画面越しの君は僕の中で生き続ける

コロナで、大学の授業は、すべてオンライン授業になった。

この春から、やっとの思いで、大学生になった僕は、

今まで楽しみにしていた理想的な大学生活を送れず、誰かと出会いたいという気持ちがあふれ出してくる。

そんな中、出会ったのが、彼女だ。

彼女だけは、授業中に僕を見つめ、寂しさを埋めてくれる。

そこに行き交う言葉は無いが、まるで、恋人のように、見つめ合っているように感じられて、とても心地よい。

彼女の笑う姿や、真剣な姿、話している姿が僕にとっては、宝物に等しく、心のフィルムに収まっていく。

そして、彼女に会ってみたいという気持ちが、日に日に強まっていくのを感じる。

今まで、実際に会ったことがない人にこんな気持ちを感じたことはなかった。

多分、コロナで、家にこもりがちになり、人と全く会わないせいで、自然と相対的に彼女の存在が大きくなっていたんだろう。

実際に会ったら、彼女とどんなことを話そうとか、彼女に彼氏はいるのかなとかなどを、考えるようになっていた。


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コロナがある程度、収束し、大学で対面の授業が行われた。

その授業の前日から、楽しみ過ぎて、全く眠れなかった僕は、目がギンギンでその授業が行われる教室に踏み入れる。

まず、教室を一通り見渡すが、彼女らしき人は見当たらなかった。

そして、緊張と期待が入り交じった汗をかきながら、席に着く。

授業開始まで、まだ残り10分ある。大丈夫。絶対に彼女は来るはずだ。

すると、3人組の女性のグループが入ってきた。

その中にその中に彼女らしき人がいたが、あの人は彼女ではないはずだ。

なぜなら、彼女はもっと目が大きかったはずだし、えらもなかった。彼女はもっと綺麗だった。

それから、授業開始まで待ってみたが、誰も教室に入ってこなかった。

そうだ、彼女はきっと今回の授業は休んだのだ。僕はそう思うことにした。

しかし、その来週の授業にも、その再来週の授業にも、彼女は来なかった。

そして、結局、僕は彼女と会うことができなかった。

あの画面越しの彼女は一体、どこにいるのだろう。

僕は君に、会いたかった。話をしたかった。

そして、できるなら、君と、、、。


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