし,「#東京脱出」を付けたツイートもほとんどが東京脱出を控えようという呼びかけのツイートでしかありませんでした.

好意的に考えれば,ハッシュタグの意味が分かっていなかったのかもしれないし,結果として東京脱出すべきではないという情報を広めることに成功したので,良かったのかもしれません.
ですが,本来信頼すべきマスメディアがほとんど存在しない情報が「ソーシャルメディアで拡散している」として,現実にはほとんど存在しない悪者を作り上げることによって記事を読ませようとする姿は,なんともディストピア感が溢れているなあと感じます.

真実と伝えることが重要なのか,新型コロナと戦って勝つことが重要なのか.

Post Truthの時代に生きる我々に突き付けられた命題なのかもしれません.

LINE調査の件と同様,公的機関やマスメディアが存在しない悪者を仮定して持論を展開するのは,あまりよくないような気がしますけどね・・・

ハンロンの剃刀」だと考えれば,ちゃんと調べずに拡散したものと思い込んで書いてしまっただけとも考えられるけど,どうなんでしょう.

2020-04-09追記:タイトルが不正確な東北弁だということをコメントで指摘されましたので,ご指摘に従って修正いたしました.
正しい東北弁を使っていなかったことについてお詫びして訂正いたします.


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