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005 トライアスロンが教えてくれたこと

Ironman(アイアンマン)と言えば今はマーベルコミック映画の人気主人公ですが、元はSwim (3.8Km)/Bike (約180Km)/ Run (42.195Km)  合計約230Kmを走り抜いたトライアスリートのことを鉄人=Ironmanと呼んでいたのです。トライアスロン競技を経験して最大の収穫は「人に優しくなれる」ということではないでしょうか?かなり辛いレースを完走した後に残る感覚は「ありがとう」という感謝の言葉。本当これだけなんです。耐えた身体をくれた両親へ、事故無く終えられたスタッフへ、応援してくれた人々、何とかゴールに辿り着けた自分。これら全て感謝の気持ちを身をもって味わえる貴重な競技です。

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そもそも大会に出場する為に、スポーツ健康診断の提出が必要。そして合格したら、誓約書で「私が死んでも一切の責任は自分にあります!」と署名。そしてエントリーして、選考。まず、出場するのにかなり精神的にも体力的にもハードルが高いことは事実。でも、トレーニングさえすれば誰でも出来る競技でもあります。ちなみにこの競技に出場する前、私は泳げませんでした(笑)

1.プロジェクトに通じるトライアスロンの術

トライアスロン競技(Ironman Distance)は
1.Swim (3.8Km)/ Bike (約180Km)/ Run (42.195Km) という3種連続競技。
2.やたら競技時間が長い。
3.集団で行う個人競技。

https://kona-challenge.com/zerointro.html

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プロジェクトマネジメントという仕事もまさに総合連続競技、そして時間が長く必ずゴールがあります。チームメンバーという集合体でありながらそこに各自の個人能力が必要とされる。もちろんサッカーや野球の様なチームスポーツに例えたほうがしっくりとくる方が多いかもしれません(それも良く分かる)が、プロジェクトはGameでは無いという点がここでのポイント。チームスポーツは勝ち負けを争うGameですが、トライアスロンは自己との闘い、全てが個人のコミットメントという点でプロジェクトに共通する部分は多いと感じています。

2.連続総合競技

例えばマラソンではもう「走る」だけ。練習も走りに特化したトレーニングになります。これが結構辛い!でも3種競技では得意な種目と苦手な種目を上手にバランスを取りながら自分なりの戦い方を模索しなくてはなりません。例えばSwimが早くRunが苦手な(このパターンは多い)Typeの考える事は、Swimで上位を狙い、Bikeでその貯金を可能な限り残し、Runでは体力が続くまで走り抜き、ゴールした時はもぉ~満身創痍絶大な疲労感満載です。(笑)

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Bikeが得意なTypeの考える事は、一番距離が長く時間がかかるパートなので差をつけるのはココだと。5~8時間位の時間枠で「安心して空気を吸える」(笑)から色々と戦略が立てられます。平地で抜くか、登りで抜くか、はたまた下りで逃げるかと。唯一道具を使うパートなので「機材の使いこなし」といったテクニカルな要素も入ってきます。またBike競技独特の集団が出来るのでどの集団に入るかとか。Runが得意ならしっかりと体力を残しますが苦手なら可能な限り順位を上げておく作戦になります。

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つまり自分のPros/Cons/Riskをどう配分するかという事につながるのです。

3.Risk管理

プロジェクトでもトライアスロンでもRisk管理はとても重要な事。私も過去の大会で2回ほどDNF(Do not Finish)しました。練習不足と古傷による痛みに耐えられずといった理由ですが、これもRisk管理が出来ていなかったことに他なりません。ことプロジェクトマネジメントにおけるRisk管理というものを私なりに解釈すれば「このRiskのインパクトは」「どこにRiskを置くか」「このDecisionでRiskがどこに移動するか?」という事を理解することになります。

例え話が多く恐縮ですが、簡単に言うとトランプの「ババ」が今何処に何枚あるのか?ということなんです。これが分かっていないと、多数ある事件やトラブルで「ババ」が同じところに累積しているのか、分散できているのか?といった見方ができるのです。ここを理解して初めてRisk分散という技が使えるというか、効果を発揮します。これは理論的な側面もありますが、チームメンバーを潰さない為にもとても大事な管理ポイントです。

4.正しいコミットメント

チームが正しく機能するかしないかは、リーダーのコミットメント内容によって決まると言えます。厳しい要求なり指示が上位から指定されるのはどこも同じでしょうが、それをどこまでどうコミットメントするかはリーダー次第。上位のご機嫌を得るために無理なコミットメントをしてしまうと、これはもうプロジェクトメンバーが悲惨。

出来て当たり前のレベルは確実にコミットメントし、プラスαはメンバーの勢いと成長次第で決まるものではないでしょうか?だとすると、メンバーの勢いを如何に高めるかでプラスαが決まると思いませんか?コミットメントのBaseとプラスαを分けて考え、定義する。ここが一つの重要なポイントになってきます。

5.健康的なプロジェクトマネジメント

Risk管理と正しいコミットメントが健康的なプロジェクト運営に欠かせません。これを指揮するのがプロジェクトリーダーの役目でもあります。その為に必要な管理が計画とC.Pレビューと言えます。計画やレビューというと大抵の方は「面倒だな、時間がもったいない」という印象をお持ちかもしれません。確かに、そうなんですが、皆を守る健康診断だと考えてみましょう。何事も早期発見できれば修復も容易です。

Risk管理とコミットメント、そしてレビュー これをしっかりと意識した管理を行う。これがプロジェクトというトライアスロン競技で完走できるコツではないでしょうか。是非ともこれを読むプロジェクトリーダーの皆さんには健康的なプロジェクトを運営していただきたいと願っております。厳しいプロジェクトを成功させた後、貴方はとても「強くて優しい人」になれるはず、アイアンマンみたいに。


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