なつかし劇場/第四の男
カッパバッチは10月1日の都民の日に使える、フリーパス券みたいなモノで、都内の博物館などにタダで入れるのです。
「カッパッパ〜ルンパッパ〜」
でお馴染み、黄桜のエロガッパの作者がデザインしたとか。
都民の日は公立中学校が休みになり、へーちゃん、こうちゃん、小生の3馬鹿はカッパバッチを付け、京浜東北線で東京駅に向かっております。
お目当ては電気通信科学館。
最新科学を遊び心のある展示でみせてくれるオモシロ科学館です。
その後、上野の国立博物館などをめぐり、カッパバッチのモトを取ろうという事で、早起き集合。
朝の通勤電車に飛び乗った3人は電車の連結部分に近い4人がけのイスを確保。
電車が発車するとへーちゃん。
連結部分の横にある小窓から隣の車両をのぞき込み、ひと言。
「こうちゃん!あいつ、スリじゃないかな」
ド肝を抜かれる小生。
会社員のおじさんは新聞から目を上げ、我々の真ん前に立っているおばちゃん達も何事かと興味津々です。
小窓から確認する、こうちゃん。
「ホントだ。スリだよ!」
こうちゃんが犯罪者を見抜けるなんて、、、マジか?
「こうちゃん!何でわかったの!?」
あまりのオドロキに叫ぶように質問する小生。
ここで、ご説明いたします。
この2人の言う「スリ」は、授業中に寝ていて、英語の先生から「スリーピー」とあだ名を付けられた同級生。
へーちゃんとこうちゃんは、その同級生のあだ名を「スリ」と略して呼んでいるのです。
別のクラスの小生はその事を知りません。
もちろん、目の前に立っているおばちゃん達と周囲の人も。
すれ違いまくる認識のまま会話は進行。
「裸族ちゃん。スリの事知らないの?」
と、へーちゃん。
小生もそこまで世間知らずではございません。
へーちゃん、馬鹿にすんなと思いつつ、
「知ってるよ。人の財布とか盗むヤツだろ」
驚き顔のへーちゃん。
「スリって、そんな事してんの!」
何か変だと感じながらも小生、
「ウチの父ちゃん、スリにあいそうになったんだよ」
ハテナ顔のへーちゃん。
「あいそうになった、って何?」
「だから、競馬場でスリにあいそうになったんだって」
すると、こうちゃん。
「スリって、動物好きだから馬にも興味あるんじゃない」
こうちゃん、何を言い出しとんねん!
あまりのパニックに富士山の向こうの漫才師に変貌する小生。
スリが好きなのは人ごみやろ!
へーちゃんもこうちゃんも狂っとる。
黄色い救急車呼んだろか!
心の中で鬼畜ツッコミをかます小生。
その直後、電車は田端に着き、
乗り換えの乗客がどんどん降りていきます。
その時、へーちゃんが動いた。
「スリに挨拶してくる」
なんじゃソレ!仁義を切る的なアレか?
小生&おばちゃん達が脳内ハテナマークを渦巻かせる中、、、
へーちゃんが連結扉を開けると、くだんのスリは電車を降りようとしています。
「おい!待てよ、スリ!」
叫ぶへーちゃん。
その瞬間、、、
20名以上の乗客がいっせいに振り向き、へーちゃんをガン見。
降りようとした乗客もフリーズ状態。
どうしても見たいのか、イスから中腰になり人のすき間に顔をねじ込んでくるオッサンも出現。
すべての視線はへーちゃんに一極集中。
もちろん、犯罪行為のスリと勘違いされております。
大量の視線にビビる、へーちゃん。
後ろ姿にも、そのビビリが伝わってまいります。
とんでもなく長く感じた、一瞬の沈黙があり、、、
助けを求めるように、ゆっくりとコチラを振り返るへーちゃん。
その表情は、小生が見た20世紀最高のキョトン顔でございました。
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)
鳥裸族
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