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BtoBアンケート設計の振り返り

2020年7月、業務で市場調査の一貫でアンケートサービスを利用した市場調査を実施しました。自分自身の振り返りも兼ねて、そこで得たアンケート設計についての学びについて書きたいとおもいます。会社の情報や具体的なアイデアに触れる部分は記載できないため、その点は伏せて記載しています。

1.なぜアンケートを実施することになったのか?

私は会社でBtoB事業の新規事業開発のマーケティングを担当しています。今年に入ってから新たな企画を検討していたのですが、昨今の情勢もあり顧客ヒアリングができず、市場調査が進まないという課題にぶつかっていました。そこで外部のアンケートサービスを利用して調査を行うことにしました。

2.利用したサービス

私達の狙う事業領域がBtoBで、特定の業界の特定の人からアンケートを取る必要があったため、ターゲットを絞ってアンケートを行うことができるアンケートサービスを選びました。ユーザーインタビューができるサービスなどもありましたが、今回は複数の業界の人の声を聞いて、どこの業界にニーズがあるのかを判断したかったため、複数業界の人の声が一度に集められるアンケートを選択しました。アンケート設計は主に私達が行いましたが、アンケート会社の方からアンケートに設計に対する基本的な知識、サポートをいただきアンケートを完成させることができました。

3.事前準備

今回は大きく4つのステップに分けてアンケート設計を進めました。

アンケート4ステップ

最初は「こんなこと聞きたい」ということがあり「(4) 何を聞くのか?」から考えそうになったのですが、全体のストーリーが欠けていたので一度落ち着いて「(1) 目的は何か?」を定義することから始めました。次に目的にたどり着くために「(2)検証する仮説は何か?」を考え、検証すべき仮説の優先順位を決めました。(1)と(2)は「アンケート終了後に行う意思決定をするために必要な情報は何か?」を想定して考えました。加えて自分達が立てた仮説が間違っていた場合も想定し、間違っていた場合も次の仮説に繋がるように情報を得られるよう注意しました。

(1)と(2)を決めた後、「(3)誰に聞くのか?」について考えました。今回利用したサービスでは、アンケート対象者を決めるため、事前スクリーニング質問ができたので、最初に私達が作ったペルソナに基づいてアンケート会社の方に候補者をリストを作ってもらいました。リストを元にスクリーニング設問を設計し、対象者のスクリーニングを実施しました。次にアンケート実施人数によって費用が変わってくるので、狙う業界を中分類に分けて優先順位をつけて、候補者の選定を行いました。

(3)が決まったら(2)と(3)に基づいて「(4)何を聞くのか?」に取り掛かりました。設問設計を行う前に、ターゲット像に近い知り合いにヒアリングを行ってペルソナの解像度を高め、カスターマージャーニーを作りました。そのカスタマージャーニーに沿ってアンケート全体の構成を考え、下記のように概要を決定しました。


今回の場合

4.設問設計で工夫した点

次に設問設計で工夫した点について書きたいとおもいます。設問は回答者が回答しやすいようにストーリーを重視して設計をしました。アンケート結果で「回答しやすいアンケートだった」という声をいただいたので、狙い通りの設計ができたのではないかとおもっています。

設問の流れ

工夫した点は大きく3つあります。

1つ目は「回答しやすい事実から聞く」です。いきなり「この商品どうですか?」と聞いてしまうと回答しにくいと考え、最初は「業務フローのこの部分はどなたが担当していますか?」など回答者のペルソナやカスタマージャーニーがどうなっているかなど、回答がしやすい「事実(普段の行動)」を確認する設問から始めるようにしました。

2つ目は「事実を整理してから、事実に基づいた意見を述べてもらう」です。最初にペルソナやカスタマージャーニーを確認する設問で、回答者が普段の業務内容を整理してもらえるようにしました。そのあと「過去に実際にあった課題」について聞き、そを「どうやって解決しようとしたか」を聞きました。ここでも回答者が過去直面した「事実(そのときの状況や行動)」を聞くことで、どういった点で困ったのかを回答者自身に整理してもらうことを意識しました。そして整理が終わった後に「提案する商品についてのどうおもうか?」という意見を聞くことで、可能な限り事実に基づいた回答をしてもらえるようにしました。

3つ目は「設問は選択式と記述式をセットにする」です。生の声を集めるために記述式をの設問を増やしたくなるのですが、記述式の設問が連続すると回答者は回答するのがツラくなってきます。そこでまずは回答しやすい選択式の設問に回答してもらい、その後記述式設問で「その理由を教えて下さい」で聞くようにすることで、回答しやすくしました。また別の狙いとして、回答者に最初に選択式設問で「選択肢を選ぶという小さな意思決定」をその場でしてもらい、記述式で「その意思決定を理由を聞く」ことで、遠い過去のことではなく今のことを聞くということも意識しました。アンケートは形式上過去のことを思い出して回答してもらうことになるのですが、回答者のバイアスによって真実が捻じ曲げられてしまう恐れがあります。なのでその場で意思決定をしてもらい、その理由をすぐに聞くことで、回答者のバイアスが可能な限り入らないように工夫をしました。

5.その他注意点

その他細かいことですが次の項目を都度チェックするようにしました。今回は二人でアンケート設計をしたので、二人でダブルチェックをして抜け漏れやおかしな点がないか何度もチェックしました。

【チェックポイント
(A) 回答者がわからない言葉を使っていないか?
     (言葉だけで伝えることが難しければ図などで補足する)
(B) 人によって認識がずれる表現を使っていないか?
(C) 選択式の選択肢はMECEになっているのか?
(D) 記述式設問の回答例は、回答者に求める
       回答の解像度が伝わるようになっているのか?
(E) 自分達の意思決定に必要な情報が得られる設計ができているのか?

6.まとめ

ちょっと長くなってしまいましが、アンケート設計の振り返りについて書きました。今回アンケートを設計してみて、「今までのアンケートって何も考えずに作っていたな」と反省しました。今回得た一番重要な学びは「アンケートは一人で設計しない」ということです。一人でアンケートを作っていると自分の思い込みにハマって抜け出せなくなるので、他の人に入ってもらって抜け漏れやおかしな点がないか必ずチェックをしましょう!

目的によってアンケート設計の方法論は変わってくるとおもうので、私の振り返りが役に立たない場合もあるかもしれませんが、これからアンケート設計をされる方の参考になれば幸いです。

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