【読書感想】西の魔女の最後の魔法～『西の魔女が死んだ』

西の魔女の最後の魔法は、もちろんとても強い魔力が必要でした。

おばあちゃんはどうやってその魔力を培ったのでしょう。

それは、日常生活を続けることによって、だと思っています。

実際やってみると分かるように、日常生活を続けるのは簡単なことではありません。いろんなことがあります。
朝起きて夜寝るだけ、ご飯を食べるだけ、それだけでも実際にはたくさんのことを、名もない小さなたくさんのことを、こなしていかなければなりません。しかもそれを続けるのを妨げるような様々な出来事が、次から次にやってきます。

本当にいろんなことがあります。
大切な人との別れも、やってきます。

でもそれは続ける価値があります。

「何があってもできるだけいつもの生活を続けなさい」と母が私に言ったことがあります。まだとても若かった私が、背負い切れない出来事に動揺して日常を忘れた時のことでした。
友人を亡くした時、家族に災難が降りかかった時、病気をした時、この言葉を思い出します。
「心」は、思い通りにならないけど
「手の作業」は確かに日常生活を紡いでいく
それがいつか光のように、
優しく穏やかな、疑う余地のない、普通の日の昼間の光のように、
私たちを暗がりの中から導き出していきます。

それは、
思ったより大したことはなく、
思ったより大変なのだけど、
続ける価値があります。

おばあちゃんからまいに伝えられたのはそういう魔力
そして最後に西の魔女は、その魔力が想像を越えて強いのだということを伝えて、去っていったのだと思うのです。
揺るぎない、とても強い、優しく穏やかな疑う余地のない魔法でした。