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『美しい嘘』 第二章
その日私たちはいつものデニーズではなく、ららぽーとの最上階の展望レストランにいた。
「たまには、ちょっと美味しいもの食べよう」
夜景があまりにも美しく、一瞬彼と2人でどこか海外のレストランにいる錯覚をした。
その夜、彼がヨーロッパで美術館を巡りながら一人旅をした話を聞いていた。お金がないため、ヒッチハイクしながら、バックパック1つで旅したという。
ノルウェーのトロムソという町でオーロラを見
Lesson ~last lesson~
コーヒーがカップに落ちる音で目覚めた。ケンはいつも早起きだ。
「…お早う」
昨夜の気まずさから、しばらく寝袋で時間をやり過ごしたあと、私はテントからはい出した。
朝のまばゆいばかりの光りが、昨日の闇を綺麗さっぱり追い払ってくれていた。
「お早う、カナ」
ケンはいつもと変わらない、ふんわりと優しい微笑みで私を受け入れてくれた。
「昨晩は、ごめんなさい」
彼は驚いたように私を見つめた。