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Groovy夫婦

3連休の頭は大学の軽音同回のゆきもりの結婚式に参列した。結婚式というのはいつもめでたく大変よいうえに、今回は軽音同回が13人も集まるということでそれはそれは楽しみだった。13人、それはうちの代の約3分の1。こんな陰気なやつらがあと20人以上もいるのかと思ったが、社会に出てこんなに全員陰気なのに楽しい空間は存在しないので存分に味わった。陰気ではあるが陰キャとは異なる。なぜなら陰キャとかいう言葉が世間に広まる前にできた集団だからだ。ただ陰気なだけである。

式は楽しく、新婦側の友人が披露宴の全ての仕掛けに真正面から「かわいい~!」「かっこいい~!」「......(新婦の手紙の2行目から泣いている)」とリアクションをしており、それに我々新郎側おじさん集団が面食らってしまうなどあったが滞りなく終わり、その後の2次会3次会でもただひたすらに酒を飲み続けた。途中新郎新婦も律儀に顔を出してくれて、二人でいる空気感を味わったが心落ち着くものだった。

その酒席の流れで翌日は同回のゆうしが奥さんを紹介してくれることになった。ゆうしが付き合うそして結婚すること自体にかなりワオ!となっていた2018年あたりの俺らもコロナ禍ですっかりその気持ちを失っていたが、そもそも友達のパートナーってめちゃくちゃ気になるもんだという気持ちを思い出し、予定の合う人だけ次の日横浜で会うことになったのだが集合場所の横浜西口交番には夫婦以外5人がいた。かなり興味があるんだぜ。

横浜を散策、みなとみらい赤レンガ倉庫日本大通りを経由し中華街で交渉の末円卓の個室を手に入れ、都合2時間ほどノンアルでしゃべり続けた。ノンアルだったのは前日しこたまアルったからだ。ゆうしの奥さんがたぶんコミュニケーションの得意な人で、その司会っぷりのおかげで我々もかなり話が弾み、とっても充実した会食となった。店を選ぶときに「しっかり座れるお店がいいですね、皆さんとしっかりお話しできていないので......」と曇りなく言えるすごい人。我々は都合4年以上は神奈川に住んでいる連中なので、横浜駅〜赤レンガ倉庫ルートの散歩なんて何遍もやったのでその変わりゆく横浜の景色には思うところがあり、沁み入りながらもその気持ちは表に出さないままただ歩いていた。彼女の眼に我々は「クールな人たち」と映っていたらしい。ただ無口で陰気なだけの集団の良い言い方そのものである。

この2人の雰囲気がめちゃくちゃよく、特にゆうしという行動や発言内容、発語そのものに非常に特徴のある人間の良さが存分に表現されていた。学生時代よりも、ゆうしのゆうし具合がめちゃくちゃ強まっていた。煮詰められたような濃さがあった。同じ人間とだけ時間を過ごすと2人の空気が形成されていくが、ゆうしがゆうしらしさを強めたのは、奥さんがゆうしらしさを引き出すのがうまく、そのおかげでゆうしがゆうしらしくいられるのだろうと思った。俺らはそのゆうしらしさがツボなのでずっと爆笑していた。わずか数時間だったがとっても濃い充実した時間を過ごせたと全員が思っていた。

土曜と日曜に2組の夫婦をみて思ったのが、夫婦が良いグルーブを生み出している、ということだ。グルーブという言葉、音楽で使うには非常に危険な曖昧さを持っているものだが、自分は「機械的でない、人間が生み出しているリズムそのもの、またそのリズムが心地いい様」と意味を理解している。人間が生で表現して、それは正確ではないんだけど、二者間でうまくハマること、またそれが気持ちよいものであること、それがグルーブだと思っている。

そういう意味で2組はグルーブ感が完璧だった。2組の話をずっと聞いていたいし、そのリズムの上で俺らもあれこれ言い合いたい。片方をいじってリズムがよれても全員でその方向に寄り添えるし、行き過ぎても崩れることはない安定感が会話にあった。そう思えるほどにいい体験をした。

我々夫婦もこのグルーブ感を醸し出せるようになりたいと強く思った。誰しもが夫婦2人だけで過ごす時間が多くなって友達と遊ぶ時間が減った。俺は友達と遊ぶことがずっと人生で一番の趣味で、「結婚なんかしないで朝から晩までずっとゲームとかバンドとかしよ~」と思って友人に対してさみしい想いをすることもかなり多かったけど、それだけじゃない、その夫婦と時間をともにすることは今までにない気持ちよさがそこにあるんだと気づけた。特に自分が仲良くして信じ続けた友達はとってもグルーヴィーな夫婦になっているに違いない。そういうたいへん良い週末を過ごしました。

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