Take out your story~元気になれる飲食店~番外編[阿佐ヶ谷飲み屋さん探検の巻vol.2]
前回の阿佐ヶ谷飲み屋さん探検に続きまして、今回も番外編にて、阿佐ヶ谷にお邪魔してきました。
近くて遠い…なんて前回書いていたものの、いざ行き始めるとやっぱり近くて、なんなら終電も25時過ぎまであったりして、全然飲みに行きやすいやん!と味をしめ始めた私。 (ちなみに、阿佐ヶ谷探検の巻はもう一回計画しています、お楽しみに!)
今回お伺いするのは、このTake out your story2回目でご紹介させていただいた「おかえり酒場 さんだるきっちん」の本店にあたる、
「お酒とゴハン サンダルキッチン」さん!
お店自体は前の店時代からカウントすると12年が経ちますが、「サンダルキッチン」としてオープンしてからは、6年目になるお店です。
先代のオーナーがお店を閉めると決めた時、今までこの場所に来ていたお客さんがお店難民になってしまう!と、現オーナーの鈴木伸弥さんがお店を引き取り、今のサンダルキッチンをオープンしました。
お店の名前を決めるときにも、スタッフのみんなでいろいろと話し合いを重ねたそうで。
「秘密基地」や「ハローゴリラ」(オーナーがゴリラに似ている?ことから)、「キッチンバー2階」などの意見が出たそうですが、
”気軽にお風呂上がりにでも来れる店だよ“という意味を込めた「サンダル」に、ご飯がちゃんと食べられることが伝わるよう「キッチン」をつけて、「サンダルキッチン」と名付けました。
「2階にあるから入り口もわかりづらいし、初見の人が入って来にくいねんな。自分たちで、こんなことをやってるお店ですよって宣伝していかないとあかんと思っていて。初めての人でも勇気を振り絞って来てくれるように。」
と話すのは、マネージャーのタナジさん。
壁画アーティストemi tanaji として活動しながら、サンダルキッチンをずっと支えて来たタナジさん。阿佐ヶ谷歴10年以上のベテランスタッフです。
前のお店のスタッフさんが辞める時に紹介してもらったのがきっかけで、サンダルキッチンのメンバーになりました。
店内にあふれるユニークなアートも、タナジさんの作品。
「これはまだ、SNSが流行りかけていた時に、ブロガーさん達がこの絵の下に座って写真を撮ってSNSにあげてくれたら…と思って描いたんですけど、スタッフがしゃべりすぎて、もはや誰も写真を撮らんという。」と笑いながら教えてくれました。
オープン前にインスタ用の写真を撮っているのが、店長の山田彩貴 (通称サイキ)さん。
サイキさんは、元々はお客さんとしてサンダルキッチンに来ていたのですが、いつの間にかスタッフになっていたというからおもしろいです。
サンダルキッチン、店内のあちこちに、アートと歴史が散りばめられています。
この壁画は、前の前のオーナーの「MAD HOG KITCHEN」時代に、常連だった造形師である韮沢靖さんが描いたもの。
サンダルキッチンとしてオープンする時に、絵をどうしましょうか?と韮沢さんに連絡したところ、「そこに描いた時にそこに描いたストーリーがあるから、そのストーリーを壊さないで、そのまま置いておいて欲しい」とおっしゃったそうです。お亡くなりになられた今でも、ファンの方がこの壁画を見に訪れるといいます。
常連のお店がたくさんあるからと、阿佐ヶ谷の他の店にも多数作品を残されたというから、すてきなお話。
「もう夏のカレンダーにしたいね!」と、タナジさんが取材の日にめくってくれたこのカレンダーも、壁画と大物を手がけるアーティスト、MAJIOさんの作品。
東京にいらっしゃる際には、ここサンダルキッチンにて作品のお渡し会を開いているそうです。
「これ新しい椅子なんですー!偶然鎌倉でこの椅子使ってるお店があって、店より先に座り心地試してしもたわ!」とタナジさんが嬉しそうに座っているのは、新調したばかりのカウンターチェア。
つい最近まで、先代のオーナーさん手作りの椅子をそのまま使い続けてきたのですが、10年以上経ってガタついて来てしまったため、今回新調したそうです。
古い椅子も、インスタで声がけして、他店舗さんにプレゼントしました。
お店の奥にある、小上がりの席。
お店に席数が足りない…と話していたら、お客さんがこの席をまるごとプレゼントしてくれたんですって。すごい贈り物だ…!
お店に飾られている周年チェキには、たくさんの常連さんの笑顔が。
周年のイベントで、どうやって感謝の気持ちを伝えようかと考え、来てくれたお客さんのチェキを撮って、ひとりひとりにメッセージを書いてプレゼントしよう!と撮ったもの。
渡すのを忘れてしまったり、恥ずかしくて持って帰らない方もいて、まだここに残っているそうです。
(これを見た方で、自分の!って思う方いらしたらぜひスタッフまでお申し付けくださいね!)
さてさて、今日の日替わりメニューを決めたら、いよいよ仕込みです。
サンダルキッチンは、毎日来てもお客さんが飽きないようにと、日替わりメニューがとにかく種類豊富。
ちなみに、この日のごはんは、手作りケチャップのオムライスと、ハンバーグ。
合わせ盛りもできるという超豪華版!
「常連さんたちみんな日替わりのメニューで注文するから、グランドメニューとかほとんど見てなくて。たまに新しくきたお客さんがグランドメニューから注文すると、あんなのあったの?とか言われたりして。」と笑うサイキさん。
「サイキ、あれやって!」と、ムービーを撮るふたり。
これ、インスタのストーリー用でした。
サンダルキッチンのInstagramは、とにかく楽しいです。
曜日によって変わるスタッフさんがめちゃくちゃ個性的で、マンガエッセイがあったり、筋肉情報があったり、エクササイズやフェスetc...毎日見飽きない内容で。
「若い子たちの飲食店の検索率が高いのがインスタだ!」と、いち早くインスタでの告知を始めたサンダルの皆さん。
「お金を払って宣伝を頼むんじゃなくて、自分たちでやろう。キャラの濃い子たちが多いから、料理だけじゃなく人で内容をあげて行こう」と決めて、とにかくスタッフに特化した、楽しい投稿を続けています。
6月いっぱいでデリバリーとテイクアウトは終了しましたが、自粛期間中お店に立てない時でも、毎日少しでもお客さんに楽しい情報を届けたい、とスタッフさんが毎日交代で投稿していました。
その頃の投稿は読み返すと、今でもきゅんと胸が熱くなりますよ。
19時。サンダルキッチンオープンです。
オープン後まもなく、お仕事帰りのお客さんで店内は活気づいて。
サイキさんがドリンクを作り…、
タナジさんはお料理を。
出来立てのハンバーグ、おいしそう…!
夜中でもちゃんと定食が食べられるのが、サンダルキッチンの魅力のひとつ。
「家に帰る途中でもう一コ寄れる場所を作って、ストレス無くして家に帰ってもらいたくて。」とタナジさんは言います。
お酒を飲まないお客さんもウェルカム!と、ソフトドリンクも充実。
中でも、手作りの果実酵素シロップが人気です。
私も一杯、いただくことにしました。
先日、おかえり酒場さんだるきっちんでいただいたのはイチゴのシロップでしたが、季節によってフルーツは変わります。
今回はキウイとパイナップルのシロップを、サワーで。
「もっと早く仕込まないといけなかったんですけど…なくなりそう。」と苦笑いのサイキさんに、「それだけ売れるってことだよ」と、常連さんが優しくフォロー。
はい、お待たせでーす!
キウイの爽やかさと、パインの果肉がおいしい、夏にぴったりの一杯。しみるなー!
「おつかれー!」と登場したのは、水曜スタッフのユーキさん。仕事終わりに、ご飯を食べに来たみたいです。
「今日なんも食べてないからお腹減ったー!」と着席してすぐ、「うわぁー、今日オムライスじゃん!タナジオムライス久しぶりー!」と嬉しそう。
隣の常連さんと仲良く、同じメニューのハンバーグオムライスを注文。
「いただきまーす!」
ユーキさんのとびきりスマイル!
男子の夢のプレートよね、オムライスとハンバーグって。
お店はいつの間にか満杯になり、乾杯と笑顔がいっぱい。
タナジさんのトークと笑いがはじける。
サイキさんの優しい笑顔もすてき。
ごはんを食べ終わったユーキさんが、コーヒーを淹れてくれました。
ユーキさんのいる水曜日は、サンダルキッチンで挽きたてコーヒーが飲めます。
ユーキさん自身お酒が全然飲めない体質ですが、人と集まること、人としゃべることが好きで、スタッフの一員になったそう。
2年ほど住んでいた鎌倉で知り合ったコーヒー豆屋さんや、自身が経営するゲストハウスにいたバリスタの子からコーヒーの淹れ方を教わりました。
コーヒーを淹れる姿は真剣そのもの。丁寧に、慎重に。
香りが飛ばないように、淹れたてのコーヒーをビーカーでじっくり冷やして、作ってくれました。ユーキさん特製アイスコーヒー。
んー爽やか!苦味や酸味がコーヒーの香りを邪魔しない、すっきりした味わい。ごはんにも合いそうだな。
ユーキさんらしい、優しい味のコーヒーです。
ここでさらに!木曜スタッフのあつみさんも遊びに来ました。
英語が練習できる仕事がしたくて、最近人力車のアルバイトに申し込んで採用されたというエピソードを持つ、あつみさん。
「逸材きたよ、逸材!」と笑うタナジさんに、「逸材なんですー」と自分で言っちゃう、かわいい天然さん。一気に場が和みます。
どなたか、あつみさんに、人力車以外で英語を勉強できるアルバイトを紹介してあげてください!
ここで、サンダルキッチン名物、”君のタコライス“の注文が入りましたよ。
ソース、野菜、チーズの量をお好みでオーダーする、“君の”ためのタコライス。
野菜たっぷりで、おいしそうー!
お好みで、タバスコを使って、召し上がれ。
サンダルキッチンにお邪魔してびっくりしたのが、本当に皆さん、しっかりごはん食べていくんですね。
「オムライスまだあるー?」「もうないねんー、ハンバーグあるよ!」「じゃあそれ!」ってやりとりを何回聞いたか。
そして、皆さん最後まで、きれいに食べていかれる。
「あー、食った!!」とか、「オムライスがおいしすぎましたー!」って、満足して帰って行く。これってすごいな、と。
みんな、サンダルスタッフさんの手料理を楽しみに来て、お腹いっぱい食べて、帰って行くんですね。
見ていたら私もお腹が減りました!ので、おすすめメニューを作っていただきました。
最初にいただいたのは、納豆オムレツ、チーズ入り。
かわいすぎるデコレーションまで!タナジさんありがとうございます!
中はフワッフワの、トロットロ。
たまごと納豆とチーズがからまって、もう。口の中が天国です。
続いて、副菜。日替わりメニューの、春菊の胡麻和え。
新鮮な春菊の香りが、心地よく鼻に抜けていきます。優しーい、お味。
サンダルキッチンでは、しゅんかしゅんかという国立の八百屋さんから朝採れの野菜を仕入れています。「身体のために、新鮮でおいしい野菜をいっぱい食べよう!生活に寄り添ったお店にしようぜ!」との想いから。
「料理人は1人もいなくて、みんなど素人からのスタート。だからこそ、鮮度のいいおいしいものを出そうやってみんなで話しあって。」と、タナジさん。
身体に優しくておいしいなんて、うれしいかぎりです。
締めに頂いたのは、今日の日替わり、ハンバーグ定食。
「ごはん少なめにしといたよ!」って出していただきましたが、ボリューム充分です!!
ハンバーグが程よく柔らかくて、ジューシーで。たまらんー!
添えてあるサラダもおいしいし、ごはんも進むし。ワンプレートを三角食べしながら、胃袋が喜んでるのが分かる。
「定食は上限800円にしてて。毎日食べられるようにね。」とタナジさん。
「阿佐ヶ谷は特殊な仕事してる人も多くて、終電くらいの遅い時間に帰ってきてごはん食べたいって言う人も多いねん。ごはん食べれるーって調べて、来てくれる人も多くて。お客さんのことをいつも考えてますサンダルキッチンです!ってな。」と笑います。
さらには…サンダルキッチン、デザートまであるんですよ!(日によって品切れの場合もあります)
たまたま、サンダルキッチンにプリンを納品している、なおさんが試作のデザートを持ってこられていて。私もご相伴にあずかっちゃいました。
夏らしい!とうもろこしのアイス。
ところどころ混じっている粒々コーンがアクセントになって、お口さっぱり優しい甘さのアイスでした。
なおさんは、毎年バレンタインデーで作っているチョコのクオリティがあまりに高かったことから、サンダルからデザートの納品を頼むことにしたんだそうです。いまや、なおさんのプリンは隠れ人気メニューでして。締めのプリンを楽しみに来るお客さんも多いんだとか。
話しながら、飲みながら、ごはんをいただいていたらいつのまにか24時を過ぎていて…、全然気がつかなかった!サンダルマジック恐るべし。
阿佐ヶ谷の温かさを感じる、懐の深いお店でした。サンダルキッチン。
みんなでいっぱい笑って、おいしいごはんを食べるって本当に幸せ。
また食べに行きたい、また会いに行きたいな、そう思ってしまうお店です。
怖がらずに、2階まで登ってきてね!
楽しいお酒とおいしいごはんを、お約束します。
ーーーーーーーーーーーーーーーー店舗情報ーーーーーーーーーーーーーーーー
お酒とゴハン サンダルキッチン
東京都杉並区阿佐ヶ谷南3丁目37−3 第四志村ビル2階
Tel: 03-5347-2464
営業時間:日曜~木曜/19:00-26:00
金曜&土曜/19:00-27:00 (当面)
定休日:不定休
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