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事業再生を身近に感じて頂きたいと、Twitterを毎日投稿しています。
認定事業再生士(CTP)鳥倉大介 とりくらだいすけ 合同会社鳥倉再生事務所 企業公式(@Daisuke_Tori) / Twitter
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私のつぶやきだけでは、面白味が足りないので定期的に『マシュマロを投げ合おう』を利用して匿名での質問を募集しています。
認定事業再生士(CTP)鳥倉大介 とりくらだいすけにマシュマロを投げる | マシュマロ (marshmallow-qa.com) 意外にご好評で今までに30個ご質問をいただいています。

今回はその中でいただいた質問へご回答したいと思います。Twitterにてご返信するようにしているのですが、短文でのご回答には限界がある為、noteにまとまった形でお返事したいと思います。

マシュマロで質問頂きました

ご相談者は、金融機関の方か、コンサルタントの方か、外部人間だと拝察致します。外部の方が、事業再生が必要な会社に入って、組織改善に取り組んでいるようです。5S活動や、不良改善活動経営会議をなさっているそうですので、取組の量は足りていると鳥倉も思います。

ご質問者は現状に満足されておらず、他責思考の人間や、受け身の人間に苦しめられている様子が伝わってきます。社長も含めて自分事として捉えて頂きたいと考えています。事業再生で1番難しい、壁に向き合っておられますね。

事業再生はなぜ?自分事としてとらえられないのか?

人は自分事にならないと必死になれない生き物です。課題が認識されたとしても、自分事でない限り結果にコミットすることはありません。

自分事とするためには、ほっておくと自分にも痛み(減給・賞与停止・リストラなど)があると認識してもらうか必要があります。また、協力することにより、個人の利益に直結するという欲望(昇給・昇進など)を叶えることにつながるのだと感じていただく必要もあります。

動機は何であれ明確にしましょう。どのように関係者全員の喫緊の課題と認識いただくか、関係者の決断が不可避の状態(背水の陣)をどのように作るのかポイントです。当事者だけでは内発的な動機付けができない場合は、事業再生は時間との勝負ですので、内外のステイクホルダー(株主・債権者)の圧力を用いることも検討致します。

経営者という当事者の最たる方ですら本気になれない、ことにビックリされるかもしれませんが意外に多いです。経営者が自分事になれないのには根深い問題があります。ここを第一に改善する必要があります。経営者は事業再生に陥った現状にショック状態にある場合があります。「メインバンクに貸せないと見捨てられた」・「連帯保証人として全財産を失う可能性がある」・「家族と暮らす自宅を失う危険がある」という、未来の危険、未来の不透明さの前に、元気も勇気もでない状態の方は一定数いらっしゃいます。

経営者へ連帯保証がどういうものか?会社が返済できないとどう処分されるか?自宅を守りたい、家族を守りたいという感情に寄り添ってどういう未来が待っているのかを説明し、そうならないためにはどうするか、そうなったときにはどうするかについて道を示すことで生存本能にスイッチを入れてもらいます。展開がわからないと、頑張り所もわからないものです。

また、トップの覚悟がない段階で、事業再生のために何をしても無意味です。トップの覚悟に合わせて、トップの承認のもと不退転の決意で施策を打ちます。事業再生なんだから仕方ない、金融機関の手前もあり、事業再生っぽいことをやろう、という話しではうまくいきません。トップが内心で納得していない場合は、隙あらば妨害工作を受けます。トップにサボタージュされ、はしごを外され、手ひどい目に合いう事もあります。外部の支援者はピエロになってしまいます。

自分事ではない従業員をどのように協力してもらうか

誰が責任をとるのか曖昧な組織は、部分最適の議論に終始し、各部門が自分のに閉じこもります。社長の責任で全体最適に取り組むんだという覚悟を全社に浸透させます。社長以上に結果に人生をコミットしている人は存在しません。正しい意見でも、従わずサボタージュする人は人事権限で排除します。

結論のない会議、行動目標が設定されない会議、意思決定がなされない会議が組織を腐らせます。毎回、会議のリーダーに結論と行動目標、意思決定を意識してもらいます。そうしても変わらない場合は、組織を変えることに着手します。

組織を変えるときは必ず上から変えます。社長、株主、役員、部長、課長と上からです。最初に末端の人に痛みを分かち合えといっても上手くいきません。逆に下からやろうとすると上の人が必ず「あいつの言うこと聞くな」とはしごを外し、存在感をアピールし妨害されるものです。

事業再生は再生の為の方策を立案し、仮説に基づき改革を実行しても、短期的には結果がでないこともあります。軽微な失敗でも成果がでないと、改革をやめろと今までおとなしく、改革にしたがっていた人間までも反対勢力になります。

そういう意味においてもトップの不退転の決意がなければ、改革の完遂はできないのです。資金繰りが支えられる範囲において失敗はチャレンジした代償として許容します。成果を掴まえるためには前言撤回も気にしません。トップが自らの責任で関与しないと、簡単に改革が頓挫します。事業再生に陥る会社は変化を嫌いできない理由を探しますリスクを許容しチャレンジする人間が評価される組織に変えます。場合により挑戦できる人間を社内で抜擢します。

従業員については、部門別損益を根拠として部門閉鎖、拠点統廃合、賞与支給停止の可能性を説明します。あわせて従業員が幸せになるには、給与UPや賞与を出すためにはどうしたらよいかも説明します。危機をあおって、人の気持ちをまとめるときは、解決策も合わせて提示することが大切です。解決策が示されないままに、危機を叫ばれると組織が空中分解します。事業再生が長期化すると、給料や賞与が上がらない組織となり、モチベーションが低い人間の吹き溜まりになります。いくらの売上利益が必要なのか?手元現預金、債務償還財源、設備投資、そして社員への還元を含めた目標設定とします。明示されていない組織で、社長や株主への還元しか見えないとやる気を失う人は多いです。

それでも協力が得られない場合には、賞罰や人事考課、昇進、降格も用います。面従腹背、事なかれ主義、嵐が過ぎ去るのを待つ、サボタージュ、冷や水を浴びせかける事が、どんなに罪深い事なのかを具体的に示します。停滞する組織は人事権が活用されていないことが多いです。そんなこと意味あるのと思われますが、大変効果があります。やってみてください。

質問を見るとそれなりの組織のようです。その場合は腐っても鯛のように、知恵もあり、行動もできる人がいるのに埋もれていたり、閑職に追いやられていたりします。顧客志向で社内調和ではなく、顧客のために努力し干されている人と、改革を行います。評価されるべき人が評価されていないがゆえに組織が腐ります。

事業再生は、銭や金の話に終始してしまいがちですが、人間の再生、組織の再生なくして成功しません。ご質問者は、事業再生の本質である、人間や組織と向き合っています。とてもよい課題設定です。参考にされて、ぜひ人間の問題を解決し、事業再生を達成してください。


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