見出し画像

007 その仕事、プロジェクトにしてみませんか?

1.仕事のプロジェクト化

現在Job型とかメンバーシップ型とか日本の雇用形態について沢山の議論が沸き上がっています。どちらも最終的には成果を目標としていることには違いはありません。

昨今、頭角をあらわしてきた企業はそもそもジョブ型とかメンバーシップ型とかそんなことに拘っていないはずです。スタートアップ企業なんかはシンプルに出来る人がやる、ただそれだけで、社長も社員も関係ありません。それは今やるべき事や目的が分かりやすいからとも言えます。

人数が多く、かつ歴史ある大企業ほど階層化と機能が細分化されすぎた組織にどっぷりと漬かったミドル、シニア層の取り扱いに困っている様に見えます。これが生産性が向上しない一つの人事的な要因ではないでしょうか?

縦型組織構造から中々抜け出せない企業は、仕事をプロジェクト化してみてはいかがでしょう?個々の業務、商品、サービス、課題解決そのものを目的を設定した一つのプロジェクトにするのです。

2.プロジェクトはとてもシンプル

プロジェクトはミッションを遂行すれば良いのです。そして終了すれば解散し、また新しいプロジェクトに参画する。いわゆる「成果」を求めた機能集団による総合活動といえます。遂行するために必要なヒト・カネ・モノを集めて期限内に結果を出す、ただこれだけです。人についていえば、純粋にその職務に必要な機能、いわゆる「職能」としての人材を登用すれば良いだけなのです。いわゆる適所に適材をという理論です。

日本社会は成果目標よりも「特定の役割や関係にどう調和して対応するか」といった集団同調性傾向が強い社会です。しかしプロジェクトの様な成果を求めた機能集団では関係性に調和するという事よりも、目的に向かってチームにおける仕事や作業を進めることが優先されます。例えて言えばスポーツにおける「試合」みたいなものです。

どうせなら、縦の関係性に同調機能を働かせるよりも、横の関係性で同調性を機能させた方が結果に対して直線的だと思いませんか?

3.教師とコーチ、監督とキャプテン

ここで改めて考えてみたいと思います。これらの「名称」について定義は多様でありますので、あくまで代表的なものをご紹介します。教師とコーチの違いは何でしょう?基本的には「個人」に対する指導を行う人と言えます。そして、監督とキャプテンの違いは何でしょう?こちらのほうが分かりやすいかもしれません。基本的には「組織」に対する統括を行う人と言えます。
■教師:Non-Player
上下関係を前提として、生徒に対し上位視点から指導をする者。指導する側が答えや知識を持っており、受ける側の知識や経験が少ない場合に知識や技術を向上させることが目的。
■コーチ:Non-Player
特に上下関係はなく、相手に対し同じ視点から指導をする者。自身の技術や知識を伝授するだけでなく、受ける相手が自ら考え答えを導き出すきっかけを得たり、効率的な練習方法を学ぶことが目的。
■監督:マネージャー / Non-Player
チームやグループのリソースをコントロールする権利を有し、外部からチームの機能の強化や、ミッションの遂行をサポートする者。集団を統治、統括し管理することが目的。
■キャプテン:リーダー / Player
チームやグループの指揮者として指示、統括する権利を有し、内部の一員としてミッションを執行する者。ミッションを遂行する集団を指揮し、完遂させることが目的。

このように分類すると、それぞれ基本的な立場が異なることが見えてきます。そして本来、教師やコーチ、そしてマネージャーはPlayerとは違う位置にあるということも分かります。

4.そして管理職は順応力から指導力へ

現在日本の管理職層は「曖昧な役割の下で関係性に順応してきた」人が中心として鎮座しています。しかし、そのマネジメント能力を「順応力」ではなく、専門家集団を動かす「指導力」に視点を移動すべきではないでしょうか。
そして教師役は教師として、コーチ役はコーチとしての専門性を高める努力をする。そのために必要な教育や、トレーニングをどんどんやれば良いのです。人材が豊富な大企業はこれが出来るはずです。

マネジメントが教師やコーチ役に移行すれば、現場力や実務はプロジェクトという実戦の場で鍛えるという環境が整います。現実的な商品開発や業務には最新の環境認識、知識、Toolが必要となります。リーダーもメンバーも同じフィールドで学びあい、高めあえれば最高です。

もちろん、マネージャー自身も時として自己の知識や技術のVer-Up、仮設の検証が必要です。その為にまさに現場であるプロジェクトに参加することは当然あり得ます。マネジメント層、プレーヤー層共に自分自身の専門性を高めるのは自分という意識づけが大事であると同時に、実践環境の設定が必要です。

5.仕事能力はプロジェクトで鍛えよう

このように役割を部門とプロジェクト、個人と組織という様にブレイクダウンしたほうが役割設定と管理、そして評価、更に言うとモチベーションみたいなものは、分かりやすくなるものだと考えられます。そしてミッションやバリュー、フィロソフィーといったものが個とチームでそれぞれ別に定義づけることが可能となってくるのです。

プロジェクトマネージャーやリーダーは「実戦場」を提供し成果を軸に、チームメンバーの育成(OJT)や、自身のリーダーシップ向上を担う。そして部門の上司は教師かコーチという専門集団として、部員個人の教育を担って頂く。

これまで曖昧だった業務、役割や評価、自身のVer-Upや目標への貢献、そういったものを「成果を追求する機能集団= Project」として定義づけることで、マネージャー、プレーヤーの専門性も以前よりは明らかになり、役割の明確化、そして何よりも重要な「成果型」への移行が進むはずです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?