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高校生が描く、だれもが学校をたのしむ未来【前田悠翔さんインタビュー】

前田悠翔(まえだゆうと)さんに出会ったのは、世田谷区にゆかりのあるひとが集う多業種交流イベント「世田谷チャレンジャーズコミュニティ」。

春から高校3年生。大学に出願する9月までに、起業を目指しているという。

叶えたいのは、メタバースやカードゲームを活用した教育事業で、不登校児をサポートすること。

「ぼく自身は学校が大好き。小学校から11年間、無遅刻無欠席です」

中学生になったとたん、幼馴染みが、学校に来られなくなった。

「ぼくにとって、学校はたのしい場所。その友だちも、小学校のころは明るくて積極的なほうだったのに、『なんで不登校になってしまったんだろう?』と思ったのが、最初のきっかけでした」

わからないから、理解したい。その思いにつき動かされた前田さんは、幼馴染をたずねた。

「そこではじめて、HSPのことを知ったんです」

HSP(Highly Sensitive Person)とは、感受性が豊かであるゆえに、さまざまなものから刺激や影響を受けやすい性質をもつひとのこと。

全人口の15~20%が該当すると考えられており、HSP特有の理由で、登校が難しくなる子どもも少なくない。

「ちょうど先輩がHSPの方を支援する学生団体をやっていたので、そこに加入しました」

団体では、メタバース事業を担当。HSPのひとが感じる世界がどんな風なのか、メタバースやVRを通して体験するシステムの開発に関わった。

「僕の通っていた学校では、教育方針として『相手の立場に立って考えてみて!』と言われていたんです」

「メタバースを使って、それを物理的に再現出来たら面白いんじゃないかと思って」

団体での活動に留まらず、自分で起業するという考えに至ったのは、HSPに限らず、不登校という問題全体へ目を向けたかったから。

何かと先頭に立ってきた、子どもの頃からの経験も背景にある。

「リーダーになりたくてなるわけじゃないんですけど…まわりのひとをまとめて、自分から動いていくのは好きです。うちは、両親ともにリーダーシップがあって友だちも沢山。それを見てきたからっていうのも、あると思います」

「まわりから任される、ということも多いです。部活の部長を決めるとき、『まえちゃん(あだ名)しかいないよね』って笑」

「でも、そうやって自分の役割を認識することが、ぼくにとってはアイデンティティの確立につながった」

その場において、自分には何ができるのかを知る。“居場所はここにある”と実感するために、大切なことだ。

「この感覚を、子どもたちにシェアしたい。いまは、そういう『自分の役割がある』という気持ちを確認できるような、ロールプレイのカードゲームをつくっています」




ゆくゆくは、メタバース事業に携わった経験を活かし、仮想空間での教育システムも実現させたいと考えている。誰もが、どこからでも、たのしく通える学校だ。

「いまぼくが通っている高校は、すごく自由な校風なんです。まわりには起業や、ほかにもいろいろな挑戦をしているひとがたくさんいます」

「小学校までは校則がきびしくて、できないことが多かった。それから中学になって、さらに高校に入ってから、それまで抑え込まれていたものがパーンって、はじけたような気がします。ゴムみたいに。そのはじけ出す力も、原動力かもしれません」

離れた場所でくるしみ、なやみを抱える子どもにも届くように。挑戦を広げていくため、いま、次のステップとして考えていることは。

「まずは形のあるものをつくろうと。さっき話したカードゲームを、企業と組んで世の中に出す。そこから、事業の立ち上げにつなげていきたいと考えています」

「今日、このイベントに来て、世田谷区には不登校に悩む子どもがたくさんいると知りました。行政のほうにもぜひ、働きかけていきたいですね」

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前田さんの活動にご興味をおもちの方は、下記よりご本人へご連絡いただけます。

■前田さんのFacebookページ

■前田さんが代表をつとめる団体「VReducation」Instagram


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書き手:とりのささみこ
「自分の居心地をよくすること、居心地のよい場所をみつけること」をテーマに、文章を書いています。

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