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耳は聞こえるのに、話が聞き取れない。聴覚情報処理障害の世界

「会話はキャッチボール」とよく言われる。

視覚外から突然投げられたボールを、僕はキャッチ出来ない。それは、会話でも同じ。

『聖徳太子半端ないって~!もぉ~…アイツ半端ないって!!後ろ向きのボールめっちゃキャッチするもん!!そんなんできひんやん普通...』

360°会話をキャッチ出来るのは、聖徳太子だけかと思っていたら、意外とみんな出来るらしい。

『え、出来ないの僕だけなの?!』
ウン十年生きて、ようやくその事実に気付いた・・。

調べたら、どうやら僕は「聴覚情報処理障害(APD)」っぽい。

「音は聞こえるのに、情報として認識出来ない」事がある。
つまり、他人から見ると僕は『話を聞いていない』のだ。

↓こちらのnoteは、とても分かりやすくまとめられている。まさに僕だ!

僕は比較的軽度な方だと思うが、そんな僕の「会話」のスペックをまとめる。


頭が超シングルタスク

僕は一つの事に集中・没頭しやすい。
言い換えると、○○しながら別の事をするのがかなり不得意。

『男性の脳は基本的にシングルタスク、女性の脳はマルチタスク』とよく言われているので、普通だと思っていたけれど、

どうやら僕の脳は、一般的な男性の脳とは少し違うらしい。

聞くより読む方が理解(イメージ)しやすい

小説を聴く「オーディオブック」があるが、
プロのナレーションにも関わらず、話がかなり理解しにくい。
(本で読んだ方が情景が浮かびやすい。)

『聴覚的に記憶の定着ができること』が最大のメリットです。

紙の本の読書でも文字を音声化して頭の中だけで音を流していますが、
オーディオブックでは、他者の声を音として聞くことでインパクトが出て、記憶に残りやすくなります。

↑これに関して、僕は全く逆だ。
(本当にこの記事のとおり、普通の人は「文字」を「音声化」して頭の中で聴いているのだろうか?)

僕は、他者の話を"文字に変換している"感覚に近い。

ことばだとぜんぶひらがななので(言葉だと全部 平仮名なので)脳内変換が必要。

文字の方が、変換不要でダイレクトに頭の中に入ってくるので、景色を浮かべやすく、記憶に残りやすい。

脳内変換が必要だから、集中しないと「話」が聞き取れない

聴力は正常なので、言葉を音としてキャッチする能力は人並みにある。

しかし、言葉をキャッチした後、「文章への脳内変換」をしないとただの雑音として耳の右から左に抜けてしまう。

つまり、音を情報として変換処理をする為の脳のリソースを予め確保していないと、会話として認識が出来ない。

例えば考え事している時、またはボーッとしている時は、脳内変換出来る態勢を取っていない。

だから、突然喋り掛けられても、言葉が文章に脳内変換されないため、雑音に聞こえてしまう。

『とりいサン、○○だよね?』は変換しやすいけど、

『○○だよね、とりいサン?』は後ろからボールを投げられているのと同じで、キャッチしにくい。

僕の事例(症状)一覧

  • 頭がシングルタスク

  • 相手の声が一言ずつひらがなで入ってくるので、脳内で変換している

  • 脳内変換するために、話を聞く態勢を事前に取る必要がある

この3つを踏まえ、ここからは、僕の具体的な事例を紹介する。

①電話をする時は、電話しか出来ない

顔を見て話すより、相手の表情の見えない電話の方が「会話をする(=言葉を脳内変換する)」事に集中力が要るので、ハンズフリーでも他の作業が出来ない。

たとえば、会社で電話対応しながら別の作業が出来ない。手が止まってしまう。

友達や恋人と電話する時も同じだ。
集中しないと会話(=脳内変換)するのが難しいので、めっちゃ身振り手振りをしながら電話しているw

②考え事している時は話の内容が聞こえない

考え事をしている時は、心の声を頭で処理している。
だから、他人の声を脳内変換出来ない。

「話し掛けられても、気付かずに無視してしまう」事が非常に多い。

③聞いている最中に、用事を思い出すと話が入ってこない

たとえば『今何時だっけ?』と聞かれて、時間が確認出来るものがない場合、そのことが気になって以降の話は入って来ない。

聞いた本人は、別の話に移行しているのに、僕は 「いま何時なのだろう・・・」とずっと考えて、上の空で話を聞いてしまう。

④知らない単語が入ると、話を最後まで聞き取れない

たとえばダイバーシティという言葉の意味が分からない状態で、『これからの日本は、ダイバーシティが大事だ。』と言われた時、

普通の人は『これからの日本は、△■◇▲(意味不明な単語)が大事』って情報が処理されると思うんだけど、

僕の場合、意味不明な単語が出てくると、脳内変換が正常に終了しないので、
『これからは、ダイバーシティ△■◇▲』で情報処理がストップする。

意味不明な単語以降の話が、脳内変換出来なくなるため、考え事をしている時と同じで、話の内容が聞き取れなくなってしまう。

(ちなみに、ダイバーシティは多様性という意味らしい。素潜り出来るくらい海を綺麗にする事かと思っていたw)

⑤意識高い系の会話(理解出来ない単語)は眠くなる

「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」みたいな、訳の分からない単語を連発されると、
耳から入った言葉の意味を脳が処理・変換しきれない。シャットダウン(寝る)してしまう。

肝心な部分の意味が分からない会話は眠くなる。

なので、SFやファンタジー系の映画は寝る確率が高い。

⑥同じ席で友達同士が喋っている話は聞こえるけど聞き取れない

目の前で友達同士が喋っている場合、話し相手が自分ではない為、言葉を脳内で変換処理しない。

つまり、聞こえているのに、会話の内容がほとんど入ってこない。

『え、いつそんな話ししたの?!』って、いつの間にか自分だけ会話に付いて行けない事が多い。

⑦報告することに集中すると、他人からの報告が聞こえない

パチンコ店でバイトしていた時、インカムで連絡するのが必要な事項があったんだけど、

連絡が必要な状況になったら、『報告しなきゃ!』で頭がいっぱいになって、耳から入る情報はシャットアウトされる。

他人がインカムで報告している最中に、話をぶった切って自分も報告を被せてしまう。

何回怒られても、改善出来る気がしなかったので、結局そのバイトは辞めた。。

⑧しゃべり声がガヤガヤしたところが苦手

人混みが苦手。
(というか、人混みで会話するのが苦手)

↓ガヤガヤした場所で会話するときの僕はこんな感じ

無数の言葉(ボール)が飛び交うので、めちゃくちゃ「変換作業」が大変で疲れる。

僕が首都圏から福岡に移住したのも、コレがけっこう大きい。人が多すぎない場所が好き。

方言の理解度が低い

僕は首都圏から福岡に移住したが、それが原因で脳内変換をミスする事が非常に多くなった。

九州の方言に「~~やき」というのがある。
たとえば、「21時へいてんやき」というのは、「21時に閉店だから」という意味。

その一方で耳慣れない「〇〇焼き」という方言もある。

「へいてんやき」は閉店だからという意味で、
「かいてんやき」は今川焼き・大判焼きのことだ。

他にも福岡には「小石原焼(こいしわらやき)」という陶器の焼き物があるが、「石焼き」+「藁焼き」の調理方法を連想した。
10年以上経った今でも「小石藁焼き」と脳内変換する。

耳馴染みのない九州の単語と方言で、脳内で誤変換し連想ゲームが始まるため、
よく妻に「話を聞いていない」と注意されるw

スプラトゥーンにおいて

僕は「配信者でありながら、通話しながらのプレイは苦手」という、なかなか珍しいタイプだったと思う。

通話するより、コメントを読みながら喋ってプレイする配信の方がラク。

通話&ゲームの二刀流は無理

僕にとって
・通話に集中する=ゲームに集中しない
・ゲームに集中する=ほとんど会話を聞いてない
のどちらかだ。

つまり、「会話をしながらゲームを一緒に楽しむ」感覚が僕にはない。

通話優先のエンジョイでも、ジェットパック発動中などゲームに全集中するので、絶対に話を聞いてない時間があるという自負があるw

聞き専のメリットが分からない

個人的に「聞き専」はゲームにも集中出来ない上に、通話も出来ないので、デメリットしかない。

ガチでやる場合は、言葉を聞いてからの情報処理が人よりも遅いので、ボイチャで報告される方が、むしろ連携が取りにくいし、

エンジョイの場合は、会話に集中力を持っていかれるので、「ゲームを楽しむ」のが難しい。

音で索敵は出来る(たぶん)

音で索敵はわりと普通に出来ていると思うし、『カモン!』とかシグナルは試合中にちゃんと聞けている。

その分、バトルBGMは開始10秒以降ほとんど聞こえない。

『バトルBGMのボリュームを下げて欲しい』という意見をたまに目にするが、個人的には全く気にならない。

疑似「ゾーンに入る」状態になりやすい

「複数の音を聞き分けるのが苦手」なのを言い換えると、
他の音が聞こえなくなるくらい、テレビやゲームなど「一つのことに集中できる」感覚がある。

今まで書いてきた内容と矛盾しているようだけど、ゲームセンターやパチンコ店で「自分がプレイしている台の音だけを聴く」のはめちゃくちゃ得意。

良く言えば、周りの声や音が一切聞こえないくらい集中力が高い「ゾーンに入る」みたいな疑似体験がしやすい。

(実際は、聴覚情報処理障害じゃない人が、極限まで集中して聴覚情報処理障害の状態になることが「ゾーンに入る」なんだと思う。)

会話をしながらのタスクが苦手

冒頭でも書いたが、男性はシングルタスクなので「テレビを見ながら会話するのが苦手」な人が多くて、
女性はマルチタスクなので「テレビを見ながら会話するのが得意」な人が多いと思う。

実際、僕の妻はテレビや動画を視聴しながら、僕との会話の二聴流が出来る。
『大谷翔平か?それとも、聖徳太子か?!』って思う。

僕の感覚だと、男性は会話しながらテレビを見るのが苦手=「会話しながらゲームをするのも苦手」だと思っていた。

けど、実際はそうではなく、「会話しながらゲームをする」のは男性・女性問わず得意な人が多くて、自分が少数派なことに正直驚いた。

最後に、聴覚情報処理障害を擬似体験出来る曲はコレ!

サザンオールスターズの大ヒット曲「愛の言霊」は歌詞を見ても「意味がさっぱり分からない」という有名な曲だが、

「音は聞こえるのに、話が聞き取れない」聴覚情報処理障害を擬似体験が出来るのでは?と思う。

でも、めちゃくちゃ格好良い曲なのでぜひ聴いてみてください!


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